2009
10.08

2009年10月08日 削除

らかす日誌

群馬県議会って、阿呆が多数派か?
今朝の朝日新聞群馬版を見て、思わずつぶやいてしまった。
阿呆じゃなかったら、こんなやりとりはしないだろ?

問題の記事は、

「八ッ場ダム 県議会で水質論争 民主系議員発言を削除」

という見出しが付いていた。地方版なんて素通りすることが多い不良読者の私だが、この見出しには目を吸い寄せられた。
議会での発言を削除?

記事によると、いきさつはこうだ。

6日に開かれた県議会総務企画委員会で、民主系の角倉邦良議員が、

「(八ッ場ダムは)青々とした湖になるわけがない」

と発言した。予定地の上流にある草津町で、温泉旅館などから捨てられる強酸性の温泉水がそのまま川に流れ込んでおり、これに加えて、生活排水の一部も流されている。これを消石灰で中和した白濁した水が八ッ場ダムにたまる、という理由である。

私の見るところ、原因が発言者にあるのか、それともライターにあるのかは不明だが、この説明には混乱がある。
正確には、強酸性(ph1程度だそうだ)となった川の水は、飲用にも農業用にも適するはずがなく、これを中和するために消石灰を投入、ダム予定地の上流にある品木ダムに中和でできた沈殿物をためている。中和しているといっても、まだph5程度の酸性水でしかなく、口にするのはためらわれる。
問題点は、品木ダムが沈殿物でほぼ満杯になっていること、その沈殿物=ヘドロには高濃度のヒ素などが含まれ、処理が難しいこと、それに中和するためだけに年間10億円程度の費用がかかっていること、である。そして、品木ダムが満杯になれば、新しくできる八ッ場ダムに中和沈殿物を貯めるしかなくなる。青々とした湖水は望めるはずもなく、それに沈殿物はダムの寿命を縮める。

生活排水の一部が流れ込んで起きる被害は、琵琶湖などで体験済みだ。水が富栄養化し、水草や藻が繁殖する汚い湖水になる。青々とした湖水、なんてのは夢のまた夢でしかない。

八ッ場ダムの地元にいる記者には、せめてこの程度の知識は持ち合わせて頂くようお願いする。

いや、記事の不十分さを指摘したくて、今日の日誌を書いているのではない。問題は、この発言を受けた自民党系の反応だ。

記事に従うと、委員会は7日もこの問題が議論され、自民党・ポラリスの会の金子浩隆議員がかみついたのだという。

「不安をあおるようなことを言うのはおかしい」

 「草津温泉を中傷している」

そして、自民党・ポラリスの会と公明党の賛成で、角倉議員の発言を議事録から削除すると決めちゃったというのだ。

新聞記事だから、金子なる議員の発言を正確に再現しているかどうかは疑問の残るところだ。しかし、それはどうでもいい。問題は、上の2点を理由に、いや、ほかにも理由らしきものはあったのかもしれないが、委員会での発言をなかったことにしたことである。
おい、お前ら。いくらなんでも、そりゃあないだろ!
と思うのは私だけか?

本来は返らないはずの覆水を盆に返しちゃった阿呆どもに告げる。

不安を煽る。
角倉議員は、1999年7月に恐怖の大王が来るだろう、などという不確かな話をしたのではない。強酸性の温泉水が流れ込んでいること、生活排水が流れ込んでいること、強酸性を中和するため消石灰が使われ、水は白濁していること、である。すべて事実に基づく指摘でしかない。
これが、不安を煽る、ってか?

じゃあ、冷蔵庫を開け、入っていた豆腐の賞味期限を見て

「おい、これは賞味期限切れだよ。食べない方がいい。捨てるぞ」

と指摘するのは、不安を煽る発言か?

青酸カリ溶液の入った瓶を学生に見せ、

「これは猛毒だから、いつも鍵のかかるところに保管しておかねばならない」

と話す化学の教師は、不安を煽っているのか?

おい、阿呆ども、よく聞け。
私は、危険なものを危険だと知らされない方が、よほど不安である。
危険だと知っていれば、対策のとりようもあるではないか。
エイズにかかったことを知らせないまま、私をベッドに誘う女の方がよほど不安である。
エイズと分かっていれば、コンドームを使えばいいのである。

あんたらは、青酸カリやトリカブトが強い毒性を持つことを隠し通す社会で安心して暮らせるのか?

草津温泉が、強酸性の温泉水を流していると指摘するのは、草津温泉を中傷することか? 草津温泉は、温泉水を下水に流すと処理施設の微生物が死滅して処理できなくなるので、もともと強酸性である川に流している、と記事にある。草津温泉も、自分たちが流している温泉水は強酸性であることを十分知っており、知っているから、できるだけ被害が小さくなる流し方をしている。
そもそも、事実を正確に認識しなければ、対策なんぞ立てられないではないか。その、対策の前提となる事実を指摘することが、中傷なのか?

中傷=根拠のない悪口を言い、他人の名誉を傷つけること(大辞林)

おい、阿呆ども。あんたたちの小学校、中学校の国語の成績をすぐに知らせてくれ。

政権を取った民主党が、八ッ場ダム建設中止を宣言した。いま、群馬県で起きているのは、長く続いた自民党政府、国土交通省と一体になって八ッ場ダム建設に突き進んできた県の自民党、そしてそれに手を貸す公明党による、数を頼んでの抵抗である。

が、この人たちは戦い方を知らない。長く権力を持ち続け、勝手気ままに振る舞っているうちに、論理をどこかに捨て去ってしまったらしい。論理とは、抵抗する際の最後の拠り所なのだが。

ダム推進派にはこの程度の玉しかいない。八ッ場ダムは必ず中止される。
県議会での阿呆なやりとりを新聞で見た今日、私の確信は昨日より遙かに強まった。