2010
03.06

2010年3月6日 どうして

らかす日誌

こんな観点の記事がほかの新聞にないんだろう?

東京新聞」の「こちら特報部」というページには、思わず膝を叩きたくなる記事がよく出る。秀逸な紙面だ、と日頃感心している。

今日もそうだった。

1本は、「民族教育 差別と闘うため

との見出しの記事である。4月から実施される予定の高校無償化で、無償化の対象にするのかしないのか、議論が続いている朝鮮学校を取り上げている。
無償化の対象にしてはイカン、という主張は、朝鮮学校は北朝鮮の影響が強いということを論拠にしている。まあ、確かに、いったい何を考えているのやら、何をしでかしてくれるのやら、とにかく理屈ではわからない恐ろしい国、というイメージがこびりついている北朝鮮だ。

「そんな国の思想を青少年に注ぎ込む学校を、どうして我々の税金でただにしなければいけないのか」

という主張にも一理あることは確かである。

「でも、ホントにそんなに怖い学校なの? そんな判断をするのは実態を知ってからでもいいんじゃないの?」

そう考えた記者が編集部にいたのに違いない。そして、この記事を読んでみると、

 「ホントにそうだよなあ」

とわかる。

この記事によると、朝鮮学校に通う児童の半数以上が、実は韓国籍で、教育内容も北朝鮮国内とは違うという。
政治色もほとんどなく、教科書は日本の高校とほとんど変わらない。理数系はハングルで書かれているが、現代文や古文、漢文の教科書は、表紙をのぞけば日本のそれと見分けがつかないのだそうだ。
そりゃあ、そうだ。だって、ここを卒業して日本の大学に進む子供だって多いのだ。北朝鮮と同じ教科内容だったら、日本の大学の入試に通のはまず不可能だ。子供には大学に進んでもらいたいと思う親は、そんな学校に子供を進学させるはずがない。
朝鮮史の教科書には、さすがに北朝鮮賛美があるというが、ここに子供を通わせる韓国籍の大学教授は

「子どもらは日本のニュースに接しており、冷静に判断している」

と話している。これも頷ける話である。いまの日本に住んで、日々情報に接していたら、北朝鮮賛美に素直に頷けるはずがない。よど号事件の時代ではないのである。

うーん、だったら無償化してもいいじゃん、と思いません? みんな日本に住み、日本で税金を納めてるんだから、のけ者にする必要ないよねえ。

現実を知らずして議論するのは本当に危ない。

「北朝鮮と国交のない日本が、朝鮮学校を無償化するのはいかがか」

「教育受ける機会が政治・外交問題に左右されてはならない」

なんて眉間に皺を寄せて口角泡を飛ばすより、誰かが朝鮮学校に行ってみればよかったのにね。
彼のマルクスさんも、おっしゃったそうです。

 プリンが美味いか美味くないかは、食べてみればわかる

って。
あ、マルクスさんを出すと、

「お前は北朝鮮派か!」

っていわれちゃうのかな?

 

今日のこちら特報部、これだけじゃありません。もっと飛ばします。メインの記事「にっぽん再起動」は、全国の無駄な空港問題に切り込んでおります。

なんでも最近、国土交通省所管の「運輸政策研究機構」のトップが、

「近年作られた空港のうち、本当に必要なのは羽田空港の第4滑走路ぐらい」

といっちゃったのだそうだ。寡聞にして知らなかった。興味を持って読んだ。

この運輸政策研究機構、国の委託で空港を作った場合の需要予測を出してきたところ。つまり、彼らが

「空港をここに作ったら、これだけ沢山の人が利用します。空港利用料はこの程度見込めます。十分採算に乗ります」

という需要予測を作ったから、だったら金をつぎ込んじゃえ、って空港を作ってきたのである。
えっ、だってあんた、だとしたらあんたらは戦犯じゃん、と喉までせり上がってきた言葉をぐっと飲み込み、この羽生次郎というトップとの一問一答を読む。

「いかなる理由があれ、予想が外れたのはお恥ずかしい。大幅かつ反復的に間違った」

実に素直な人である。

 「予測の間違いは、モデルのせいというより、発注者(国)の意図をどうしてもおもんぱかってしまう点にある」

ますますもって、素直である。

「静岡空港にしろ、茨城空港にしろ、必要かと聞かれれば、作るべきではなかった」

はいはい。でも、できてしまった今頃いわれてもねえ……。

—福岡空港拡張のための需要予測から機構をはずせという声が出ているが

「信頼されていたいんでしょ。既に動いている部分は別として、外れられる分は外れればいい。うちに(発注が)来るときは、作りたいときばかりだ。そういうのを受注し続けるのはうまくない」

まあ、率直といえば率直だが。

この羽生さんをネットで検索してみた。
何とこの方、元国土交通省の高級官僚である。であるばかりか、航空局審議官及び航空局次長、運輸政策局長なんていうお仕事もなさってきた。いわゆる、中央官庁から関連団体への天下り組である。
いや、天下りはこの際横に置くとして、航空局、運輸政策局、って、ひょっとしたら空港作りに関係あるのでは?
だとすれば(という論の進め方は卑怯だと思うが、今回は知識がないのでお許しいただきたい)、役所にいるときは「おもんぱかられる」立場で空港作りを推進して無駄な空港を沢山作っておきながら、いまになって、政府関連団体に批判の目が集まり出すと、あれはよくなかったと修正する。
それって、究極の風見鶏?

まあ、率直に語って頂いた点は評価するとしても、だ。
それはないだろう! と思うのは私だけか?
率直な発言を掲載したこちら特報部には敬意を表するが。

 

昨日は日誌を書いたあと散歩に出た。今日も、と思っていたが、朝からシトシトと雨が降り続く。たいした雨ではないのだが、濡れて風邪でもひいたらことだ。よって、中止。
私の血圧対策は天候次第である。
わずか1日前にご大層な宣言をしておきながら、私も風見鶏か?