2011
04.20

2011年4月20日 復興資金

らかす日誌

震災も落ち着いた、といっては語弊があるが、とりあえず、次のことを考えなければならない時期に来たことは確かである。
地震、津波でいまだにがれきが山積みになっている被災地をどうするか、自宅が崩壊した人びとの生活拠点をどうするか。彼らの生活資金をどうしたらいいのか。ズタズタになった道路などのインフラの再生は。放射性物質で汚染された農産物、畜産物、魚介類、海草類の被害をどう補償するか。

巨額なお金が必要なことは誰にでも分かる。
誰にでも分かることを盾にとって、菅政権がまたもや、姑息な手に訴えようとしているかに見える。
増税、だ。

未曾有の災害である。復旧、復興には、全国民ができる限りの協力をするしかない。増税が、そのための有力な方法であることは理解している。なのに

「だけどなあ……」

と思ってしまう。菅さん、あんたには増税のフリーハンドを持たせたくないよ、と考えてしまう。

何しろこの人、増税をしたくてしたくてたまらない首相に見える。ギリシャの財政危機を見てあたふたし、日本を次のギリシャにしちゃいけないと、突然消費税率引き上げを口にしちゃった首相なのだ。ご本人は、責任ある政治を進めたいと善意で思っていらっしゃるのかも知れないが、その発想自体が経済音痴であり、日本の経済状況から見たら空気を読めない暴論であることは、様々な方々が指摘しておられる。

そのお人が、復興のために消費税の増税を、といい出すと、

 「おいおい、この災害を奇貨として、持論だった財政再建のための増税に道を開くんじゃないだろな? 復興にめどがついても消費税率は引き下げず、一般財源にしてしまうのではないんだろうな?」

と疑いの目を向けてしまう。
私は、菅という男が首相の座に座っているからそう思ってしまう。国民に信頼されていない首相に、この時期の増税は無理なのである。

 

夕刻、湯船に浸かってぼんやりしたいたら、ふとひらめいた。

「復興宝くじ、ってどうだろう?」

震災からの復興を掲げて宝くじを売り出す。主体は普通の宝くじと同じでもいいし、被災した自治体でもいい。1等は前後賞込みで3億円。これを全国で売り出す。
ただし、できるだけ復興資金に回したいので、当たりくじの数を減らす。通常の半分でもいい。ジャンボ宝くじの売り上げは1000億円から2000億円であり、払い戻し率は50%以下とのことだから、収益は500億円から1000億円に上る。
当たりくじを減らすことで、1回あたりの収益を700億円から1500億円程度に引き上げる。そうすれば、年間1兆円近い収益がでる。その全額を被災地の復興に回す。

なにしろ、一攫千金を夢見る一方で、外れても被災地の役に立つとあれば、沢山の人が買うのではないか。10年で10兆円の復興費を生み出すのも夢ではない。

これで足りなきゃ、震災復興競馬、震災復興ボートレース、震災復興競輪、何でもありにしよう。

「ギャンブルにうつつを抜かすとは」

と普段は白い目を向けられがちなファンも、そうなれば胸を張って馬券、舟券、車券を買うことができる。
だったら、パチンコにも広げて……。

増税なんかしなくても、国民が喜んで財布の紐を緩める方策はいくらでもある。

 

以下は、暴論かも知れない。

私は、最もよいのは国債の日銀引き受けであると考えている。政府が国債を発行し、それを日銀が引き受ける。つまり、政府の必要な分だけお札を印刷する。そして、引き受けた国債はそのまま凍結する。

日本経済は長らく、流動性の罠(ポール・クルーグマン)に陥り、何をやってもデフレが続いて経済の足を引っ張ってきた。この事態に対処するには、政策的にインフレを引き起こすしかない、というのがクルーグマン教授の診断であった。それに従ったのかどうか、日銀は実質ゼロ金利政策を続けているが、いまだにデフレ傾向は収まらない。
だから、である。金利をゼロにしてもインフレが起きないのなら、いっそお札をバンバン印刷して世の中にばらまいたら? そうすりゃ、金余りが到来して、インフレになるのと違う?
普段の時期なら、通貨の万人である日銀の方々は、己のレゾンデートルを守るためにも、絶対にそのような決断はされない。

「そっちの方がいいのかなあ?」

と考えることがあったとしても、日銀マンとしての教養が邪魔して踏み出せない。
しかし、いまは非常時なのだ。いつもと同じ発想でしのげるときではない。
ここは思い切って、20兆円でも30兆円でも国債を引き受け、そのまま凍結したらどうだろう? 印刷されたお金は被災地の役に立つし、副次的効果として日本経済がデフレから脱することができたら、一石二鳥ではないか。

なにしろ、インフレは借金を減らすのである。インフレで物価が2倍になれば、政府の借金は実質半分になる。財政危機はたちどころに解消する。

というほど簡単な話でないことはうすうす承知はしている。その時外為市場で円の価値はどうなるのか、国内の短期、長期の金利はどう動くのか。考慮しなければならないところはたくさんある。

でも、トライしてみたらどうだ?
いまは非常時。なんでもあり、が非常時の特性なのだから。