2011
07.21

2011年7月21日 不思議な

らかす日誌

夢を見た。
まあ、夢というものはいつでも不思議である。リアルであるようで、リアルな世界では絶対に起きないことがすんなりと起きてしまう。夢の中の登場人物である私は、そのシュールな世界をあたり前のように生きる。

それでも夢の世界は、深層心理が描き出すものだという。フロイトは確か、夢から深層心理に根付く性的願望やトラウマを分析した。
まあ、セックスだけが夢の背景だとは思わないが、では、昨夜、というより今朝見た夢の背後には、どのような私の深層心理があったのだろう。

旅館なのか、合宿所なのか、畳が敷かれた部屋に2つのグループがいた。
一方は、私が勤める会社の群馬県勢である。
もう一方のグループは、なぜかお巡りさんたちだった。
会議なのか、懇親会なのか。両者の間には座卓がでているから、恐らく懇親会がメインなのだろう。間もなく山海の珍味が運ばれてくる、というところか。
ところが、両者の間にはギスギスした雰囲気が横たわっている。

「あなたの会社もねえ、もう少し世の中を理解した方がいいというか、ねえ、この件に関して、こんな仕事の進め方はないでしょう。もう少し考えてもらわないと」

お巡りさんの代表と覚しき男性が口角泡を飛ばしている。ということは、あれか。我が社が販売する商品について、彼らの目から見て問題があるということか。

「いや、そんなことはないですよ。我が社だって、どうすれば世の中がよくなるかは一生懸命考えている。でも、あなたのおっしゃるようにはできない。あなたは我が社の商品の性格というものを理解していらっしゃらないようだ。今のままでいいのです。これは見解の相違というところですね」

反論しているのは、うちの会社の群馬県の責任者だ。
ま、警察の思うような行動をする会社にろくなところはない、とは常識ではある。ところが、私の耳には、お巡りさんがいっていることのほうがはるかに正論に聞こえた。これは、一言あってしかるべきである。

「いや、君(とは、うちの会社の代表者のことである)さ、君のいってるのは弁解に過ぎないよ。お巡りさんがいっている方が正論じゃないか? 君がいってるのは、この人たちがいうような商売をすれば、プラス面が確かにあり、お巡りさんが言うとおりにすると思いもよらないリスクがあり得る。だから、いままで通りがいいんだといっているに過ぎない。ねえ、リスクを取らなきゃ、次に時代は開けないんだぜ」

ありゃ、こんなこといわなきゃよかったかな、と思った瞬間、私は外にいた。野の道を1人で歩いている。どうやら、宴会が開かれる宿に戻る途中のようだ。時間が戻ってしまったのか。

道の真ん中に水たまりがあった。靴を濡らしたくないので避けようと思ったものの、つま先が水に触れた。その瞬間である。
私の身体は水の中に引きずり込まれた。

えっ、何で? といぶかる間もなく、私の身体はどんどん引きずり込まれていく。水たまりにしか見えなかったのに、私の身体はやがてすっぽりと水の中に入り込み、さらにどんどん深いほうに引きずり込まれる。どこまで深くなるのか全くわからない。

「え、おい、これって、水の中だよな。このままじゃ溺死しちゃうじゃないか!」

焦って立ち上がろうとするが、水のそこはヌルヌルで立ち上がれない。立ち上がれないだけでなく、私はどんどん深みに引きずり込まれていく。

「早く水面に出て空気を吸わなくちゃ」

と思い、両手で水をかくのだが、私を引きずる力は強力で、私の身体は水底、深い方に向かって進むだけだ。

「俺って、こんなところで死ぬの? 死ぬときは、あの女の腕の中でと思っていたのに、予定が狂うじゃないか!」

腹立ち紛れに、呼吸をした。水中だから息を吸い込もうと思っても吸い込めるのは水だけである。こうして肺に水が入り、溺死する。それはわかっているのだが、水の中に引きずり込まれた時から肺にためていた空気が限界に達した。何とも我慢できない。ホーッ。

「あれ?」

私は水底にいる。そこでは、肺呼吸しかできないまでに進化してしまった人類は呼吸などできないことになっている。これで、私は死ぬのである。なのに。

「呼吸できるじゃん。息が吸えるよ。水の中で、どうして?」

生物学的な疑問を抱いた瞬間、目が覚めた。

えっ、夢だったのか……。
それにしても、何でこんな夢を見る?

まあ、前半部分はわからないことはない。我が社の常識は世間の非常識ということを何度も感じてきた私が、警察小説の読み過ぎで警察を世間の常識の右代表にしてしまっただけかも知れぬ。常識に対して、非常識で立ち向かおうとした我が社群馬県責任者は、自分さえよければ部下はどうでもいいというタイプである。だから、夢の中で非常識の右代表の役割を割り振られただけなのだろう。

だが、私が水たまりに引きずり込まれる後半部分は何なんだ?
私は、訳のわからないことに巻き込まれて死ぬ運命にあるという予知夢か? だとすれば、あの女の腕の中で息を引き取るという将来設計はかなえられないのか?

夢判断ができると思う人、私の夢を解き明かしていただけないだろうか?