2011
12.19

2011年12月19日 ゴルゴ13

らかす日誌

北朝鮮の金正日が死んだそうだ。17日、走っている列車の中で突然心筋梗塞が起きた、というのが公式発表である。
知ったのは、お昼のNHKニュースだった。午前中の仕事を終え、昼食のために自宅に戻ってテレビをつけたら報じていた。

さて、このニュースに初めて接したとき、あなたは何を思いました?

やっと死んだか?
これから国際情勢がどうなるか?
拉致問題はどうなる?

私は、こう思った。

「ゴルゴ13に撃たれたんじゃねーの?」

死に方が不自然である。

金正日はもともと病がちであった。でありながら、北朝鮮という異様な国のトップである。普通であれば、急な発病に備えて、医師団を引き連れて移動するはずである。何しろ、公式には全国民の愛と尊敬を一身に集めるイキガミ様なのだ。イキガミ様は生きておらねばならない。死んでしまったらシニガミ様になってしまう。だから、イキガミ様を行き続けさせるために、万全の配慮がされていたはずだ。
急性心筋梗塞が起きた場合、アスピリンを投与する、酸素吸入、モルヒネ投与、硝酸薬が対症療法とされる。血管系に障害を起こした過去のあるイキガミ様に付き従う医師団とすれば、その程度の用意はあったと考えるのが自然ではないか?
なのに、イキガミ様はシニガミ様になってしまわれた。これ、不自然ではないかい?

日本では、現人神から人間に戻った昭和天皇が亡くなるとき、毎日下血量が報道された。ああ、今日も天皇はお尻から血を垂れ流しておられる。それでも、ずいぶん長い間生きておられた。
人間天皇でもそれだけ長く生きるのに、イキガミ様はたった一度のハートアタックでなくなる? あっけない。不自然である。おかしい
ゴルゴ13が狙撃したのではないか? と、私はとっさに考えたのである。

いや、ゴルゴ13が動き回らなくても、あのような国である。あのような国でトップに立つということは暗殺の危険と隣り合わせで生きることである。
かつてローマ帝国には、皇帝の退位についての決まりがなかった。だから、帝位に就いたが使い物にならない皇帝は暗殺するしかなかった。という話を読んだ記憶がある。塩野七生さんの本だったろうか。
北朝鮮にも、総書記の退位の決まりはないはずだ。とすれば金正日がトップである限り、北朝鮮に夜明けは来ない、と考えたグループが、移動中で警備が手薄になったのをこれ幸いと非常手段に訴えた、と考えるのも不可能ではない。何しろ、跡継ぎに決まっている三男の金正恩は、推定でまだ20代。蒙古斑を残しているに違いないお坊ちゃまである。この青二才を顎の先で使って新しい北朝鮮を作る。そう考える革新派がいても決して不思議ではない。

ま、そう考えた方が世の中、面白いということでもあるが。

 

土曜日、またまた恥をかいてしまった。

 「大道さん、上手い! こんどさ、仲間内で飲み会やるんだけど、ギター持ってきてよ。唄って」

と煽られて、飲み会にのこのこ出かけた、と思っていただきたい。

え、思えないって? のこのこ出かけるお前が信じられないって? うん、いまなら私もその見解に賛意を表する。問題は、私がすでに行ってしまったという事実である。

会場は、すでに廃業した書店。テーブルと椅子があるかと思えば、突然こたつが出現するという不思議な場所に、何と、PAがセッティングしてあった。

「大道さんのために用意したんだぜ」

もう逃げられない。

三々五々集まった初対面の人たちとまずビールで乾杯し、焼酎に移った。目の前に座った若いお兄ちゃんはギターが大好きで、でも、仕事で手を怪我し、

「ねえ、やっと俺、Cのコードが押さえられるようになったんだよ」

と、旧知の人と大声で話していた。
俺、そんな奴らの前で下手なギターをやるの?

逃げたい。

「大道さん、そろそろ出番だよ」

捕まった。くそ度胸を固めてマイクの前に座る。ギターを弾く。声を出す。えっ、なにこれ、変だよ

まあ、すでに酒を飲み始めたのである。缶ビール1本に留めておけばいいものを、手持ちぶさたのため、焼酎にまで手を出し、3杯ほど飲んでしまった。正常な私ではない。

ギターをとちった。とちっても、何とか続けるのがステージミュージシャンの技らしい。だから、とちることはくよくよしない。クラプトンだって時々とちるのだ。とちる頻度が私よりはるかに少ないというだけのことである。目くそは鼻くそを笑えない。どうってことない。

ショックだったのはヴォーカルである。何故か上手く歌えない、とうか、俺、音外してなかった? 音痴になってなかった?
えっ、えっ、えっ、ここ、そんな音程じゃないだろ?
と歌いながら思う。思い始めるとドツボにはまり、次の音も微妙に外す。

これはいかん、と
Tears in Heaven
から
Layla
に移り、名誉挽回にと
San Francisco bay Blues
に取り組む。

なのに、ちっとも変わらないんだよなあ、ボーカルの不自然さが。
俺、突然の音痴症? ギターはともかく、ヴォーカルには絶対の自信を持っていたのに……。

私の前に座っていた兄ちゃんは、部屋に転がっていたギターをとって、即興でセカンドギターを務めてくれた。こたつに座ってカニにかぶりついていた人は、エレキベースを抱えてベースラインを演奏してくれた。
サポーターには恵まれた。

恵まれなかったのは、私のギターの腕とヴォーカルである。

そして、あの兄ちゃんが、マイクの前に座って、憂歌団の「お掃除おばちゃん」をやり始めた。う、う、上手い!
おれって、ピエロ? 彼の奏でる「お掃除おばちゃん」に聞き惚れつつ、私の身体を押し込めることができる穴を探し回った私であった。

昨日曜日は、一日へこんだ。
が、今日になって回復した。
ここでへこんだら、Martinにつぎ込んだ投資が無駄になる。私は、じっと耐えてクラプトンへの道を進むしかない地点にいるのである。

明日はもっと回復して、バンバン、ギターを弾くぞ……。