2012
03.01

2012年3月1日 中国

らかす日誌

先日、中国問題の講演を聴いた。10年ほど中国で仕事をした人が講師であった。彼が見た、聞いた、感じた中国を1時間ほど話した。そのあとは、懇親会になだれ込んだ。

1時間ほどの話だったが、なるほど、と思ったことがある。

「日本人と中国人は違います。日本人は、何をするにも、ある限度というものがあります。行きすぎたかな、と感じると必ず引き返してくる。ところが、中国人にはこの限度感覚がない。行くとなったらどこまでも行く。自分でブレーキを踏むことを知らないのです」

「中国は民主化していない、選挙で自分たちの代表を選んでいないから民主国家ではなく、遅れた国であるといいます。一面はその通りでしょう。しかし、限度感覚がない中国の人たちが選挙で政府を選んだら、とんでもないことになると思います。とにかく、反日感情が強い。その人たちが選挙で政府を選べば、出来上がった政府は反日政策を採らざるを得ない」

 「中国で、これから最大の問題はエネルギーです。だから、エネルギー資源が眠る尖閣列島に強い関心を示す。尖閣列島だけでなく、中国近海でエネルギー資源がありそうなところには強い関心を示す。だから、近隣諸国と摩擦が生まれる」

「その中国で選挙が行われ、民主的な政府ができたとしたら、尖閣列島なんてすぐに占領するでしょう。近隣諸国とは戦火を交えてでも資源を確保しに行く。そうしなければ、国民の支持を集めることができず、政権を維持できない。中国で民主的な選挙が行われれば、必ずそうなります」

 「だから、今の政府が中国で存続していることは、日本にとってはありがたいことです。反日で暴走しそうな民衆を、今の政府が何とか押さえつけているというのが中国の現状です」

蒙を啓かれた思いがした。なるほど、中国の一党独裁も、日本にとっては困ることばかりではないのか。

が、疑問が残った。質問してみた。

「暴走しそうな中国の民衆を中国政府が押さえつけ、極端な反日に走らないようコントロールしているという話だったと思う。だが、民衆に反日感情を植え付けたのは、元をたどれば中国政府なのではないか? 国内に抱えきれないほどの課題を抱え、そのままでは民衆の不満が高まって政府なんて吹っ飛びかねない。だから、民衆の不満をそらすために反日感情を煽って、国民の目が国内の課題にむかないようにしたのは、中国政府なのではないか? 国を束ねるには外的を作ることだというのは、政治のイロハのイであって、それを中国政府が実行し、その効き目が出過ぎて慌てているのではないか?」

その通りだという返答を得た。

とすれば、日本は中国に対し、日本はどのような姿勢でつきあえばいいのだろう。
あの小泉のように、中国が何をいおうと我知らずで、己の信念に従って靖国神社に首相として参拝するのがいいのか。自民党時代から多くの内閣がそうしてきたように、できるだけ中国を刺激しないように気を配る方がいいのか。あるいは第3の道があるのか。

人間関係のほとんどがそうであるように、外交とは理屈だけでは成り立たない。

外交など、私には縁もゆかりもない世界ではあるが、

 「どのような国であるかは別として、中国は日本の隣国である。しかも、人口13億人。日本の10倍以上だ。どう付き合ったらいいのか……」

などと、殊勝にも考え込んだのである。
考えても、何も出てこないけどね。

 

そんなことを考えていたら、今日の朝日新聞朝刊に、「選択」3月号の広告が出た。書店で売られておらず、予約購読のみという雑誌である。
その中に

「『老化』が始まった中国—速すぎた成長の重い『代償』」

という見出しが目にとまった。思わず注文してしまった。年間購読1万2000円。

3、4日したら届くはずである。