2012
10.08

2012年10月8日 底の浅い男

らかす日誌

昨夕、車を洗った。さて、その前に洗ったのはいつだったか、記憶にないほど汚れていた。日を追うにつれて汚れに汚れ、毎週末、

「今度こそ洗車をしよう」

と天気予報を見る。すると、数日後に雨が降る、と出る。洗ってすぐに雨が降ったのでは元の木阿弥だ。

「仕方ない。今週はやめよう」

そんなことが続いた。
で、今度の3連休を迎えた。
初日の6日、車を洗おうかと天気予報を見た。その日の夜に雨が降るとの予言だった。

「じゃあ、明日にするか」

その日は予言通り、雨が降った。で、迎えた7日、朝方まで残った雨が、9時過ぎにはあがった。しかも、予報には雨の姿がない。

 「今日しかない」

午後3時過ぎから1時間ほどかけて、車をピカピカに磨いた。流石に6年半たった車である。洗うと、細部に小さな傷が目立つ。それでも、洗って磨き上げ、少し離れて見ると新車に近い輝きがある。少なくともあと7年は乗れる。

全身汗だらけになり、上半身裸で部屋に戻って映像資産の管理を始めた。窓は開けっ放しである。パソコンの画面に夢中になっていると、耳障りな音がし始めた。ふと、窓外に目をやった。

「えっ、雨?!

この季節、夕立でもなかろう。が、しっかりと雨が降り、洗ったばかりの車が濡れた。

「おい、洗ったばかりだぜ。それはないだろう!」

と叫びたいが、叫んだところで元に戻るはずもない。
やがて雨は止んだ。雨に濡れたばかりだから、水滴を拭き上げれば車はピカピカになる。すぐに車にかけより、雨粒を拭き上げた。
それですべては終わりのはずだった。

今朝目が覚めたのは7時半過ぎである。まだ暗い早朝に目が覚めて唖然としていた時期もあったが、最近は7時前に目が覚めることはほとんどない。快眠生活である。
快適な気分で、窓外を見やった。

「ん、車が濡れてる?!」

最初は、露が降りたのかと疑った。が、やっと秋が訪れたばかりである。露が降りる季節にはまだ間がある。

「あれから雨が降ったの?!」

泣く泣く、またしてもタオルで水滴を拭き上げた。
洗車をして水滴を拭き取り、2時間後に再び拭き取り、一夜明けて三度(みたび)拭き取る。その間、車は裏庭に止まりっぱなしである。

こんなことなら、今朝洗車をすれば済んだなあ……。
にしても、天気予報を単純に信じ込む。私は底の浅い男である。

 

連休を利用して、撮り貯めた映像資産の一部にアクセスした。

負けて勝つ~戦後を創った男・吉田茂~

NHKが5回に分けて放送した。1回1時間10分強。5回で6時間のドラマである。
感じ入った。その挙げ句、amazonにアクセス、「吉田茂」で検索をかけると、沢山の本が見つかった。

「俺、吉田茂って、ほとんど知らないよな」

吉田茂関連の本を3冊、白洲二郎関連の本を1冊注文した。
ドラマを見るなり感じ入り、余韻が覚めないうちに4冊の本を発注する。底の浅い男にしかできぬことだと自認する。

 

先日、「褐色の文豪」(佐藤賢一著、文春文庫)を読了した。
「黒い悪魔」と呼ばれたトマ=アレクサンドル・デュマの息子、というより、三銃士やモンテクリスト伯の作者と紹介した方が通りがいいアレクサンドル・デュマ・ペールの一代記である。

父トマは、ハイチ生まれの軍人。フランス人の伯爵と黒人奴隷の間に生まれ、母の死後、父に奴隷として売り払われたこともあるが、軍人としてフランス軍で頭角を現し、陸軍中将にまで上る。その戦闘力の凄まじさと肌の色が「黒い悪魔」の理由だが、ナポレオンを批判して嫌われ、不遇のうちに死ぬ。
その息子が、文豪アレクサンドル・デュマ・ペールである。

ペールは、将軍であった父を限りなく尊敬し、憧れた。が、敗将となったナポレオンの姿を見、

「もう、軍人の時代ではない」

と考える。その挙げ句、文学で身を立てようと志し、田舎町ヴィレール・コトレからパリに出て、フランス文学の大立て者となる。しかし、父親へのコンプレックスはなかなか去らず、1830年の七月革命では革命軍に身を投じる一方、ガリバルディのイタリア統一運動を支援、また1848年のフランス革命では憲法制定議会議員選挙・同補欠選挙に立候補するなど、「英雄」になって父と肩を並べたいと思い続けた男でもあった。
売れっ子作家だから金が唸った。ペールは惜しげもなく金を使って友人、知人に飲ませ食わせし、次々と女を取り替え、豪華な宮殿を造る。破産してもめげることなく、大往生を遂げる。

実にドラマチックな人生を読み終えて感じ入った。
そういえば、私は彼の本を1冊も読んでいない。「三銃士」、「モンテクリスト伯」といえば、中学から高校に書けて読むべき必読書とされていたが、その頃の私には読書の習慣がなかった。「チボー家の人々」すら読んでいない私には基礎教養がない。それが、私のような底の浅い男を創ったのかも知れぬ、と反省する。

読むべし。すぐにアレクサンドル・デュマ・ペールの本をamazonで検索した。あるある、いっぱいある。あるのはいいが、長いんだねえ、彼の本。

どうする? 読んでみる? でも、長いぞ。

買うか買わざるか、底の浅い男は今日に至るまで決めかねている。
あ、情けない!