2013
02.07

2013年2月7日 書き忘れていたこと

らかす日誌

ここ数日、

「何か書き忘れている」

という思いにつきまとわれてきた。では何を、と考えるのだが、考えれば考えるほど思い浮かばない。

中国が、自ら己の野蛮性をあからさまにした事件ではない。あの国、どうしてあれだけ自分の都合しか考えないのだろう? 中国外務省が、報道で初めて知った、などとたわけたことを入っていたが、あの野蛮人どもは、本当に日本と戦争をしようというのか?
しかし、私がどう考えようと、事態の主導権を握っているのは、恐らく、私の書く日本語なんて理解できない連中である。書くだけ空しさが募るというものだ。

だけど、日本は再軍備をせざるを得ないのかね? 日本がそんな国になって欲しいとは全く思わないが、しかし、隣にこんな野蛮な国があって、国内のグチャグチャで国民の不満が高まるのを、日本を仮想敵国にしてそらそうとしている現状をどうしたらいいのか。
困ったことに、私は答えを持ち合わせていない。

かといって、柔道界のすったもんだでもない。まあ、ここも体罰が問題になっているが、どうもそれだけではないようで、今週の週刊文春(ひょっとしたら、週刊新潮だった?)は、山口香が仕掛けた権力闘争みたいなことを匂わせていたが、これも私の関心の外である。
勝手にもめてなさい。

と考えていて、やっと思い出した。
やや旧聞になるが、埼玉県などで、学校の先生が大量に早期退職したという話だった。
国が国家公務員の給与を引き下げたのにあわせて、地方公務員の退職金を引き下げる自治体が相次いだ。その流れの中で、今年3月に定年を迎える先生たちが、

「3月まで働いていたら、手取りが少なくなってしまう」

と早期退職し、現行制度での退職金を受け取ったという話である。何でも、3月まで働いて給与をもらったとしても、退職金の減額部分には追いつかず、100万円前後の損になるのだという。

そんな先生たちに向けて、マスメディアも町の阿呆どもも、

「そんな。お金に目がくらんで、もうすぐ卒業、進級する子どもたちを放り出すとは教師の風上にも置けない」

と非難の言葉を浴びせ続けた。
おいおい、そうか?

というのが書き忘れていたことである。

私は満天下に向かって公言する。私が同じ立場の教師であったら、私は何の遠慮もなく早期退職する。

このご時世である。公務員の給与が引き下げられるのは、ご本人たちには申し訳ないが、やむを得まい。
しかし、だ。下げるのは仕方がないとしても、年度途中で早期退職する先生たちが出ないように制度設計するのは、役人の仕事である。年度末までいまの職に止まり、教え子たちが進学、進級する姿を見たあとで退職しても、旧制度での退職金を得られるような制度設計はできなかったのか? 通常、公務員の定年は、定年年齢に達した年度の末である。つまり3月31日だ。退職金を引き下げるのは来年度の退職者からにしておけば、このような混乱は避けられたはずなのだ。

教師は聖職か、労働者かという論争が、かつてあった。ま、どちらでもいい話を論争にできた古き良き時代ともいえる。が、教師が聖職であったとしても、彼らとて飯を食わねば生きてはいけない。定年を迎えて月々の給与がなくなる年齢ともなれば、例え100万円であろうと、手元にある金は多いにこしたことはない。
定年後の暮らしを考えざるを得なくなった彼らが、子供たちに後ろ髪を引かれながらも、非情な退職金引き下げ制度のため、いまやめるしかないという判断にいたったとして、何故彼らを非難できるのか?

「お前ら、アホや!」

という非難を受けるべきは、年度途中で早期退職した方が、最後まで職務をまっとうするより多い生涯賃金を得られるような制度を作った官僚どもである。
メディアも町の阿呆どもも、いま少し冷静に物事の本質を見抜く目を持たないと、大阪のファッショ市長と同じになっちゃうぞ!

 

本日、我が家にロボットが来た。

ルンバ780

というお掃除ロボットである。

今年正月、長男夫妻が我が家に来て雑談中、彼らがルンバを買ったことを知った。

「いや、うちでも買おうかと思うんだが」

という私に、長男は

「あれ、ホントにいいよ。買いなよ」

と勧めた。即座に

「いらない!」

と頭を振ったのは、我が妻女殿であった。この方、私が何度

「ルンバを買おう」

と提案しても、

「いらない」

の一言で押し通してきた方である。同じ調子で長男の提案も一蹴された。
それが今朝、長男から届いた。

「えーっ、こんなもの送ってきて。あれだけいらないといったのに」

というのが、妻女殿の最初の反応であった。

「開けてみればいいじゃないか」

と何度私がいっても、

「後で」

と取り合わない。結局荷ほどきされたのは昼食後であった。

夕方、充電が済んだルンバに初めて仕事させた。
スイッチを入れると軽いうなり声を上げ、部屋中というより、家中動き回ってゴミを集めた。ルンバ、働き者である。

イライラする局面もあった。

「ほら、そこにゴミが落ちてるジャン、目で見えるだろ?」

というところになかなか行かない。むしろ

「おい、そこ、さっきも掃除したじゃないか。何度同じところを回ってるんだ?」

という行動を繰り返す。

「ああ、やっぱり、ロボットはロボット。人間ほど賢くないわ」

と人間に生まれた優越感に浸りつつ見ていると、とにかく疲れを知らないルンバ君は、とうとう目で見えるゴミの場所まで行き着き、見事に吸い取った。

 「まだ掃除してんの?」

と妻女殿がおっしゃったのは、20分ほどたってからだろうか。とにかくルンバ君は、飽きることなく床を走り回っている。

「掃除が終わったと自分で判断すると、自分で充電器のところに戻るらしいから、放っておけ」

といったが、妻女殿は気が気ではないらしい。やがてルンバ君は引き戸の溝にはまり込み、動かなくなった。やむなく、手動で充電器に戻してあげた。開けてみると、結構ゴミを吸っていた。おお、お前、一生懸命に働いていたんだな。

「これ、璃子ちゃんとか嵩悟君が来たら喜んで追いかけ回すね」

あれほど不要論を唱えていた妻女殿もまんざらではなくなった。息子にプレゼントされた歓びと、ルンバ君の健気な働きが混ぜ合わされ、ルンバ君に好感を持ったか。

 

時折、掃除機で掃除することを妻女殿に強いられていた私の感想は一言だけ。

「これ、楽だわ」

明日は、自分で充電器に戻るまで働かせてみようと思っている。