2013
02.27

2013年2月27日 集中的に

らかす日誌

「ちょっと、集中的にやらせてもらっていいですか、肩?」

1か月ほど前から通っている接骨院で、突然そういわれた。25日、今週月曜日のことである。

「右肩がねえ、とにかく、まず右肩を治しましょうよ、集中して」

これまで、おおむね週2回通ってきた。保険がきき、1回の施療で360円。回数が増えても、たいした負担感はない。
おまけに、我が右肩は相変わらずである。最初の日、入念にマッサージされ、時には悲鳴をあげたくもなったが、終わってみれば何となく肩が軽くなっていた。

「これはいいわ」

と思い、整形外科の漢方薬もやめてしまったのだが、その後がどうもよろしくない。通っても通っても、肩の調子がよくなったとは思えない日々が続くのである。
であるからして、集中治療は願ったり叶ったりでだ。

 「やりましょう」

その日から、電気治療が始まった。肩に2カ所、右腕の肘の下と手首に4カ所電極を取り付け、電気を流してビリビリさせる。それが終わると、右肩から腕にかけての入念なマッサージが始まる。

「ここなんですよねえ。肘から手首にかけての筋が滅茶苦茶凝ってるんですよ。これをほぐさないと、肩もなかなかほぐれないんですよねえ」

それほど力を入れているとは思えないのだが、ポイントを責められると唸りたくなるほど痛い。

「効くねえ」

いや、効くという表現ではその痛みは伝えきれないのだが、男たるもの、

「痛い。なにすんだよ。やめろよ!」

と涙で訴えるというわけにもいかぬ。やむなくにこやかな表情で、できるだけ柔らかに痛みを伝えるしかない。

「ほんと、こりに凝ってますもんねえ」

まさか、私の声に励まされたわけでもないだろうが、ツボを押す指に一段と力が入ったように感じるのは、私の思いなしだろうか……。

腕の筋が終わると、次は右肩だ。上から横から後ろから、とにかく揉みに揉まれる。これ、痛気持ちいい、とでも表現すれば伝わるだろうか?

 

今日も同じ手順で施術が始まった。まず電気治療、次いで腕。

「ん? 今日は月曜日のようには痛くないよ」

 「うーん、少しほぐれてきたような感じですね」

 「でも、肩は相変わらず痛いんだけど」

…………。

約20分のマッサージが終わると、

「はい、今日はこれで結構ですよ」

ま、毎回のことだが、何となく肩が軽くなったような気にはなる。明日になれば元の木阿弥かもしれないが……。

「次ですが、金曜日でいいですか?」

悪いはずがない。いまは、すべてに優先して肩の治療をせねばならぬ。とにかく、ギターを抱えて20分もするとシクシクし始める右肩である。私がクラプトンに至る道に横たわる、大いなる障害なのだ。

 

エジプトの気球墜落事故。今日の夕刊によると、着陸しようとしたときにバーナー周辺から火が出て、操縦士が飛び降りて逃げたとあった。その後気球は急上昇して燃え、急降下したそうだ。

そうか、操縦士がいち早く逃げたか。

乗客の安全を守らねばならない操縦士がいち早く逃げ出すとは、エジプトには職業倫理もないのか!
などと無責任なことはいいたくない。さて、私が操縦士だったらどうしたか? を考えるだけである。操縦士も私も、所詮人間である。とっさの本能的な体の動きに、さて、どこまで責任を負えるのか。
事実であれば法的責任は免れないであろうが、それ以上を追求する勇気は、私にはない。

いずれにしろ、命は一つだけである。
金を使って遊びに行って命を失うこともある。
自宅の風呂場で転んで死に至ることもある。
あれも一生、これも一生。
いずれにしても、持って生まれた運と諦めるほかない。

それにしても、メディアは何故このような事故を血道を上げて取材するのだろう?
珍しい事故だから、怖いもの見たさの読者のニーズに応える?

でも、読者からしてみれば、この事故をどれほど詳しく知ったところで、たいした役には立たない。知らねばならないことはほかにあると思うのだが。

さて、私の右肩の完治まで、後どれほどの時間が必要だろう?