2014
03.21

2014年3月21日 愛車、戻る

らかす日誌

仕上がりは週明けになるといわれていたのに、今日、愛車が戻った。昼前に電話で知らせを受け、春二番と呼びたくなる強風の中、ガタガタに飛び乗り、喜び勇んで引き取りに行った。

「ここが割れてたんですね」

工場で、取り替えられたパイプを見た。なるほど、樹脂製の継ぎ手が割れている。

「いわれたとおり、全部取り替えたんでこんなになりました。確かにね、1カ所割れちゃえば、他も同じように経年劣化しているんだから、おっつけ割れますよね。全部取り替えというのはよかったと思いますよ」

料金は7万9000円弱。うち5万5000円が部品代であった。つまり、工賃は2万4000円ほどということになる。壊れたところだけ取り替えていれば、次に冷却水が漏れたとき、また同じ程度の工賃が必要となり、結果的には高くつく。今回、費用はややかさんだが、全部取り替えは、正しい選択だったと思う。 
しかし、我が愛車も程なく丸8年になる。

「ほかに経年劣化を心配した方がいいところってありますかね?」

念のために聴いてみた。

「うーん、いや、ここだけだと思いますよ。だから、これでまた同じ程度の期間は安心して走れるはずです」

そんな返事を背に、ガタガタから愛車に乗り換えて自宅へ。
うん、やっぱりいい。これなら買い換える気にはならないほどいい。最初は少しばかり高くても、13年、15年乗れば、その間の運転の喜びを含めて十分に元は取れるというものだ。


昨夜は、元桐生市の有力者O氏に誘われて、市の外れにある寿司屋「さいとう」に行った。
桐生市に来てまもないころ、

「寿司なら、さいとうがいい」

という話を聞いた。
であれば、一度味見をせねばならぬと、妻女殿を前橋日赤にお連れした日、帰りに昼食をとろうとこの店に立ち寄ったことがある。ところが、玄関が閉まっている。ピンポンとならしても、誰も出てこない。

「おかしいなあ。今日は休んでるのか?」

とつぶやきながら戻ろうとしたら、ご主人が顔を見せた。

「御免なさい。うちは夜だけなんです」

であれば、夜行くしかない。が、遠いのである。タクシーで行けば片道3000円ほどはかかりそうだ。

「いや、私も一度だけいったんですけど、確かに美味しかったですよ。そう、呑んで食って、1人7000円ぐらいかなあ」

東京では、ごく普通の、美味しいとも美味しくないともいえないような寿司屋だって、そんな金では済むまい。それが、美味しい、という。一度行かねば。とは思うのだが、なかなか機会がなかった。

事情はO氏も同じであったらしい。先週、いつものように無駄話をしていて、偶然「さいとう」の話になった。2人とも評判は聞いているものの、一度も足を運んだことがない。

「だったら、今度はさいとうで飲もうか」

と話がまとまるのは当然である。そして昨日。

まず、空豆、からすみなどが盛られた突き出しから始まった。ビールを一口のみ、空豆に挑んだ。
あ、美味い。こんな時期に、こんなにふくよかな味がする空豆が出る。それだけで、私の評価は決まった。評判に違わぬ良い店である。

毎週3日、片道3時間かけて築地市場に買い出しに行くそうだ。この時期、カツオは紀伊勝浦の産。

「えっ、まだ初鰹の時期でもないけど?!」

「ま、召し上がってみてください」

うん、確かに美味い。これが脂がのった下り鰹の時期になったら、どんなにうまい鰹が出て来るだろ、とワクワクするほど美味い。

さて、あとは何を食ったのか。ビールのあとは男山を燗酒で呑み、出されるものすべて大いなる満足と一緒に胃袋に送り込んだ。

聴くと、3年前から昼食も始めたのだという。ただし、昼は天ぷら定食のみ。

「寿司屋で天ぷら? 油の臭い、どうするつもりだよ。寿司食うときには邪魔だろ?!」

とお考えになる向きもあろうが、昨夜寿司を楽しんである間、天ぷら油の臭いはしなかったことを付け加えておく。となれば、これも一度、試食に出向かねばならぬ。昨夜食べた料理の味からすれば、天ぷらも十分に期待できる。

帰りに、妻女殿の好物、穴子を

「最小単位でいいから」

とお願いして握ってもらった。見ると4個。それを皿に盛り、サランラップをかけてくれた。

「このお皿……」

と言いかけると、

「いつでもいいから返してください」

ふむ、これでは必ず再訪しなければならないではないか。ひょっとしたら、新手の客つなぎ止め策か?
が、必ず再訪する店だから、まあ、いいか。

妻女殿は、夜のうちに2個食べ、

「これ、美味しい! しゃりが小さいのもいい」

残りの2個は今朝召し上がっていらっしゃった。


そうそう、昨日はガタガタに乗って前橋日赤に行ったのだが、

「朝から足がゾウのようにむくんでる。薬を飲んで治療しているのに、どうしてこんなに? 治療効果が上がってないのかなあ。私の腎臓はだめなのかなあ」

とガタガタの車内落ち込んでいらっしゃった妻女殿が、診察を終えると 

「足がむくむのは薬の副作用で、治療効果はちゃんと出てるんだって」 

と表情が一変した。 
体の状態は、前とあとで同じはずなのに、前向きの話を聞かされただけでこれほど変わるか。 
人間とは面白い。 

次の受診は4月4日である。