2014
10.09

2014年10月9日 歯の健康

らかす日誌

幼い日々に貧しい暮らしをしたためであろう。当時、栄養失調状態にあったらしく、私は歯が悪い。
それをなだめながら使い続けている。インプラントが1本入っているし、ブリッジが確か2カ所。他に冠をかぶせているもの数本。

で、だ。
最近調子が悪いのが、右上の奥歯である。親知らずはすでになく、その手前の歯は残っているが、次の歯は抜歯済みで、もうひとつ手前の歯と、残っている一番奥の歯にブリッジを架けている。
調子が悪いのは、その一番奥の歯である。どうやら根っこのところに炎症ができているらしく、時折歯茎が腫れる。歯が浮いてものを噛めば痛むし。どうかすると、口に何も入っていなくても痛みを伝えることがある。

いずれは、ここももインプラントをしようと思っている。インプラントをするには、それを埋め込む骨がしっかりしていなければいけないが、歯科医である次女の旦那によると、私は一番奥の歯を支える部分の骨が薄くなっている。インプラントがやりにくい状態だ。

「でも、いまの技術では、そんなところにインプラントすることもできますし」

と彼が言ってくれるので。いずれは彼の治療台に上ろうと思うのだが、しかし、だ。インプラントをするためには、まず一番奥の歯を抜かねばならぬ。抜くと、私の口の中では、右上の奥歯が、奥から2本なくなることになる。これは、ものを噛むには不便である。

「歯を抜いて、3、4ヶ月はその下の骨の成長と歯肉の盛り上がりを待つというが、その間、どうすれば食べるのに不便しないか。考えて欲しい」

と彼には課題を課している。が、さて、奥から2本なくなった歯を補う手法があるのかどうか。なければ、その間は左で噛むしかなくなるのだが。

いや、今日はインプラントの話ではない。根っこに周りに炎症が起きている右上の一番奥の歯の話である。

体のどこかに炎症が起きれば、体はその炎症を修復しようとする。その結果、膿ができる。膿とは、戦いの残骸なのだ。歯の根っこにたまった膿は出場所がなく、歯茎の腫れをもたらす。
であれば、この膿を外に出してやればよい。そうすれば患部の腫れはなくなる。痛みも去る。

ということに気がついたのは、口腔洗浄器のおかげである。

まあ、我が妻殿も、これは持病のために飲み続けている薬の副作用であろうが、歯が弱い。であれば、歯を支える歯肉を刺激するがよかろうと、口腔洗浄器を購入したのは、そう2年ほど前のことだ。
購入を検討していたら、妻女殿が

「お父さん、生協で売ってるけど」

とおっしゃった。見ると、なるほど口腔洗浄器である。同じ製品の価格をネットで調べると、生協の方が2000円ほど安い。

「よし、これにしよう」

口腔洗浄器なんて、何処の製品を買おうとたいした違いはあるまい、という程度の知識しかなかった私の決断であった。
が、結果的に見ると、大正解の買い物をしたことになる。

生協が届けてくれたのは、オムロンのHT-J202という製品であった。
当初は、

「はあ、これが口腔洗浄器か」

と喜び勇んで使っていた。時折行く歯科医で

「買ったんだ」

というと、

「あんまり効果はありませんけどね」

という意気消沈するような話しか聞けなかったが、とにかく使い続けた。我が妻殿は、勢いよく噴き出す水に恐れをなしたのか、全く使用されなかったが、私は毎日使い続けた。

えっ、と思ったのは、多分、1年ほど前である。今と同じ右上の奥歯が痛み始めたので、そこに集中的に水を当てた。痛いところに高圧の水をぶつけるのである。痛くないわけはない。私はマゾヒズムなど持ち合わせてはいないが、それでも我慢して水を当て続けた。
すると、出た。血が。どんどん血が出て、うがいをしても吐き出す水が赤くをまるほど血が出て、

「ひょっとしたら、これ、炎症部分にたまっていた膿と血が一緒に出てるのか?」

と考えた。
翌日も高圧水を傷む部分にあてた。次の日もあてた。日を追って、出る血の量が減った。やがて、ほとんど血が出なくなった。

「あれ、痛みもなくなったぞ」

恐らく、患部にあって逃げ場がなく、ために周りの歯肉を圧迫して痛みを引き起こしていた膿と血が外に出たためであろう。痛みが消えたのだ。
以来、口腔洗浄器は、我が暮らしになくてはならない道具になった。


以上が、今日の話の前提である。

その、オムロンの口腔洗浄器が1ヶ月間ほど前、壊れた。本体から吹き出し口に水を送るパイプの、吹き出し口に近いところに穴があいた。その穴からも水が噴き出すから、ノズルから出る水の水圧は低くなる。だけでなく、周りが水浸しになる。

「はあ、修理しなくちゃ」

とネットで検索した。しかし、困ったことに補修品がない。たかがパイプの破れである。その部分さえ取り替えれば快適に使えるはずなのに、取り替え用のパイプがないのである。
相手は高圧の水である。漏れを防ごうとビニールテープを巻いたところで、必ず吹き出してくる。

「そうか、寿命か」

私はそう判断した。そして、粗大ゴミに出した。その判断が大きな間違いだったと知るのは、しばらくしてからである。

寿命であれば、新しく購入するしかない。ネットで探したが同じものはなく、えーい、ままよ、と、比較的評判のよかった Panasonic ドルツ・ジェットウォッシャー 白 EW1250P-W をamazonに注文した。翌日到着したこいつをそれ以来使っているのだが、使いながら違和感があった。

「血が出ない」

毎日昼食後に使うのだが、これだと歯茎から血が出ないのだ。前のオムロンでは、必ずと言っていいほど血が出ていた右上の奥歯の根本に水をあてても、あまり痛みを感じない。そして血は出ない。

当初は、

「そうか、いまのところ、私の歯はとりあえず健康を保っているのであるか。だから痛みもないし、血も出ないのだ」

と勝手に解釈していた。
が、そうはいかない事態に立ち至った。痛み始めたのだ、右上の奥歯が。これは、またまた膿がたまって出場所を求めているのである。

で、水をあてた。痛くない。そして血も出ない。痛みは残ったままである。

口腔洗浄器で高圧水をあて、血が出れば痛みは治まる。
これが、私の経験知である。であるからして、血が出ない口腔洗浄器は無用の長物だ。

買い換えよう。またオムロンを買おう。パイプが破れてもいいではないか。だって、それでないと痛みがなくならないのだから。
と、ネットを検索した。ない、何処にもない。オムロンの口腔洗浄器はもう売っていない。どうする?

では、何が違ったのか。これもネットで調べてみた。
これである。最大水圧。

オムロンは710kpa(キロパスカル)。
新たに購入したパナソニックは650kpa。

その差60kpa。それがどれほど意味のある差なのかは、私には分からない。分かったのは、私の歯茎は710には反応するが、650は受け流す。だからパナソニックでは血が出ないのである。

650を710に引き上げる手はないか? 考えた。吹き出し口をもっと小さくすれば水圧は上がるはずであるとまでは思い至った。では、どうすれば吹き出し口を小さくできる。 

相手は樹脂である。 

「熱して柔らかくし、ペンチでつぶして穴を小さくしよう」 

とは熟慮を重ねた結果であった。そして、やった。多少水圧は上がった感じがした。が、困ったことに、水の方向が一定しない。恐らく、穴が多様に変形し、あちこちに水を吹き出すようになってしまったのである。いくら水圧が上がろうと、患部にあたる水の量が減ってしまっては効果はない。 

「仕方ない。新しく買うしかないではないか」 

それが本日の結論であった。
結論が出れば行動は速い方がいい。直ちに、手に入る製品で最も水圧が高いデントレックス E101をamazonに注文した。これの水圧は690kpa。パナソニックより40高く、オムロンに比べれば20低い。これで、私の歯茎から血が出てくれるかどうか……。 
明日届く。これで血が出なければ、私は歯科医に行かねばならない。 

でも、オムロン、なんで販売をやめちゃったんだろう?  

「こんなものを売られたら患者が減るだろう!」 

という歯科医師会の圧力か? そんなこともあるまいが……。