2014
10.17

2014年10月17日 来るべきものが

らかす日誌

とうとう来てしまったのか?

昨日書いた日誌を今日、何の気なしに見て、ギョッとした。
お読みになったあなた、読んで何か違和感を持ちませんでした?

タイトルが、間違っているのである。「風邪」とありながら、本文中には風邪の話は全く出てこない
考えてみれば、私もすでにして65歳。いよいよ来るべきものが来てしまったか? Purple Haze=まだら惚け、が。

事実関係を振り返ろう。
そうなのである。私は昨日、風邪について書くつもりであった。朝から鼻水が出て、風邪の初期症状が現れたからである。

その前日、15日は、業界団体の歓迎会であった。同業の1社で人事異動が行われ、新しい桐生担当が赴任(といっても8月のことだが)した。それをつまみに、同業者で酒を酌み交わそうという集まりである。

市内の串揚げ屋で開催した。しばらくして異様なことに気がついた。酒に手をつけないオッサンがひとりいたのである。

「飲みなさいよ。歓迎会なんだから」

「いや、俺も飲みたいんだけどさ、今朝風邪ひいちゃって微熱があるんだよ」

「微熱?」

「そう、7度1分ぐらい」

そういうと、彼は体温計を取り出して左の脇の下に挟んだ。ふむ、飲み会に顔を出すのに体温計を持参する。変なオッサンである。

「微熱? だったら酒で吹き飛ばしちゃいな。うん、熱燗がいい。お姉さん、こちらに熱燗ね」

それでもオッサンは飲まなかった。頑なに酒を拒んだ。

しかし、である。飲み会の熱気は、ひとりぐらい変なオッサンが紛れ込んでいて、ひたすらにホットウーロンを口には混んでいるぐらいで盛り下がるものではない。変なのは変なのとして脇に置いて、起きっぱなしにして、ワイワイ言いながら全員で楽しんだのである。

その日、夜中に目が覚めた。掛け布団が体からずり落ちている。

「ああ、ひょっとしたら寒さで目が覚めたか」

とぼんやりと思いながら、掛け布団を引っ張り上げた。
ん、おかしい。この掛け布団、幅が狭い。体に掛けると、右も左も畳につかない。よって、私の身体は、お腹は掛け布団で守られているのだが、右左の脇腹は外に出っぱなしである。

「なんだよこれ。掛け布団の役に立たないじゃないか。うちにこんな変な掛け布団、あったか? こんなものを俺に使わせるとは、さては妻女殿、何か俺に恨み辛みでもあるのか」

夜中だというのに、頭が論理的に回転し始めた。まずい。頭脳にいつもの明晰さが戻れば、再び夢の世界に入るのが難しくなる。だから、できれば掛け布団に関する謎解きから離れたい。が、謎を解かねば私はどうやってぬくぬくと寝たらいいのか?

「えっ、これ、敷き布団じゃないか!」

突然気がついた。そうである。これだけの横幅しかないのは敷き布団でしかありえない。でも、俺、何で敷き布団をかぶって寝てるわけ? 2枚重ねで使っている敷き布団の、その2枚の間に私の身体を滑り込ませたのはいったい何者だ?!

それまで掛け布団状態になっていた敷き布団をはずし、1枚だけの敷き布団に横たわった私は、視線を部屋中に及ぼして本来の掛け布団を探し出すと(部屋の片隅に鎮座していた。寝るときはこれを掛けたはずなのだが……)、何故かすぐに再び夢の世界に戻った。これだけの作業は、さほど頭脳の明晰さを求めないものと見える。

ということがあった翌朝の鼻水なのである。何度も何度もかんだのに、それでもズルズルと出て来る鼻水である。

「あれまあ。昨日のオッサンの風邪が移ったかね? それとも、寝相が悪かったせいか?」


昨日は、という話を書く予定だったのである。だから、タイトルを「風邪」とした。
それなのに、前ぶりに数学の話を書きつつ、

「そういえば、夜のニュースで小渕優子を見たよな」

と思考が転回し、書き進んだ。で、小渕編を何とかまとめると、

「ああ、今日も書いちゃった!」

と日誌を締めくくり、

「久しぶりに映画を見るか」

と頭は次の行動を考えていた。すでに、風邪の話は頭の何処にも残っていなかった。まあ、朝はあれだけズルズルで、

「これは早めに薬を買って飲んだ方がいいかな?」

という症状だったのに、昼前には全く正常に戻っていたこともある。それからずっと、風邪の「か」の字も思い浮かべずにすむ健康状態だったから、今日になって「らかす」の最初のページを見るまで、タイトルに「風邪」と書いたことさえ、綺麗さっぱり忘れてしまっていたという体たらくだったのである。


しかし、である。
私がこのような不始末をした際には、

「何さらしとんねん、惚け! 風邪、とはいったい何のこっちゃ?!」

という過激なお叱りでも構わないので、メールなどでお知らせいただければありがたく思う。「惚け」という、私の現状を、ひょっとしたら正確に表現しているのかも知れない言葉も、ご遠慮なくお使いいただきたい。その程度で傷つく私ではない。多分、ではあるが。

さような行動で、私の惚け防止にご協力いただければ、もって至福とするものである。

読者の皆さん、よろしく御願いし奉っちゃいます!!