2014
11.03

2014年11月3日 コラーゲン

らかす日誌

とは、もっぱら女性に喜ばれるものだと思っていた。

だから、男にとっての使い勝手は、まず中華料理屋に女性を誘うことから始まる。

「ねえ、フカヒレのスープってあるんだけど、食べる?」

金銭感覚がまともな女性なら、

「えっ、でも高いんでしょ? いいわよ、そんなもの」

と答える。そこへ

「食べたいんだったら、食べなよ。コラーゲン、美容にいいっていうじゃない」

女性は、それでも躊躇する。

「だって……」

そこへ追い打ちをかける。

「いや、今のままでも充分に綺麗だけど、君がもっと綺麗になれば俺も嬉しいし、さ」

これで決まりである。スプーンで掬ったフカヒレのスープを口に運んだ彼女が

「あ、美味しい!」

といったら、後は約束されたようなものだ。
もちろん、当てが外れることはままあるが。


突然話が飛ぶ。 

「軟骨は再生する」

と著書で主張されているのは、医師の石井光さんだ。
通説では、すり減った軟骨は、何をしようと再生しない。膝の軟骨がすり減れば、硬い骨同士が直接触れあって痛む。当初は薬で痛みを抑えるが、押さえきれなくなると、医者はニンマリする。

「人工関節しかありませんねえ」

保険の適用はなく、費用は数百万円。しかも、一種の機械だから、当然経年劣化する。10年から15年すると使えなくなり、

「取り替えなくてはいけません」

で、また数百万円。医者のドル箱である、と石井先生はおっしゃる。
おっしゃったついでに、石井先生は、

「軟骨が再生しないというのは嘘である」

とおっしゃる。
では、何を用いれば再生するのか。それが、本日のタイトル、

コラーゲン

なのである。
これで話がつながった。

通常、軟骨がすり減って痛みを訴える人々は、ヒアルロン酸とコンドロイチンに救いを求める。それがいいとの説が、主に広告媒体で沢山流されているからである。
なにしろ、この高齢化社会だ。本当はとっくの昔に棺桶に入っていなければならない人々が、そんなことは頭から無視して生き続け、寿命が短かった間は一生ものであった軟骨がすり減った後も沢山生きている。ために痛みを訴えるのだ。
人の弱みにつけ込んで物を売る。マーケティングの定番である。

「歩くのが辛くなったら」

などというキャッチコピーで、ヒアルロン酸とコンドロイチンを含んだ薬なのか健康補助食品なのか判然としないものが、薬局に行けばずらりと並んでいる。並んでいるのだから、それなりに売れているのである。

だが、これも石井先生によると、

「意味がない」

では、何故にコラーゲンであれば意味があるのか。
石井さんはこういう。

コラーゲンは、軟骨を包む袋の成分である。袋がないところに、その袋の中に入るものを送り込んだって、何にもならない。

なるほど、これには一理ある。だけど、ほんとにコラーゲンで軟骨は再生するのかね?

石井さんは、東京・日本橋の開業医である。そこで石井さんは、軟骨がすり減って膝の痛みを訴える患者にコラーゲンを飲ませた。すると、1ヶ月ほどで痛みが治まった。そのレントゲン写真を仲間の医師に見せて

「ほら、軟骨が再生してるだろう」

といったら、

「いや、これは撮影の角度の関係で、骨と骨の隙間が大きく見えてるだけだ」(レントゲン写真に軟骨は写らない。硬い骨だけが写り、その隙間に軟骨があると判断する)

と、頑として認めなかったそうだ。

以上は、石井さんの著書、

医者の嘘 医者は自分の都合でウソをつく」(幻冬舎)

の一部の要約である。
あ、正確な医学知識がない私による要約である。ひょっとしたら、細部に間違いがあるかも知れない。そこはご容赦いただきたい。


で、読んでその気になった私は考えた。

「膝の軟骨が再生するのなら、腰の軟骨も再生するのではないか?」

この日誌をお読みいただいている方には記憶にあると期待するが、私は腰痛持ちである。それも、背骨の一番下の方で、背骨と背骨の間にある軟骨がすり減って形が変わり、ために背骨がずれて起きる腰痛である。これまでの常識では、すり減った軟骨は再生しないのだから、痛み止めで痛みを抑えるしかない。悪くすれば、日常生活を送るために、死ぬまで薬を飲み続けることになるかも知れない腰痛である。

でも、軟骨が再生すれば、腰の痛みから解放されるのではないか?

思いついて、私は先週、コラーゲンを買いに走った。

信頼している薬局に行って買い求めた。高い。20日分で6000円である。しかし、その程度の出費で腰の痛みから解放されるのなら、幸せと思わねばならない。腰の痛みとは、それほど恐ろしいものである。

とりあえず買い求めて服用を始めた。その後で、石井先生の著書の先を読んだ。
それによると、コラーゲンは豚などの動物からとるもの、魚の鱗からとるもの、魚の皮からとるもの、に分けられる。動物性コラーゲンは吸収率が魚の7分の1しかない。鱗からとるものは、処理の過程で酸を使い、それが残留している恐れがある。また、皮からとるものでも、養殖魚からでは、飼育家庭で多用される抗生物質が残留しているかもしれない。だから、一番よいのは、天然の魚の皮からとったものである、という。 

「天然の魚の皮? ま、これ、20日分で6000円もするんだもんな。それに違いない」

とは思いながら、買い求めたコラーゲンの解説を読んでみた。ところが、何処にも、何からとったコラーゲンであるかの説明がない。

「……」

ま、何からとったコラーゲンでも、全く飲まないよりはいいはずだ……、とも思うが、それでいいのか、と自分に問いかける自分もいる。

ネットで探した。コラーゲン、魚の皮、で検索すると、いくつか出てきた。説明を読む。なるほど、石井先生と同じ説明をしているものがある。だが、本当に天然の魚の皮から抽出しているのか? となると、何しろ無責任な宣伝である。信頼していいのかどうか、決め手がない。

なのに、今日、注文してしまった。

・1ヶ月分で4900円強と、今飲んでいるものより安い

・Amazonで販売している

の2点が決めてであった。ふーむ、私の中でAmazonは、そこまでの信頼度を持つブランドに育っていたのか、と初めて思い知った。


そこで、である。すでに1週間ほどコラーゲンを飲み続けているのだ。効果のほどはどうか。

まず、私がより美しくなったと指摘した人は、これまで一人もいない。コラーゲンの美容効果は1週間ほどでは出ないようである。

が、要は、腰である。
いま、腰が痛い。今日は長めに入浴し、腰に湿布を貼った。そして、何故痛むのかと考えた。

我が妻女殿の歯の治療のため、土曜日に横浜に行き、日曜日に相模原まで行って、今日桐生に戻った。3日間での走行距離は450㎞ほどである。そのためかも知れない。

横浜の家で、板張りのフロアに布団を敷き、瑛汰と添い寝をした。板張りが悪かったとも考えられる。布団が体に合わなかった公算もある。瑛汰と布団に入るのが午後9時半頃。起きるのが午前6時半頃で、横になっている時間が長すぎたとも考えられる。

そんな要因を数え上げながら、でも、とも思う。

「ひょっとしたら、本当に軟骨が再生している?」

何しろ、これまでしばらくの間、すり減っている現状で安定していた軟骨なのである。それが突然コラーゲンを送り込まれ、少しづつ大きくなり始めた。安定が破れれば、激動が起きる。

「これは、治癒に至る過程での痛みなのでは?」

無論、これは希望的観測である。そして、本当にそうであって欲しいと願う私である。

コラーゲン。少なくとも3がヶ月は試してみる予定である。それで私の腰と美容がどのように変化するか。

腰痛を、それも軟骨由来の腰痛、あるいは膝の痛みをお持ちの方は、我が腰痛の変化にご注意ありたい。
そうでない方は、私の美しさの変化をトレースされたい。

我が人体実験が成功裏に終われば、男にとってのコラーゲンは、見目麗しい女性をその気にさせる道具以上のものであることが証明される。それは、素晴らしいことではないか?

ご注目ありたい!