2015
01.20

2015年1月20日 桐生市長選

らかす日誌

午前中は、ブルーレイディスクの制作に従事した。次女一家、つまり瑛汰、璃子の家族のビデオ映像をブルーレイディスクにし、そのディスクに写真を貼り付けたりして保存に耐える外観にする仕事である。

「だって、君。今日は平日だぜ。仕事は?」

ま、硬いことはいいなさんな。今日の午前中は仕事がなかったのだから、私事に使っていけないこともなかろう?

瑛汰、璃子の家庭には、ハイビジョンカメラがある。だから、瑛汰が誕生し、幼稚園、小学校と進む一方、途中で璃子なる「お姫様」がこの家庭に加わった歴史が、ハイビジョン映像で残っている。
それはいい。多くの家庭で実践されていることだ。
ところが、我がファミリーの場合……、

「お父さん、御願いしてもいいかな」

といったのは次女である。

「ビデオの映像がたくさんあるんだけど、それ、ディスクにできなかな。ほら、うちにはレコーダーがないから」

ブルーレイレコーダーを次女の一家が所有していないことは事実である。いや、次女のところだけでなく、長女のところに、長男のところにもない。
従って、彼らが

「見たい! 持っていたい!」

という動画は、すべて私の元で制作される。啓樹、瑛汰が見たがるスター・ウォーズも、ディズニーのアニメも、瑛汰専用のリーガ・エスパニョール、ブンデス・リーガのサッカーも、全世帯が必要とする機動戦士ガンダムも、すべて私が録画し、ディスクに焼き、発送してお手元に届ける。

子孫のために、金と時間を使ってここまで律儀に奉仕する「ボス」が他にいたら、一度お目にかかってみたいものである。しかしなあ……。

というわけで、次女の申し出を拒む自由は私にはない。

「だったら、録画済みのカードをもってこいよ」

こうして、カードに録画された7時間近い映像をブルーレイ・レコーダーに移し、小分けし、時系列に従って並べ替え、それぞれの映像にタイトルをつけてディスクに焼く。

「お前のところはディスクの扱いが乱暴で、記録面に傷をつけて再生できなくしたものがたくさんある。だから、お前のところに2セット送る。それでも心配だから、俺のところに2セット置いておく」

こうして計16枚のディスクをつくった。それに適当な写真を印刷して仕上げたのが今朝である。

まあ、家族とは、ファミリーとは手間暇のかかるものであることよ。


という私事はどうでもいいとして、今年4月に迫った桐生市長選挙。普通なら、誰が市長になったって我が身に何かいいことがあるわけでなし、悪いこともなさそうだから、まったく関心がないのだが、今回は少し様相が違ってきた。変なヤツが、変な力学で立候補するのである。

これまでは、現職と、県議を辞して市長選に挑む革新系候補者、いや、革新系というのは死語になりつつあるから、より現代的な言葉を使うと、保守系の現職に対し、労働組合を基盤として県議になっていた71歳のおじさん、ひょっとしたらおじいさんが

「現職に任せておいては桐生がおかしくなる」

と立候補、一騎打ちを仕掛ける、という構図であった。

そのあたりに詳しい人によると、保守的な気風が強い桐生ではあるが、

「いまの市長さんは2期もやっているのに何にもしない」

という草の根評価がかなり広がっており、

「結構いい勝負になるのではないか」

といわれていた。
ま、そこまでなら、どうせ部外者の私には、ほとんど関係がないことである。

ところが、だ。
県議選への挑戦を記者会見まで開いて表明していた市会議員が、一転して

「私、市長選に出ます」

と言い出したのだ。朝日新聞はまだ報じていないが、読売新聞、上毛新聞、それに地元の桐生タイムスが記事にしていたから、間違いなかろう。

で、そんな騒ぎが起きたので、何と、私みたいな部外者にまでいろいろな話しが入り始めた。
それをまとめると、次のような構図である。

現職市長には、詰まらぬことで仲違いした中堅企業の社長がいる。市長が初当選したときは支持母体のひとつであったのだが、その後、ここに書くのもはばかるような詰まらぬことで犬猿の仲となった。

その経営者が

「現職に3選させてなるものか」

と動き始めた。まあ、何もしていないといわれる市長だから、その私怨をまっとうに見せる術には事欠かない。

「何もしない、できないあいつに桐生市を任せていたら町がつぶれる」

といえば、うなずく人も多いのである。

そこまでなら、普通の話である。

だからこの経営者は、何とか現職を引きずり落とせないかと画策した。自分好みの候補を探し求めたこともあったらしい。ところが、そもそも人材が払底している桐生である。いない。そうこうしているうちに、県議さんが立候補を表明した。

県議さんが当選すれば、現職は落ちる。だから、私怨を晴らせるのだが、少なくとも彼は経営者である。組合を基盤にする候補者に肩入れするわけにはいかない。

この経営者、

「オヤジさんは偉かったのにねえ……」

という評判がつきまとう2世である。

「オヤジさんは政治に金は出しても口は出さなかった。しかしあいつは、政治に口は出すが金は出さない」

という人さえいる。真偽のほどは、私には不明だが。

しかし、金は出さなくても、今回、知恵は出したようだ。

「だったら、だれでもいいから保守系の候補をもうひとり立てて、そいつを押そう。それなら会社ぐるみでやれる。結果として保守票が割れて県議さんが通るじゃないか」

こうして彼は、私怨を晴らす道を見いだした。

白羽の矢を立てられたのが、彼の市会議員である。県議選に打って出ると表明済みの男に因果を含めたらしい。どっちみち、保守票を割って現職市長の票を減らすために立てる候補である。当選する見通しは、ほぼない。

「だから、暮らしの面倒は見る」

と説得したとも聞く。これも未確認情報だが、少なくともその程度の話しがなければ、県議選から市長選への鞍替えが起きるはずはない。

と綴ってくれば、まあ、田舎の田舎選挙である、ともいえる。
だが、私はムッとした。

「おい、金と力があれば、市政を我がものにしていいのか?」

何しろこの男、下請けに指令を出せば5000票を動かせるそうなのだ。命令に従わぬ下請には仕事を出さない。仕事がなければ一家心中だから、下請けは渋々出も動く。そんな構図の中で大きな顔をしてキングメーカーを気取る。

ヤツの書いた筋書き通り、労組を基盤とする県議さんが通ったとしよう。新しい市長は、自分の当選に大きな支援をしたキングメーカーに頭が上がらないはずだ。
まかり間違って、ヤツが動かした市議さんが当選するようなことになれば、ヤツの傀儡政権ができるだけである。

桐生市民の皆さん、地元三バカトリオの一角を占めるこの男に、市政を壟断されたいか?

という話しが私の耳にも届くのである。多くの桐生市民の耳にも届いているはずだ。
さて、4月の市長選挙、市民はどんな判断を示すのか。

市長選なんてまったく関心がなく、投票所に足を運ぼうなんて気になったことがない私ではあるが、さて、今回はそうもいっていられないような気になってきた。

ねえ、あなたは桐生市民ですか? あなたはどう判断しますか?