2015
12.13

2015年12月13日 お疲れ様

らかす日誌

タイトルにもしたとおり、疲れた。

腰が痛い。
上半身、特に上腕の筋肉がこわばっている。
関節、中でも両手首の関節が痛む。
両手とも傷だらけだ。
フーッ。

私が日曜大工に挑む前触れは、月初めの日誌でお伝えした。
あのような訳で、私は5日朝、太田のジョイフル本田まで買い物に出かけ、材料である板、その他キャスターや木ねじ、クギ、木ねじ、それに切削工具などを午前中いっぱいかかって選択、買い求めてきた。

自宅に戻り、昼食を済ませてすぐに作業に取りかかったのは言うまでもない。

まずは、作業が簡単なキャスター付き本棚から始めた。
これは材料である板をジョイフル本田でカットしてもらってきたので、あとは木ねじを使って組み立てるだけである。

と簡単に書くが、この本棚のアイデアは優れものであると自負している。
かつて、いつでも分解できる本棚を考案して作った(いつかの日誌に書いたはずだが、何処に書いたのか探し出せない。関心をお持ちの方は、「らかす日誌」を順繰りにお読みいただければ出て来るはずだ。私がまだ横浜にいた間だから、2009年3月までの出来事である)私だから、ちょっとした本棚を作るにも、ある種のひらめきがある。

今回は、移動式本棚に挑んだ。本棚にキャスターがつき、いつでも何処へでも、簡単に移動できる。

事務所の机の周りに、本が増えすぎて置き場所に困るようなったのがきっかけである。貯まりに貯まった本の大半は、算数、数学関連。できればいつでも手にとってページを開きたい(難しい問題に遭遇したとき、他の本も参考にしたい)、と考える私は、周りに本を置く場所がほしいのである。それが限界に達したので、新たなスペースを創り出すしかない。本棚が移動できれば、使わないときは事務所の空きスペースに置いておけばよい。必要になれば引き寄せられる。

と考えて、背の低い本棚にキャスターをつけることまではすぐに思いついた。が、そこまで行って、待てよ、と考えた。
本棚は、横幅に比べて奥行きが短い。それだけでも安定感に欠ける。だから必ず壁際に設置する。安定感のなさを補うためである。
それだけでも問題なのに、それにキャスターをつける? そんな本棚、さらに安定感が減り。いつでも何処でもひっくり返ってもおかしくないじゃないか!

発明は問題にぶつかったときに生まれる。

「じゃあ、倒れないようにしようじゃないか!」

奥行きの浅い本棚を2つ作る。そして、その2つの本棚の片側を蝶番でつないでしまえ! そうすれば、2つの本棚を90度に開いておくこともできるし、単純に2つを背中合わせにして棚としての奥行きを倍にすることもできる。

「これなら安定感が増すだろう?!」

出来上がった移動式開閉式本棚は、想定通り、実に安定している。

私用と、瑛汰用の2つを作った。私用は高さが80㎝ほど。瑛汰用はその半分ほどで、使わないときはダイニングテーブルの下に入れておくこともできる。次回、横浜に行くときに持っていってやる。

使った板が安物だから見た目はよろしくないが、機能は優れものである、と自負する。

さあ、簡単な作業は終えた。
6日から、璃子がリクエストした、リカちゃん人形用の洋服タンスに取り買った。

材料は、1㎝厚のシナベニアである。ジョイフル本田で探したが、他に適当な材料がない。切り口は美しくないが、まあ、仕方なかろう。あとで色を塗るなり、紙や布を貼るなり、対処の仕方はあるはずだ。

おおざっぱな設計図を元に買い求めた素材である。大まかなサイズにカットしてもらい、細かなカットは自宅で、我が手で、その場合わせでやればよい。
その程度のおおざっぱな心がけで始めた。これが悪戦苦闘を招こうとは、神ならぬ身の私が知るよしもなかった。というか、きちんと考えればいくらでも知ることはできたはずだが、

「まあ、何とでもなるわ」

となめてかかったのである。

何しろ。洋服タンスである。であれば、吊さない洋服は引き出しにしまうであろう。大きなものは大きな引き出しに、小さなものは小さな引き出しに、と考えた。

で、洋服タンスの下4分の1ほどは引き出しにあてることにした。引き出しは2段である。
上は洋服を吊すところである。だが、リカちゃんはロングドレスばかり身につけるわけでもなかろう。ツーピースのスーツもあろうし、ジャケットだってある。であれば、このスペースの左半分には小物入れの引き出しを作ろう。その上に吊すのは短いジャケットやスーツであればよい。

ま、考えてみれば、構想としては完璧である。

「いや、引き出しは難しいのでは?」

そんなことはない。棚をつくり、その棚に乗る箱を作れば引き出しになるではないか。簡単とは言わないが、できないはずがないではない。

と6日の朝から、作業にかかりきりになった。
何しろ、精密な設計図は書かない(それには、手に入る板の厚みがわからなかったから書きようがなかった、と言ういいわけも可能だが……)ままである。一つ一つつくりながら、その場で次の作業を考えるしかない。となれば、まず引き出しから作らねば。

引き出しの高さは3㎝である。ところが、底板にする板の厚みが不明だったため、ジョイフル本田では3㎝幅にカットしてもらった部材しかない。そのあと手に入れた底板は、厚み4㎜であった。となると、この3㎝から4㎜を取り去らないと、合計で3㎝にはならない。でも、どうやって幅3㎝の板から、幅4㎜の板を切り離す?
一度でもノコギリを手に持ったことがおありであれば、その作業が困難を極めることはすぐにおわかりいただけるであろう。なにしろ幅3㎝。ノコギリは、その板に縦に入れねばならない。おい、何処を押さえて鋸をひく?

いま思えば、それが失敗の始まりであった。
ひょっとしたら、あとの成り行きをそろそろ思い描かれているのではないか?
そうなのである。なんとかかんとか作業を進めて出来上がった引き出しは、何となく、一つ一つ違うのだ。個性があるといえば格好いいが、タンスの引き出しに個性は無用である。いや、むしろ邪魔なのだ。

「まあ、だからの現場合わせだから」

と己を慰めつつ、出来上がった引き出しに合わせながら、引き出しが乗る棚板を取り付け、さらにその上に引き出しを乗せてその上の棚板を取り付けて……。

「この引きだし、きついわ」

だったら、削ればいい。電動サンダーがあるのはこんな時のためでしょ?

小物入れの引き出しはタンスの戸を閉めたときに邪魔になってはいけない。だとすれば、戸を閉めたときの線からこの程度下がっていなければならないし、あれ? 小物入れの引き出しが入らないぞ!

てなてんやわんやを繰り返して丸1日。

「あとは来週やな」

6日、そう決断したのは午後5時前後だった。

昨日はそれを受けての作業であった。縦32㎝ほど、奥行き15㎝ほど、横幅22㎝ほど。こんな小さな木の箱を作るである。例え1日ではできなかったにしても、2日もかければ完璧なものが仕上がると思うではないか。
それなのに、ああそれなのに。
昨日夕、私はつぶやいていた。

「小物入れの引き出しが前に出すぎている! これじゃあ戸が閉まらないじゃないか!。それに、この小物入れ引き出しを入れるところろ、何となく歪んでるんだけど、なぜ……?」

「えーっ、戸が短い?! 洋服タンスの戸を閉めたとき、上の5分の1がすっぽんぽんなんて、あり得るか? くーっ、これ、タンスを切り詰めないと?」

時刻はすでに午後4時半。
かくして、ちっぽけな木の箱が、2日たっても出来上がらなかったのである。

作業3日目の今日。何とか午前中に作業を終えた。
Facetimeで璃子に見せた。

「ああ。ボス、できたの? ありがと。ねえ、送って」

これだけ素直に喜ばれると、穴があったら入りたくなる。なにせ、引き出しは歪んでいるし、戸はきっちりとは閉まらない。とりあえず使えはするが、

「うちのタンス、こんなにボロボロ?」

と言われてもおかしくない。

金と時間と労力を注ぎ込んだ結果の失敗作
となれば、作ってやろうと考えた意気込み程度しか評価するところはない。

いま、思う。
すべては、

現場合わせ

で済ませようとしたことが原因である。
正確に寸法を測らず、適当に棚板を取り付け、適当だから寸法がずれ、それが積み重なって歪み……。
もっと精密な設計図を書き、棚板をはじめとしたパーツを取り付ける位置を材料である板に書き込み、そのとおりに取り付けた上で最後に引き出しのサイズを調整する、という手順を踏んでおれば、これほどの問題作にはならなかったのではないか?
ひょっとしたら徒労に終わった一連の作業を疲れた身体で思い起こし、場当たり的な対応を、深く反省する今日の私である。

ひょっとして、汚名挽回のためもうひとつ作るのかな?
だとすれば、材料である木材選びから考え直したい。さらに、木を切る精度に狂いがでることが混乱を招いたことを考えれば、書いた図面の通りに板を切る手法も必要となる。できれば、手動ノコギリはゴメン被りたい。翌日、翌々日の筋肉痛として祟るのが目に見えているからだ。
電動工具を使い、きっちりと設計図通りに木を切り出す。そんな方法をご存じの方、どこかにいらっしゃいませんか?

それが見つかれば、再チャレンジもあり得る、と反省しきりな私である。