2016
11.24

2016年11月24日 初雪

らかす日誌

かつて天気予報といえば当てにならないことの代名詞であった。

「予報じゃ降らないっていてるけど、雲行きが怪しいから念のために傘を持っていくか」

なんて会話は日常茶飯事であった。

最近は違う。テレビのデータ放送では常に最新の予報を見ることができ、それも気象衛星の観測データを過去の実績データと重ね合わせてコンピューターで高速処理した結果だから、驚くほどよく当たる。

昨日、桐生にも雪が降るという予報が出た。深夜すぎから降り始め、翌日、つまり今日のお昼頃まで降り続くとあった。
いま住んでいるのは、山の一部を開墾してできた住宅団地である。町に出るには坂道を降りねばならない。戻るには当然坂道を登る。いずれにしても、歩いて行き来する距離ではない。車に頼らねばならないのだが、私はスタッドレスタイヤを持っていない。持つ気もない。

「雪が降ったらここに閉じ込められるな」

と覚悟を固めた。
まあ、閉じ込められてもせいぜい数日。生き延びるだけの食材は冷蔵庫、冷凍庫に保管してある。気に病むことはない。何としても出かけねばならなくなったら、スタッドレスタイヤを持っているO氏に電話をすれば何とかなる。だめならタクシーを呼ぶだけだ。
そう思い固めれば、何の懸念もあるはずがない。安心して初雪を待った。

さて、いったい何時に降り始めたのかは、天気予報の細かい粗探しには関心のない私にはどうでもいい、というか寝ちゃったので分からない。でも今朝は、起き抜けに窓をあけると、隣の屋根にも庭木にも、雪が厚く降り積んでいた。

「あら、やっぱり当たっちゃったか」

新聞受けから新聞を取ろうと玄関のドアを開けると、踏み石が雪で見えない。11月の初雪は、桐生では14年ぶりなのだそうだ。

朝食をとりながら窓から外を見ると、大粒の雪が絶え間なく落ちて、まるで北国のようだ。庭木に目をやると、枝葉の上にかれこれ10㎝近く積み重なっている。初雪というのに、ご挨拶程度の雪ではない。本格的な冬の訪れを告げる雪である。

雪。
となると、やらねばならぬ事がある。買ったばかりでほったらかしにしてあった石油ストーブを稼働させるのである。
備えがいいというか、幸い、昨日灯油を注文し、18リットルのポリタンク3つを満杯にして庭先のストッカーに入れておいた。で、居間の窓をあけ、電動式のポンプに電池を装着してストーブのタンクに灯油を移す。

灯油をストーブに入れる。何年ぶりの作業だろう?
札幌に住んでいた1985年~1987年はアパートの部屋にあった大きな灯油缶に、下から運び上げたポリタンクの石油を移して冬を乗り越えた。
転勤で横浜の自宅に戻ったあとも、しばらくは石油ストーブを使っていた記憶がある。だが、灯油をつぎ足す手間が面倒なことと、屋内の空気を汚したくない(まだ子供が小さかった)思いに駆られて、都市ガスのFFファンヒーターに取り替えた。冬場には、3階の部屋から起きてきた子供たちがこのファンヒーターの前に座り込み、着替えをしていた。

桐生に映ってからは、ずっと床暖房の家で快適な冬を過ごした。横浜も桐生転勤と同時にリフォームし、電気の床暖房を入れたのでガスファンヒーターはなくなった。

という流れで、久々に石油ストーブのお世話になるのである。
寒くなってからはずっとエアコンで暖を取っていたが、やっぱりストーブの方が暖かい。今日は朝10時頃からずっと点火していて、すっかり暖まったので2時頃消した。再び火を入れたのは4時頃である。
さて、石油ストーブの燃費はどの程度になるのだろう?

雪。
パイプタバコ愛好家の私にとっては、実に辛い季節の到来である。なにしろ、屋内では楽しませてもらえない(もっとも、妻女殿がお休みになったあと、居間で映画を見ながら、換気扇を回して楽しむことはある。翌朝になると臭いはまったく気にならないので、この生活習慣は継続する予定である)から、雪が降りしきる中、ダウンジャケットを羽織って屋外に身を運び、駐車場の片隅でパイプにタバコを詰め、火をつける。パイプをくわえながら読む本に粉雪が落ちる。それを払いながら読み進む。
まあ、それはよい。悪いのは、寒いのだ、とにかく!
身を切るような寒さをものともせず、屋外でパイプをくゆらせる私は究極のダンディか? それとも、単なる馬鹿者か?

雪。
昼食を終えても、まだ降り止まなかった。しかし、予報では昼前後までといっていたから、間もなくあがるだろう。そう判断した私は、午後一のパイプタバコを楽しみながら、雪かき作業に身を投じた。スコップを持ちだして、駐車場の雪を道路に放る。軽い雪である。この程度の雪なら、作業をしたところで腰にたいした影響は出まい。
夕刻。今日3度目のパイプ。外に出ると、雪はほとんど融けていた。ということはあれか? 雪かきなんてしなくても自然に融ける雪だったのか?

というわけで、今日は一日外に出ず、自宅で作業。

予想通りに不合理」(ダン・アリエリー著、早川書房)

を桐生の知人たちに読んでほしく、でも時間がない方々ばかりなので、仕事に役立ちそうなところを要約しようという作業である。7割方済んだ。あとは明日にしよう。

雪が止んで、冷え込みだけが残った。
このような日の晩酌は熱燗に限る。今シーズン初の、自宅での熱燗である。

落ちのない文章になった。今日はこのあたりで。