2017
04.08

2017年4月8日 ミサイル

らかす日誌

あれまあ、である。
2日前、軽くトランプさんを揶揄したら、

「俺が目立たなくてどうする!」

とばかりに、シリアにミサイルを撃ち込んじゃった。しかも、中国の周近平との夕食会の直後である。

「どう、分かった? あんた、さっさと北朝鮮を押さえ込まないと、俺、やっちゃうぜ。北朝鮮にもミサイルをお見舞いしてやろうか?」

ってな脅しであろう。

世界の評価は、当然ながら2分した。よくやった、断固支持するという声もあれば、ロシアをはじめとした、暴挙だという非難もある。
トランプさん、またまた世界の耳目を集めちゃった。

メンツを一番つぶされたのは、これまで何かと北朝鮮をかばってきた周近平である。米中首脳が和やかな夕食会を楽しんでいる最中に、シリアが爆撃された。

「人並み外れたバカだとは思っていたが、ここまで常識外れとは。こんなやつと、どう付き合えっていうんだ?」

と慨嘆したか。
それとも、

「俺の国内での立場はどうなる?」

と肝を冷やしたか。

シリアがサリン系の化学兵器を使ったかどうかには、まだ定説はない。はっきりした証拠もなしに中東の国に対して軍事力を行使する。あのブッシュのイラク戦争と同じ構図である。いや、ブッシュはそれでも、議会を説得した。しかし今回は、その努力もなしに、突然の大統領命令である。

「さすが歴戦のビジネスマン。決断が早い」

ともいえる。
が、

「世界最強の軍事力を持つ国の大統領としては狂気の沙汰だ」

ともいえる。
あなたはどちらの立場に立たれるだろう?

私は、何か不思議な感じがした。
シリアが問題国であることは間違いない。アサド大統領は国をまとめることが出来ず、内戦が続く。ロシアが政権側に肩入れし。アメリカは反政府側を支援する。そこにISが絡み、何が何だかよくわからない構図が出来上がっている。アサド政権がサリン系の化学兵器を使ったといわれても、

「やりかねないな」

と見なされてしまう国である。
だが、だからといって、アメリカという国がどこにも相談せず、独自の判断でミサイル攻撃をしてもいいものか?
確かに、国連の安保理事会は機能しなかった。小田原評定が繰り返されたともいえる。このままでは次の犠牲が出かねない。だからアメリカが独自の判断でシリアにお灸をすえるしかなかったということもできよう。しかし、アメリカなら、独断でほかの独立国にミサイルを撃ち込んでいいのか? シリアは米国を攻撃したことはないのである。
アメリカは確か、世界の警察官の座を自主的に降りたはずだ。それなにの、いつの間にか復職したのか?

何だか恐ろしい世界ではある。アメリカはこれまでも、独断と偏見で沢山の国に武力干渉し、そこの政府を転覆してきた。アメリカの良識を代表すると評価されるケネディだって、キューバ侵攻作戦を許可した。
その国をいま率いるのは、その思考過程がどうにも読めない変人だ。何をしでかすか分かったものではない人物は危険である。その手に世界最強の軍事力が握られている。これが恐ろしくなくて、何が恐ろしかろう。

いやなシナリオが頭に浮かぶ。
トランプが北朝鮮の武力制圧を決断する。

「あんたがやらないんなら俺がやるぜ」

と中国を脅し挙げているトランプのことだからありえないことではない。
そうなると、攻撃部隊は日本の米軍基地から出る。北朝鮮にとってみれば、日本は敵国である。その日本に向けてミサイルを発射することを彼らが躊躇するか?
いや、今回のシリアのように駆逐艦から巡航ミサイルが北朝鮮に向けて飛んでも、北朝鮮の受け止めは同じだろう。攻撃対象は日本、そして韓国の米軍基地になるはずだ。
精度の悪い北朝鮮のミサイルである。米軍基地を狙ったはずが、狙いがはずれて人家密集地に落下しても不思議ではない。米軍基地の近くにお住まいの方は特に注意された方がよかろう。

「攻撃的狂気との付き合い方」

そんなタイトルがついた本がベストセラーになる時代の到来はまっぴらゴメンである。