2017
08.30

#64 ウォール街 ―ゲッコーを乗り越えよ!(2006年7月3日)

シネマらかす

株には縁がない。買ったことがない。見たことも、触ったこともない。
いや、正確には、自分の会社の株は持っている。望んだのではない。ある時、上から押しつけられた。30数万円分買えというのを20万円分で勘弁してもらった。あとは買い増しもしない。売りもしない。時折配当の通知が届く。年に1回、株主総会の案内が届く。株主だったと思い出すのはその時だけだ。

株投資には向いていない、と自覚している。一発狙い、というマインドが完全に欠落している。競馬も競輪も競艇も、全く関心がない。株への投資なんてできそうにない。
大もうけは好きである。少額の元手が、思わず頬が緩んでしまうほどの金になって戻ってくる。そうなれば飛び上がって喜ぶ。
だが、上がると思った株が下がる。来ると思った馬が走らない。これぞと思ったボートが出遅れる。必ず勝つと信じた選手が転倒する。それが勝負の世界だ。

「そんな! 俺の金をどうしてくれる!!」

そんな逆境に耐えられるほど、私は強くない。金に臆病なのだ。
それでも勝負をすれば? 心を卑しくするしかない。血眼になって儲け話を探す。八百長レースに乗る。インサイダー情報を探る。勢い、怪しい付き合いができ、魂が汚れていく
そうなる自分の姿が目に見える。

粗にして野だが卑ではない

我が人生訓の1つである。荒削りでも、野蛮でも、マナーを知らなくても、そんなことはどうでもよろしい。だけど卑しくなったらお終いよ。
たがをはずせば卑しくなりかねない自分を知る私が、自分で自分に課した戒律だ。
もっとも最近は、そんな戒律さえ持っていない連中が多数集まっている組織を企業と呼ぶらしい。

ウォール街」は、日本で公開された年に、東京・日比谷の映画館で見た。確か1988年だ。前年10月のブラック・マンデーに株価が急落して一頓挫はしたものの、日本経済はバブルの最盛期にいた。昼食を取っていると隣の客の嬉しそうな会話が耳に入る。

「○○の株を先週売ったんだよ。儲けは案外少なくてさ、20万円ぐらいかな。何かいい株ない?」

タクシーに乗ると、運転手に話しかけられる。

「私も株を買おうと思うんですけど、何かいい話はありませんか?」

大げさにいえば、日本全体が株式投資に酔いしれた。100万円を投じれば、日ならずして120万円、150万円に増えて返ってくる。無から有を生じる魔法だった。平均株価は8万円、9万円まで行くと、真面目にいわれた。みんなが金に狂った

そんな最中に、「ウォール街」はやってきた。数ヶ月先の日本公開が報じられたころ、私は書店に出かけてペーパーバックを買った。「Wall Street」。映画の原作である。今回は、公開までに読み終えることができた。

(余談)
映画公開までに読み終えられなかった個人史は、「シネマらかす #19 : バック・トゥ・ザ・フューチャー - Calvin Klein」に詳しい。また、原書に挑みながら翻訳本の出版に追い抜かれた個人史は、「旅らかす #11:帰国」を参照のこと。
恥多き人生である。

 その「ウォール街」を、久々で見たくなった。いまの世の中に、なにやら20年前と同じ臭いがするのだ。

若きトレーダー、バド・フォックス、通称バディはウォール街で一旗揚げるつもりだ。しかし、それほど甘い世界ではない。まだ芽が出ず、通勤は地下鉄。客にだまされて相場の損をポケットマネーで埋めるのも日常茶飯事だ。困り果てると、航空会社に勤める父に借金を頼む。頼りにされるオヤジの年棒は、税込みで4万7000ドル(約550万円)である。
職場に自分の部屋はない。トレーディング・ルームにずらりと並んだデスクで商売に精を出す。絵に描いたようなペーペーだ。

職場での朝の挨拶は、

“What’s looking good today? ”
(今日は何が良さそう?)

 “If I knew, I wouldn’t be in this business. Get out while you are young, kid. I came here one day, I sat down and look at me now.”
(分かってたら、こんな仕事してるもんか。若いうちに出ていくんだぜ、坊や。俺なんざ、ある日ここに来て、座って、ほら、いまの俺を見てみろよ)

どの株が上がるか下がるか、神ならぬ身の人間に分かるはずがない。でも、彼らは顧客に電話をして、こいつを買おう、あれを売ろうと口説く。口八丁の世界。すさんだ仕事、職場といえる。

若いバディには夢がある。伝説ともなった相場師、ゴードン・ゲッコーと取引をするのだ。ゲッコーのオフィスには何度も電話をした。でも、1度も取り次いでもらったことがない。夢は、なかなか近寄ってくれない。
一計を案じたバディはゲッコーの誕生日、キューバ産の葉巻を持ってゲッコーの事務所に押しかける。面会には成功したが、ゲッコーはただ者ではない。

ゲッコー:  Come on, pal, tell me something I don’t know. It’s my birthday. Surprise me.

金になる話をしろよ。それが俺と付き合う条件だ。ゲッコーの価値軸は金しかない。何としてでもゲッコーに取り入りたい! バディは思わず口走った。

バディ:  Bluestar.

ブルースターは、バディの父が勤める航空会社だ。借金に行った時、格好のインサイダー情報を聞いた。前年の航空機墜落事故の原因がブルースターのミスではなく、航空機メーカーのドアのデザインミスにあったことが分かったのだ。親子の雑談である。だが、中身は極秘情報だ。この情報はブルースターの株価を確実に動かす。
バディは、証券トレーダーとして踏み越えてはいけない一線を踏み越えた。

バディはゲッコーの「手駒」となった。ゲッコーの指示は、徹底的にインサイダー情報を取れ、だった。インサイダー情報は確実に金を生む。

ゲッコー: I wanna be surprised. Astonish me, pal. New info. I don’t care where or how you get it. Just get it.
(びっくりしたいんだよ。驚かしてみろよ、坊や。誰も知らない情報だ。どこで、どんな手段で手に入れたって構うもんか)

乾ききった指令である。ここまで乾かないと、金のなる木は手に入らないらしい。

バディは英国の投資家、ワイルドマンをつけまわして、彼のアスコット鉄鋼買収計画を探り出した。弁護士の友人が籍を置く事務所に清掃会社のコンサルタントを装って入り込み、友人の叔父が管理する企業情報を盗み出した。

ゲッコーは巨額の利益を上げた。バディにも、おこぼれとはいえ巨額の富が転がり込んだ。営業成績が急進したバディに、会社は秘書付きの個室を与える。イーストサイドにコンドミニアムを買った。95万ドル(約1億1000万円)。ゲッコーの自宅で知り合ったゴージャスな美女、ダリアンも手に入れた。金は、すべてを与えてくれる魔法使いなのだ。我が世の春がもしあるとすれば、いまバディは春のど真ん中にいた。父に数百ドルずつ借金を重ねていた過去が嘘のようだった。行く手に陰りは見えなかった。

私のように金を持ち慣れない人間には理解するのは難しいが、金は人を変えるらしい。不思議な自信に満ちあふれるらしい。自分が果てしない能力を持ったように思えるらしい。外から見ると誤解であることが多いのだが。

安物の背広を着ていつも金に追われていたバディは変わった。変わったバディは、さらに歩を進めた。ブルースターの買収である。俺に不可能はない。株を買い占めて社長に就任する。経営を立て直す。事業欲もあった。だが、何よりも父に認められたかった。オヤジ、あんたの息子があんたの会社の社長になって経営を立て直すんだぜ!

ゲッコーの協力も得て買収が終わった。航空会社社長。金は地位も買える。

坂道を登り切れば、あとは下り坂が待つだけだ。だが、バディを待っていたのは単なる下り坂ではなかった。崖である。勢いよく坂道を駆け上ってきたバディに、崖っぷちで踏みとどまることは不可能だった。

まず、ゲッコーの裏切りを知る。ゲッコーにとって大事なのは、金を増やすことである。ブルースターをいい会社にするなんて、はなから考えてもいなかった。ゲッコーは、ブルースターの切り売りに手をつける。格納庫の跡地にはマンションを建て、航空機はメキシコに売り飛ばす。会社の備品はタイプライターにまで値札を貼り、路線とゲート権は他の航空会社に売却する。こうすれば7500万ドル(約86億円)が濡れ手で粟と転がり込む……。

話が違う! 怒り心頭に発したバディは、ゲッコーにくってかかった。

バディ:  I thought you were going to turn Bluestar around…not upside down. You fuckin used me.
(ブルースターは経営するんだと思っていた。まさかひっくり返すなんて……。あんたは俺を利用したんだ)
バディ:  Why do you need to wreck this company?
(なんでこの会社をぶっ壊さなきゃいけないん?)

怒りに燃えるバディに、ゲッコーは冷然と言い放つ。

ゲッコー: Because it’s wreckable, all right? I took another look, I changed my mind.
(壊せるからさ。分かったか? もう一度よく見たら、考えを変わったんだ)
バディ: If these people lose their jobs, there’s nowhere for them to go. My father has worked at Bluestar for 24 years. I gave them my word.
(みんな職を失ったら、行くところがないんだ。親父はブルースターで24年働いてきた。僕は、みんなに約束したんだ)
ゲッコー:  It’s all about bucks, kid, the rest is conversation. Bud, you’re still going to be president, all right? And when the time comes, you’ll parachute out a rich man. With the money you’re going to make, your father won’t have to work another day in his life.
(金なんだよ。金の他はみんなゴタクだ。バディ、君はまだ社長だ。いいな? 時が来れば、君はパラシュートで脱出する。そうしてできた金があれば、君の親父はもう働く必要もない)

バディは初めて、ゲッコーと組んでやって来た取引の本質を知る。そうか、俺はこんなことに手を貸してきたのか。多くの人から職を奪い、その見返りとして巨額の利益を上げてきたのか。
バディには、コツコツと航空機の整備を続けて暮らしを立ててきた父親の血が流れていたらしい。ゲッコーとの戦いに立ち上がったのだ。ゲッコーは許せない! 俺はブルースターを守る!!

だが、崖っぷちで踏みとどまれたと思った瞬間、足下が崩れ始めた。米証券取引委員会(SEC)がバディの不自然な取引に気がつき、捜査の手を伸ばしていた……。

 

巨額の金と悪の臭い。それがこの映画の最大の魅力である。ゴードン・ゲッコーの目には金以外は映らない。自分の欲のためには、誰かがクビになって路頭に迷おうと、破産しようと、自殺しようと、痛痒を感じない。法を破るのも、必要なら仕方がない。自分に累が及ばないよう手を打つだけだ。金のために必要な男がいれば、愛しんできた愛人をプレゼントするのも辞さない。
マイケル・ダグラスが、そのゴードン・ゲッコーを演じ切った。アカデミー賞主演男優賞を受賞したのも頷ける。

(余談)
だからだろうか、あのころ、サスペンダーを使うのが証券関係者で流行ったような記憶がある。ゲッコーファッションである。
でも、金回りが良くなると、なぜサスペンダーなのかな? 美酒美食に浸って腹回りが膨れてしまうからだろうか……。

 悪にも論理がある。株を買い占めたテルダー製紙の株主総会に乗り込んだゲッコーの大演説である。少し長いが全文引用する。

Ladies and gentlemen, we are not here to indulge in fantasies, but in political and economy reality.
America, America has become a second-rate power. It’s trade deficit and fiscal deficit are at nightmare proportions. Now in the days of the free market when our country was a top industrial power, there was accountability to the stockholders. The Carnegies, the Mellons, the man who built this great industrial empire, made sure of it because it was their money.
Today management has no stake in the company. Altogether these men sitting up here own less than 3%, and where dose Cromwell put his million-dollar salary? Not in Telder stock―he owns less than 1%. You own the company. That’s right. You are stockholders. You are all being royally screwed over by these bureaucrats with their steak lunches,????, fishes, their corporate jets, golden parachutes.
Telder Paper, Mr. Cromwell, Telder Paper has 33 different vice -presidents, each earning over 200,000 dollars a year. Now I have spent last 2 months analyzing what all these guys do, and I still can’t figure it out.
One thing I know is that our paper company lost 110 million dollars last year and I’ll bet half of that is spent in all the paper work going back and forth between all these vice-presidents.
The point is, ladies and gentlemen, that greed is good. Greed is right. Greed works. Greed clarifies, cut through, and captures the essence of the evolutionary spirit. Greed in all of it’s forms, greed for life, for money, for love, knowledge, has marked the upward surge of mankind―and greed, you mark my words, will not only save the Telder Paper but that other maltifanctioning corporation called the U.S.A.―thank you very much.
(皆さん、私たちは夢物語に耽るためにここにいるのではありません。政治と経済の現実に取り組むためにいるのです。
アメリカ、アメリカはいまや2級国家に成り下がりました。貿易赤字、財政赤字は悪夢です。我々の国が世界トップの産業力を誇った自由主義全盛期には、株主への責任というものが存在しました。企業帝国を築き上げたカーネギーもメロンも、責任はきちんと果たしました。投資されたのが自分の金だったからです。
今日では、経営者は企業に利害を持ってはいません。ここに座っておられる方々は、全員合わせても3%未満の株しか所有していません。では、社長のクロムウエル氏の100万ドル<約1億1500万円>のサラリーはどこに行ったのでしょう? テルダー社の株式にはなっていません。彼は1%未満の株式しか持っていないのです。そうです。あなた方が会社の所有者なのです。なのに、この官僚たちに騙されている。彼らは昼食にステーキを食べ、????、会社のジェットで遊び回り、いまや大金を持って退職するのです。
テルダー製紙は、クロムウエルさん、テルダー製紙には33人も副社長がいます。全員が、年俸で20万ドル<約2300万円>以上です。私は2ヶ月かけて、副社長たちが何をやっているのか分析を試みましたが、いまだに結論を得ません。
分かったのは、我々の製紙会社が昨年1億1100万ドル<約127億円>の赤字を計上したことです。その半額は、副社長たちの間を行き交う紙代で消えたのでしょう。
皆さん、こういうことです。貪欲は善です。貪欲は正しい。貪欲は役に立つ。貪欲は物事を明確にし、道を開き、進化の精神の神髄をとらえます。すべての貪欲さが、生命欲、金銭欲、愛欲、知識欲が、人類の進歩を推し進めてきました。そして貪欲こそ、見ていてください、テルダー製紙を救うだけでなく、アメリカ合衆国と呼ばれる様々な機能を持った企業を救うのです。ご静聴ありがとうございました)

 泥棒にも3分の理。貪欲さこそが人類を進化させる。それがゲッコーの屁理屈だ。

さて、ここまで読み進んで頂いた方々には、私の意図を推察頂けたと信じる。なぜこの映画を、この時期に取り上げたかという私の思いを、である。
ゲッコーの論理がそっくりなのだ。今年に入って醜態をさらした連中と。

ホリエモン: いわずとしれたライブドア。証券取引法違反で逮捕された。有価証券報告書に嘘を書いた疑いだ。
村上世彰: 村上ファンド代表。同じ証券取引法違反でも、こちらはインサイダー取引の疑いで逮捕。
福井俊彦: 日銀総裁:日本の金融政策を取り仕切る最高責任者であるこの人が村上ファンドに1000万円投資していた。この人、インサイダー情報を作り出す立場にいる。いまだに現職。
宮内義彦:  オリックス会長。その1000万円投資の窓口になっていたのがオリックス。村上ファンド設立の際、資本金を出しているスポンサー企業でもある。小泉改革とはこのようなものであったか。 政府の規制改革・民間開放推進会議議長も務めるこの人も、いまだに現職。

メディアは様々な機会に、この4人を、閉塞状況にある日本経済に活路を開くヒーローとしてもてはやしてきた。ホリエモンなどは担ぎ上げられて衆議院選挙にまで出馬した。
あーあ、「ウォール街」から20年近くたったのに、俺たちって、まだゴードン・ゲッコーの掌(てのひら)の上で踊っているわけ?

では、ゲッコーの呪縛から逃れるにはどうすればいいのか? オリバー・ストーン監督のメッセージは明瞭だ。

正しいのは額に汗する労働である。
最後に勝つのは額に汗する労働である。

うん、それは分かるけどさあ、でも、金のなる木を手にした方が楽に大金を稼げるんだろ? いい家に住んで、いい車に乗って、美味いもの食って、うまい酒を飲んで、いい女を抱くには、金がなくっちゃ話にならないジャン。 この映画を見たからといって、額に汗する労働者になるヤツが、果たして何人いる?
20年近く前、本を読み、映画を見て、そう感じた感じた。固くいえば、この論理で金融バブルに踊る人間たちを打ちのめすことができるのか? となる。

村上逮捕のあと、主要紙に目を通した。この20年近で、我々はゲッコーを乗り越える論理を手にしただろうか?

「改革者か 乗っ取り屋か」(確か、朝日新聞)

そんなもん、ただの乗っ取り屋に決まっているだろう。改革者がインサイダー情報で一儲けするか? そもそも、株主主権とか、物言う株主とかいって、株主に過大な期待をするから「改革者」なんて発想が出てくるけど、株を買うって、単なる金儲けなんだろ? 株主が企業を変えるとしても、もっと利益が上がるようにしろというに決まってるじゃないか。従業員が多すぎるとか、賃金が高すぎるとか、過剰品質だとか。それって、従業員いじめ、顧客いじめなんだよね。

 

「市場監視強める検察」(確か、読売新聞)

あのねえ、検察っていうのは、既に起きてしまった犯罪について調べるのです。検察が監視を強めようが緩めようが、この事件の本質には何の関係もないの。ひょっとしたら、世の僻みの対象になっている金持ち連中をひっくることで世の喝采を浴び、天下り先を増やそうという思惑で動いているだけかもしれないじゃないの。何事も疑ってみなくちゃ。

経済専門誌で、自由主義、市場主義を唱え続ける日本経済新聞は歯切れが悪かった。確か、自由市場を守るために規制のあり方を検討せよ、という趣旨だった。これはあきれてしまって、メモを取るのすら忘れてしまった。

だって、自由って、一切の規制がないことだろ? これしちゃいけない、あれしちゃいけない、なんて決まりができたら、もう自由市場じゃないんだと思うのは思慮が浅いのかな?
そもそも、自由主義経済、市場原理主義なんてずいぶん昔のお題目を金科玉条のように唱えるから、こんな混乱、論理の破綻を起こすのではないかね? いまや世界中を見渡しても、自由な市場なんてどこにもない。儲けるためなら何をやってもいいという国は存在しない。存在するのは、規制の少ない国と規制の多い国でしかないって、もう常識だと思うけど。つまり、資本主義経済体制をとっている国も、自由主義、市場原理主義だけでは負け組、いじめられ組がたくさん出てきて社会全体の運営ができないから、人間の知恵で何とかしようという修正資本主義経済でやってんだよね。
村上代表たちの犯罪の再発防止のために規制を強めろっていったら、それでは市場が死んでしまうという反発も予想されるし、第一、規制を強めたって、その裏をかく連中が必ず出てくるんだから、まあ、いたちごっこだと思うけど。いうじゃない、
濱の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ 
って。

いかがであろう? 村上逮捕の意味を読み解く使命を持つ新聞がこの程度である。オリバー・ストーン監督のメッセージにもはるかに及ばないと断じざるを得ない。
我々はゲッコーの呪縛から抜け出す論理を見いだしうるのだろうか?

それを考えるきっかけになるだけでも、この映画は見る価値があると思うのだが、いかが?

【メモ】
ウォール街 (WALL STREET)
1988年4月公開、124分

監督:オリヴァー・ストーン Oliver Stone
出演:マイケル・ダグラス Michael Douglas=ゴードン・ゲッコー
チャーリー・シーン Charlie Sheen=バド・フォックス
ダリル・ハンナ Daryl Hannah=ダリアン・ディラー
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