2018
04.29

2018年4月29日 書いてないなあ

らかす日誌

先ほど、4月に入ってからの執筆本数を数えてみた。

7本。

これが本日のタイトルの意味である。
せっかく原稿の移行が済み、全力を新しい原稿に注げるはずなのに、この数。さぼり癖が抜けないようである。申し訳ない。

さて、昨日から11連休のゴールデンウィークが始まった。この「らかす」にアクセスされる方の数も減っている。皆さん、行楽にお出かけなのか。私には一つの予定もなく、もっぱら自宅で老妻と角を突き合わせる毎日である。精神衛生上は好ましくないが、見回しても他に選択肢はない。

という我が家の事情を横に置くと、このところメディアの話題は朝鮮半島一色である。ために、私がテレビを見る数少ないケースである食事時、朝、昼、晩と挑戦問題を耳から吹き込まれる。少々食傷気味である。

食傷しながらも考えることはいくつかはある。

楽しみにしていたのは、金正恩が亡命することであった。
そもそも、北朝鮮がこれまでの強硬姿勢を180度変えて融和ムードに動き出したのは経済制裁の効果だろう。貿易制限で首の根っこを締め付けられ、にっちもさっちもいかなくなった。このままでは生きようが死のうがどうでもいい国民だけでなく、指導者、支配者である自分たちも物資不足のあおりで食べられなくなるかも知れない。
ま、金正恩は1ヶ月程度は絶食した方が健康になりそうだが、でも2ヶ月目になるとさすがにきつい。

「やっぱ、このままじゃやばいよね」

という見切りがあって、姿勢を変えた。
しかし、これまで北朝鮮は外国に対する強硬姿勢で国をまとめてきたのである。いくら飯のためだといっても、その姿勢を180度変えたら反乱が起きかねない。側近に暗殺されることだってあり得る。
であれば、命あっての物種である。指令が有効なうちに自らの安全を図らねばならない。

「僕ちゃん、韓国に逃げちゃお」

そんなシナリオだってあり得たのではなかったか。そのための南北会談開催ではないのか。
ま、私の読み筋は外れ、38度線を越えた金正恩は、再び38度線を越えて王宮に戻っていったが。

それに、だ。いくら雪解けムードを煽ったところで、今の韓国と北朝鮮が一緒になれるか? なれない。東と西に分断されていたドイツが統一されたのは、崩壊した東独を西独が吸収したのである。双方共に曲がりなりにも国として成り立っている韓国と北朝鮮では統一など夢の夢でしかない。

だって、統一したあとの政府はどう構成するのだろう? 
一方は、数年先には刑事訴追される恐れがある人物を選挙で大統領に選ぶ国である。実権は財閥が握り、大卒の就職率が6割という経済的苦境にある国である。
他方は同族経営の国である。頭脳も実績もないヤツが、単に前の指導者の息子であるというだけで全権を握る国である。こいつに逆らえば殺される。指導者への究極のごますりがシステム化され、そのシステムに入り込んだ人々だけが少数の「国民」と呼ばれる国、そのほかの大多数は北朝鮮国内にいるだけで国民としては扱ってもらえない国である。
この2つが統一される? あり得ないだろ、そんなこと。

では、この騒ぎは何なのか?

私の目には単なる政治ショーにしか見えない。
男同士が手を握りあって38度線を行ったり来たりするショー。
記者連中の前でにこやかに握手する政治ショー。
2人で散策する姿をテレビカメラに納めさせ、全国民に見せつける政治ショー。
夕食会に、竹島の地図を模した食べ物が給されるショー。

「あんなことを皆の前でして恥ずかしくないのかね」

と思ってしまう私は、絶対に政治家にはなれない性格である。

しかし、これで何が変わるのか。
おそらく、韓国と北朝鮮の間で続いていた書類上の戦争状態(何と、韓国と北朝鮮は朝鮮戦争を終結する終戦協定を結んでいない)を終わらせるぐらいのことは起きるのだろう。そして両国のトップは、

「私の成果である」

と胸を張る。
だが、そのほかは? と考えると、わたしの知識不足もあってちっとも具体的に思いつかない。
融和ムードに乗って経済制裁が緩むようなことがあれば、北朝鮮は平気で前言を翻し、

「やっぱ、北朝鮮の安全には核兵器、弾道ミサイルが必要であるとに認識に達した」

などといってしまうのではないか? 北朝鮮で革命やクーデターが起きたのでない以上、北朝鮮はこれまでの北朝鮮と変わるはずがない。自分の為になら平気で嘘をつく悪癖が治っているはずはない。

そういえば、日本人拉致問題は出てこなかった。日本の首相への約束は反故にされた形である。
それとも、話はしたのだが、まだ結果が公表されていないだけなのか? 木で鼻をくくるような反応しかなかったので、今公表すればせっかくの融和ムードに水をさしかねないということなのか?

派手な、それぞれの国内向けの政治ショーはたくさんあったが、中身がふわふわしてつかみ所のないイベントであった。

続いて、トランプが金正恩と会談する。トランプも政治ショーを求める男である。秋の中間選挙を前に支持率が落ちているから外交で点数を稼ぎたいだけのトランプである。アメリカさえ良ければ、アメリカ人さえ喜べば日本や韓国はどうでもいい、という流れを作りかねない。
そういえば、トランプも拉致被害者の救済に力を注ぐと公言した男である。しかし、会談当日まで自分のした約束を覚えている能力をこの人に期待してもいいのだろうか?

東アジア情勢、あまり明るい話がない。
まったく不気味な時代になってしまった。