2018
05.07

2018年5月7日 問い合わせ

らかす日誌

長かった連休も終わった。今日から大多数の人が職場に戻る。お疲れ様である。

私も今日から仕事に戻った。私の今の仕事は外に出て人に会っているか、自宅兼事務所にもこもって資料をひもとくか原稿を書くかなので、休日の概念が乏しくなる。平日に全く仕事にならないこともあれば、世間の休日に仕事らしきものをしていることもある。
だから、今回の連休は、

「絶対に仕事はしない」

と決めて臨んだ。そして、全く仕事はしなかった。庭木を切ったり、ブルーレイを整理したりで、あとは算数の問題に取り組むか、読書、映画鑑賞にいそしむか、ということに時間を費やした。取り立てて盛り上がることもない連休の過ごし方ではあるが、その割にはあっという間に終わってしまった。
何だか、棺桶への旅をせかされているような気分である。

連休中、パソコンのトラブルに遭遇した。ブルートゥーで繋がっているはずのキーボードとマウスが、突然パソコンから消え失せたのである。
最初の日はマウスが消えた。マウスに消えてもらうとパソコンの操作ができなくなる。捨てるはずだった有線マウスを取り出して急場を凌いだ。

「再起動すれば無線マウスも生き返るのではなかろうか」

と思ったが、再起動するのは面倒である。

「どうせ夜には電源を落とすのだから」

と放っておき、有線マウスで使い続けた。

翌朝、パソコンの電源を入れた。今度は有線マウスもいなくなった。おまけにキーボードも行方不明である。これではパソコンを全く操作できない。「らかす」の原稿も書けない。

昨年、今使っているiMacを買った時、なぜか有料のサポート会員になっていた。パソコンを使い始めて初めてのことである。あのO氏の口車に乗って3万円ほどを支払った。
無駄金を使ったかと後悔していたが、何が役にたつか分からない。今回はこの3万円で助かった。アップルに、胸を張って問い合わせたのである。

いまのアップルの問い合わせは、ネットで申し込んで時間を予約する。その時間になると向こうから電話がかかってくる。いつ繋がるか分からずイライラする他社のシステムとはひと味違う。

「というわけで、キーボードもマウスも繋がらなくなったのですが」

と問い合わせる私に、相手は

「あなたのパソコンに入っていいですか?」

と聞いてきた。ネット経由で私のパソコンを覗くらしい。それで不具合を見つけようというのである。はあ、人のパソコンに入り込むのはハッカーだけかと思っていたら、こんな使い方も出来るんだ!

当然許可した。彼はすぐに私のパソコンを点検したらしい。

「これはOSの不具合のようです。これからOSの再インストールをご案内します」

そういって彼は、再インストールの仕方を解説したページに案内してくれた。

「これでダメなら、またお電話を下さい」

指示に従って上書きインストールをした。パソコンが元気になり、キーボードもマウスも元の場所に戻ってきた。
そして現在に至る。

まあ、連休中の出来事は、この程度である。

で、連休明けの今日になった。今日から仕事である。予定も組んであった。
まず、頼まれている原稿をネットにアップする。原稿はすでに書いてあるので、アップ作業だけである。原稿を最終的に手直しし、アップ。所要時間は30分ほどか。

次の予定は、写真のスキャンであった。これも頼まれ原稿につける写真を確保するためである。
写真になっているものは無事にスキャンできた。
それはいいのだが、ほかにポジのカラーフィルムで預かった写真が大量にある。これもスキャンしてデジタル化しなければネット上で見てもらうことが出来ない。
セットしてスキャンした。しかし、画像がぼやける。もとは、多分プロが撮った写真である。それがこんなにぼけては使い物にならない。多分、設定が悪いのだろう。

スキャナーのドライバーを開いて、ポジフィルムの設定を試みようとした。ところが、ポジフィルムを読み取る設定がない。しばらくネットで、設定の仕方を探してみたが出てこない。これもやむなく、メーカーに問い合わせた。キヤノンである。

「使っているのは、TS8030です。この機種でポジフィルムを読み込みたいのですが、どうやったらいいのでしょう?」

問い合わせ窓口の兄ちゃんはしばらく、

「フィルムのサイズは?」

「どのような状態でスキャンされるのですか」

などと質問を繰り返し、やがて

「しばらくお待ち下さい」

と黙った。
次に出てきた答えは私を失望させた。

「この機種にはフィルムをスキャンする機能が登載されておりません」

はあ、そうですか。だったら、何でフィルムサイズなんか聞くの? それに、買った時は、たしか最高級機種を買ったつもりだったのだけどね。加えて、

「ネットで検索すると、エプソンの機種にはフィルムもスキャンできるという解説があるんだが、だったら、キヤノンはどれを買ったらいいの?」

そうか、似たように見えるが、メーカーで違いがあるのか。

「といわれましても、手元に資料がございませんので」

ふむ、親切なような、親切ではないような受け答えである。
とにかく、手持ちの機種ではフィルムのスキャンは出来ないとが分かった。この答弁には満足した。
でも、じゃあどうすればいいのかには答えがない。
どうする?

以上が今朝の出来事である。

世はデジタル時代。パソコンやプリンター、スキャナーがなければ仕事も満足に出来ない時代である。
が、これ、便利な時代になったのか? それとも、デジタルに振り回される情けない時代になったのか。

とはいえ、手元にあるフィルムをデジタル化するのは仕事に必要だからである。このままには出来ない。だが、専門業者に頼めば金がかかる。ざっと見たところ200枚前後あるから、経費も馬鹿にならない。

「誰か、フィルムスキャンが出来るスキャナーを持っている知り合いいない?」

とO氏に問い合わせた。

「確か、うちに1台あったと思うんだが。なかったら、どうせ仕事で必要だから俺が買うよ。ちょっと待ってて」

確か、前回問い合わせた時は、彼はそんなスキャナーは持っていないといっていたような覚えがあるが、まあ、70も近くなれば忘れることも増えるのだろう。いずれにしても、持つべきものは良き友である。

ちなみに、私が電話をした時、O氏は伊勢にいた。仕事だという。

「あなたに赤福を買って帰ろうかと思ったけど、どうせ食べないよね」

私への理解が行き届いてきたようだ。私は甘いものをほとんど口にしない。食べたいと思わない。

「うん、食べない。代わりに金目のものをお土産に買ってきて」

明日はO氏宅を訪れ、スキャナーの有無を確かめねばならない私であった。