2018
10.31

2018年10月31日 冬一番

らかす日誌

桐生に強い北風が吹き始めた。赤城おろしというのであろうか。秋が急速に深まり、春一番の向こうをはって冬一番、とでもいいたくなる冷たい風である。

今朝からピロリ菌を取り除く行く薬を飲み始めた。

先日の人間ドックで生まれて初めて胃カメラで己の胃の中を見物、赤くただれたポツポツをたくさん目にした。医師によると

「これは慢性胃炎ですね。ピロリ菌でしょう。胃がん患者にはほとんどピロリ菌が見つかっています。大丈夫です。ピロリ菌は7日間薬を飲み続ければ取れますから」

ということであった。
そういえば、私はよくゲップがである。あれはピロリ菌のしからしめるところであったか。
その後、血液検査をし、ピロリ菌の存在が確認され、薬を飲むことになった。

「私ねえ、ピロリ菌がいるって事で、今度薬を飲むんですよ」

と知り合いに話したら、

「あ、俺も呑んだ、呑んだ。3度も呑んじゃったよ。一度目が終わって検査したらまだ取り切れてないっていわれて、2度目でもダメで、3度でやっと取れたんだよ」

ほう、そうか。ピロリ菌が完全に除去できるまで、何度でも薬を飲むのであるか。

処方箋は2週間ほど前にもらった。同時に諸注意を受けた。

「この薬を飲むと、激しい下痢に襲われることがあります。それに発疹が出ることがあるとも報告されています。下痢は耐えていただくしかないのですが、発疹が出たら服用を止めて下さい」

処方箋が出て翌日、飲み会があった。発疹はどうでもいい。でたら、薬を止めればいいのである。でも、必ず服用を止めよ、と医師が言うぐらいだから、hぐくさようとしてはこちらが重大らしい。この薬が飲めなくなったら、私のピロリ菌はどうなるのだろう? 死ぬまで仲良くするのか?
それはそれとして、飲み会で下痢にでもなったら大事である。おちおち酒を飲めず、一口飲んだら

「ちょっと……、トイレ」

なんてことを繰り返したのでは笑い話にもならぬ。
加えて26日は妻女殿を前橋日赤までお連れする日であった。前橋日赤までは片道1時間ほどのドライブだ。この途中で下痢に襲われるようなことがあれば、車を操りながら、目は必死にトイレのありそうな道路脇の店舗を探すことになる。それも、間に合えば良いが、間に合わなかったら悲惨の一言である。
さらに、昨日は飲み会があった。これも最初の理由と同じで、この日も避けねばならぬ。

というわけで、今朝から飲み始めたのである。
1日2回、朝食後、昼食後に服用する。

今朝、恐る恐る服用した。今朝はO氏宅の一室を借りて取材をする予定が入っていたが、まあ、O氏宅までは車で10分足らず。それにO氏宅はトイレもあるので失敗することはなかろう。それが服用開始の理由である。

いま午後5時前。下痢の兆しは見えない。発疹も出てこないようである。まあ、まだ服用1回だけである。これから先のことは分からぬが、私の身体はピロリ菌除去剤に今のところ耐えているようである。

いま、ネットで検索してみた。最初に出てきたのは、1週間賭けて薬を飲みきった直後に副作用がドバッと出た、というレポートだった。
そうか、副作用とはそのようなタイミングで出るものなのか。要注意である。

そうそう、今朝取材をしたのは、桐生在住のからくり人形師である。といっても、それで飯を食っているわけではなく、現在の職業は看板屋さん。趣味が高じて、というより趣味の限界を突き破って、創作からくり人形を作り続けているおじさんだ。

私が見るところ、おじさんの最高傑作は、実際に機を織るからくり人形。織機の前に座った人形が実際に機を織り、目の前で布に仕上げていく。
ご存じのように、布は縦糸と横糸を組み合わせたものだ。織機にはまず縦糸がはってあり。それが2組に分かれて半分ずつが上下に入れ替わる。その上糸と下糸の間を樋(ひ)が走り、樋の中に入っている糸が横糸になる。左から右に樋が走り終わるとおさという櫛のようなもので横糸を手前に詰め、縦糸の上下を入れ替える。そうすると、今度は樋が右から左に走って次の横糸を通す。

人がやればたいして難しい作業ではない。だが、それをからくり人形がみごとにやってのける。最初に見たときはからくりの妙に驚嘆したものである。

というみごとなからくり人形の作り方をじっくり聞いてきた。聞けば聞くほど

「この人、天才だと思っていたけど、やっぱり天才だな」

という思いを深くした。
さて、天才が生み出すからくり人形の数々と、この天才の素顔をどう表現するか。
しばらく悩まなければならない。

この原稿は、とある企業に依頼されて始めた「きりゅう自慢」というサイトで公開する予定である。