2019
04.22

古希祝いが来た

らかす日誌

朝から仕事で藤岡まで行った。
午後2時過ぎに戻ると、大きな荷物が届いていた。

古希祝い

とある。3人の子供たちが贈ってくれたものだ。

先日、瑛汰の入学式の日の留守番に横浜に行ったとき、次女に問われた。

「お父さん、お祝いしたいんだけど、何がいい?」

ほほう、子供たちが私の古希を祝ってくれる。人生七十古来希なり。私も間もなく、そのような年齢になる。
そういえば、還暦の時も祝ってもらった。個別バラバラに送ってきてくれたが、最高傑作は長女から来た

赤いブリーフ

である。確か、ブランドはカルバン・クラインだった。カルバン・クラインは「シネマらかす」の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をご覧いただければ、なぜこのブランドが選ばれたかをご推察いただけるはずだ。長女もこの映画のファンであり、「シネマらかす」の読者であり、ジョークを好む性格であったわけだ。

「赤いちゃんちゃんこを送っても、あの糞親父は絶対に袖を通さないはず。であれば」

という思いつきに、私はニンマリした。
ニンマリはしたのだが、このブリーフ、まだ足を通していない。新品のまま、記念品としてとってある。

還暦の時はそれで済んだが、今回は古来希なことである。個別に品物を選ぶより3人で一緒に贈ろうと言うことになったらしい。

「ということなんだけど、何がいい?」

これは、実に困った質問である。この年になると、必要なものはほとんど手元にある。その程度の経済生活はしてきたからである。仕事で必要になったノートパソコンは、直前に買ってしまった。その前だったらそれにしたはずである。
では、やや古くなったiPadにするか。でもなあ、私はたいしてiPadを使っていない。加えて、お祝いで買ってもらっても、古くなれば買い換えねばならぬ。祝いでもらったものを捨て去るのは忍びない。
カメラ? ある。
掃除機? ……。

「突然いわれてもなあ」

とっさに出た言葉は、それであった。

「気持ちだけもらっておくよ。どっちみち、将来俺が食い詰めるようなことがあれば、お前たちにたかるわけだから、それまで大事に貯金しておいてくれ」

次女は引かなかった。

「そんなこといわれてもねえ……」

そんなこと、とは、「気持ちだけもらっておく」ということを指すのか、それとも、「お前たちにたかる」ということを指すのか不明だが、私は善意で前者と解釈した。

「分かった。何か考えてみるが、さてなあ」

その場はそれで済ませた。しかし、考えておくと入った以上は考えねばならない。半日ほどたってパイプをくゆらせながらボーッと考えていて、ふと思いついたものがあった。

「おい、腰痛にいい布団、ってあちこちで宣伝してるよな。そのなかで、本当に腰痛にいいものがあったら買ってくれ」

ご存じのように、私は腰痛持ちである。そして、遺伝かどうかは分からないが、息子も腰痛持ちである。

「俺よりあいつの方が研究熱心だから、いい布団を知ってるかも知れない。それでいいのがあったら布団、なければ,うーん。また考えるわ」

ということにしておいたら、10日ほど前、次女からメールが来た。前橋の西川布団に行けという。何でも、西川には無圧布団というものがあり、それを見てこいというのである。

「それで、お父さんが具合が良いと思ったらそれにするから」

しかし、具合がいいかどうかは、少なくとも1週間ほどはその布団で寝てみるしかなかろう。1週間も布団を貸し出してくれるわけがない。

「それはそうだけどさあ、お兄ちゃんに聞いても分からないのよね。だから、自分で見てもらうしかないかと思って」

というわけで前橋まで行き、店員に

「どれがいい?」

と聞き、彼女が

「私はこれを使っています。1週間ほどは逆に身体のあちこちが痛くなりましたが、それを過ぎたあとは快適ですよ」

と話した西川ムアツ布団にした。
この西川ムアツ布団、実は3種類ある。硬さが違うのだそうで、彼女が使っているというのはその中間のヤツだった。

「この3つ、どう違うの?」

と聞くと、

「お使いになる方で体重が違いますし、一般的には、体重がある方は固い方がいいかと思います」

であれば、彼女より私の方が重い。というわけで、一番重いお布団にした。子供たちには悪かったが、この西川ムアツ布団、固い方が高い。つまり、一番高い西川ムアツ布団となった。

それが今日届いたのである。早速荷ほどきした。いま、寝室兼事務室のこの部屋で、机の横に敷いてある。今日からこの布団、というかマットレスで寝る。

さて、私の腰痛は軽減するのかどうか。
店員の彼女の話だと、結果が出るのはあちこちが痛む1週間が絶ったあとということになる。

それにしても、父親としてはたいしたことをしたつもりはないが、いい子供たちを持ったものである。子供たちに感謝しつつ、一方で俺も古希の祝いをもらってしまう歳になってしまったかと嘆きつつ、でも、腰痛が軽減したら素晴らしいな、と期待しつつ、何となく

「早く夜にならないかな」

と期待している私である。