2019
06.19

ぼやを出してしまった。これも寄る年波のせいか?

らかす日誌

今日は午後1時から群馬大学関係の会議がある。昨日は午前中から午後3時頃まで仕事があり、自宅に戻って原稿を書いた。夜は飲み会だった。そして一昨日月曜日は終日仕事であった。

という日程をこなしているので、本来なら17日月曜日に書くべきところであり、今日書くにしても習慣的には夕刻以降となるところ、いま書くことにする。現在午前10時38分である。

自宅の居間でぼやを出した。日曜日夜のことである。

私はその時、居間のリクライニングチェアに陣取り、映画鑑賞の最中であった。確か、「2つ目の窓」という日本映画である。つまらない映画だった。

ま、それはどうでもいいとして、私の映画鑑賞タイムは、パイプたばこタイムでもある。使うパイプはイタリア製のサビネリ。というとずいぶん高そうに見えるが、実は1万円少々の廉価品である。国産でも、これより高価なパイプはいくらでもある。

これもどうでもいいとして、パイプたばこを楽しむにもパイプにたばこの葉を詰め、ライターで火を着ける。一度火が着くと、おおむね1時間程度はパイプたばこを楽しむことが出来る。映画鑑賞の友として最適である。

ということで、私はテレビの画面に向かい、たばこに火を着け、使ったライターを右手のサイドボードに乗せた。面白くない映画だなあ、とは思いながらも、目がテレビ画面に釘付けになっていたことはいうまでもない。

その時である。突然右手で

ボン

という音がした。ここには音が出るようなものは何もない。何だろう? と思って右を向くと、何とサイドボードの上でが上がっている!

消した。慌てて消した。燃えているのは、サイドボードの上に敷き詰められているテーブルクロス(サイドボードクロス?)、横にあったタオル(妻女殿が、あかり用にと購入、発送を待っていた)、お茶の袋(これも妻女殿購入で、タオルと一緒に送られる予定だった)、そして、炎の中心部に先ほど置いたライターがあった。
炎の高さは20㎝もあったろうか。

まず、燃えているものをはたき落とした。サイドボードの上ではまだクロスが炎を上げている。はたき落としたタオルを手に持ち、炎を叩いた。タオルも一部炎を上げていたが、そんなことにかまうゆとりはない。一緒に消し止めるべく、炎と炎をぶつけるようにして叩く。

たいした火ではなかった。だからすぐに消えた。いや、消えたと見えて残り火があっては困る。サイドボードの上に乗っていた写真立てなどをすべて取り去り、クロスを取り除いた。サイドボードの上面に差し渡し10㎝ほどの焼け跡が残った。

「何しているのよ?」

「いや、ここで火が出てな」

「何したの?」

直後に交わされた夫婦の会話である。何したの。うん、実は俺も、何をしたんだろうとこれから考えるところである。

考えた。
私はパイプに摘めた葉っぱに火を着け、そのライターをサイドボードに乗せた。そのあたりに火の気はない。このライターが炎の中心部分にあったことから、火元はライターで間違いなかろう。
私のライターは100円ライターではない。100円ライターではパイプのたばこに火が着けにくいので、あえてパイプ用ライターと銘打ったものを、確か6500円前後で購入した。それが火元らしい。

このライターは火を着けるときは右手の人差し指で蓋を跳ね上げる。そうするとガスが出てくる仕組みで、そこに発火石で火花を飛ばす。そして、火がついたら再び右人差し指で蓋を閉じる。閉じなければ火が消えないし、ガスがもったいない。これは目をつむっていても出来る動作であり、長年繰り返してきて習い性になった動作でもある。だから、サイドボードに乗せたライターは火が消え、蓋が閉まっていたはずである。

しかし、火が消え、蓋が閉まっているライターから火が出るか?
論理的には、出るはずがない。ガスは出ていないし、発火石をこすって火花を飛ばす作業をするヤツもいないからそういう結論になる。
だが、我が家では火が出た。ポルターガイストか? この家は呪われているのか? 誰の呪いだ?

こうして論理的に考えると、私のミスだった、火を消さないままサイドボードにライターを乗せた、という結論が導き出される。習い性となった動作をなぜしなかったのか? 謎は残るが、結果から見ると、99.9%、私のミスに間違いあるまい。古希とはそのような年齢か?

前向きに考えよう。
小さな怪我は大きな怪我を防ぐ。例えば刃物を扱って怪我をした経験があれば、どんな扱い方をすれば刃物が危険なのかが身にしみ込む。刃物を扱ったことがないまま大人になると、初めて持った刃物で思いがけない大けがをしかねない。多少の危険には目をつむってでも、子供にはものを持たせた方がいいのはそのためである。

今回私は、小さな怪我をした。であれば大きな怪我を防ぐ経験をしたことになる。いくら古希でも、その程度の経験知を積み重ねる能力はそれほど衰えてはいないのではないか?

そんなことを考えていたら妻女殿がおっしゃった。

「そういえばこの家に引っ越したとき、不動産屋さんにいわれて家財保険に入ったわね。補償してもらえるかも知れない。明日保険屋さんに電話してみるわ」

一つの事象が起きたとき、夫婦でもこれだけ受け止め方が違う。私は再発防止を考え、妻女という方は損失補填を考える。人間とは面白いものである。

明日午後、保険屋の依頼で鑑定士が来る。彼のお眼鏡にかなえば、いくらかの保険金を支払っていただけるわけだ。も支払ってもらえるとして、全額なら、確かサイドボードは20万円ほど。ライターが6500円、お茶とあかり用のタオル2枚セットで1000円? 1500円?

保険金が出たらサイドボードを入れ替えよう。あまり出なかったら……、まあ、焼け跡を隠して使えばいいか!