2019
09.04

紙巻きたばこから抜け出す努力をしている。

らかす日誌

そろそろ紙巻きたばこから足を洗おうかと思い始めた。
思えば大学時代、誘う人あって福岡地裁にデモに行き、隊列を組んで校内を練り歩いていたら、前にいる誰かが封を切ったばかりのたばこを落とした。拾い上げてみるとハイライトだった。デモが終わって持ち主に返そうとポケットに入れ、デモ終了後の集会で

「拾ったんだけど、誰が落とした?」

とマイクで呼びかけたのに、だれも手を挙げない。やむなく下宿に持ち帰り、机の上に置く。それまでたばこを吸ったことはなく、吸う気もなかったのだが、目の前に君臨されるとやはり気になる。周りはほとんどが喫煙者だった時代なのである。

「どんな味がするんだろう?」

悪魔に魅入られたかの如く手を伸ばし、1本抜いて口にくわえた。
それが始まりである。
あれからもう50年

「せっかく吸ったんだから、主な銘柄を吸って終わりにしよう」

と、ピース、両切りピース、カンピース、ホープ、ショートホープ、いこい、しんせいなどを味わった。それで終わるはずだったのが、

「えっ、たばこって美味いじゃん!」

と私に思わせたデラックス・ハイライト(いまはもうない。ハイライト80円時代に、こいつは120円した)が決め手になり、たばこと縁が切れなくなった。
家からの仕送りがなく、アルバイトだけで暮らしていた学生時代。いま思えば、よくぞたばこのコストを負担できたものだと思う。
あれからもう50年

50年にわたってたばこの煙にさらされてきた我が肺は、さすがに疲れてきたようである。何となく重い。そうか、お前も疲れたか。であれば、たばこの煙との縁を薄くしてやらずばなるまい。あと何年働いてもらうことになるかは不明だが、我が身内である。優しくして悪いことはない。

だが、たばことは実に良いもので、仕事が一段落したり、満足いく食事を終えたりした後の一服は至福である。そこで考えた。

「肺に煙を入れなきゃいいんだろ?」

という発想で、パイプたばこを再開してもう3、4年になる。パイプたばこは煙を吸い込まない。ただふかして香りと口中に残る味を楽しむ。だから個人的には満足しているのだが、屋内で楽しむと妻女殿が

「臭い!」

と目を三角にされる。ために屋内で楽しむのは映画鑑賞の夜の時間1回だけとし、日中に屋外で2、3回パイプを口にする。夏は汗を流しながら、冬は震えながらの喫煙だが、それは仕方がない。

それによって、紙巻きたばこをくわえることがかなり減っていた。通常では1日に5、6本である。ただ、飲み会に出かけるとグッと増える。それでも1日に10本は上回らないから、パイプたばこにはそれなりの効果があるわけだ。

そして今回、そこからさらに紙巻きたばこを減らそうと決意した。といっても、上に書いたように、仕事の後や食事の後の一服は楽しみたい。さて、どうしたらよかろう? しばらくは考えるともなく考えていた。

そんなとき、「ビッグ・コミック」である広告が目についた。「FORTE」。細巻きの葉巻である。価格は何と、20本で270円。愛用の紙巻きたばこ「AMERICAN SPIRIT」の半分と少しの値段である。

「これだ!」

と思わない方がおかしい。私は早速たばこ屋さんに車を走らせた。こうして、「FORTE」ともう一つ、370円の「CHAPMAN」を購入したのは10日ほど前のことだ。

早速吸ってみた。「FORTE」は3回ぐらい吸うと、もう火が根元まで来た。吸引3回で終わり。まるでキセルたばこである。これはいただけない。「CHAPMAN」は「FORTE」より長い。だから5、6回は吸い込めるだろうか。だが、これもいけない。どちらも、味が何ともいただけないのである。

「ということなんだけど、他にないかな」

再びたばこ屋さんを訪れた私は、「Captain Black」という葉巻を勧められた。20本590円。確かに葉っぱの両は多いようで、長持ちはする。だが、困ったことに香料がきつい。私が買ったのはバニラの香料入りで、たばこの香りより、バニラの甘い香りが漂ってしまう。嬉しくない。

ということで、いまは代わりになる葉巻を探し求めている最中である。
葉巻といえばキューバ・ハバナと決まっている。映画で仕入れた知識だが、確かに味はよいらしい。行きつけのたばこ屋さんにも置いてはあるのだが、太巻きだと1本1000円以上する。中巻きでも300円前後。こんなものを吸っていては、我が家の家計が破産に瀕するのは目に見えている。安い葉巻を探さねばならないのだ。

というわけで本日、「SWISHER SWEETS」と「KING EDWARD」を買ってきた。どちらも20本入りで、価格はそれぞれ550円、650円である。まだ封を切っていないから味は分からぬ。気に入るものであってほしい。

そうそう、多少の贅沢をするべく、ハバナの葉巻も1本だけ買ってみた。中巻きで330円。1日1本に限定しても月に1万円はかかってしまう高額品である。まあ、これは葉巻の味の基本を知ろうという狙いで、常用する気はない。そのための金もない。

最後に肝心なことである。紙巻きたばこはどれだけ減ったか。

先週来、紙巻きたばこの消費量は1日2本である。朝食後の一服に1本、就寝前に1本。これだけしか吸わないが、何の痛痒も感じない。1日3、4回のパイプたばこと、1日4、5本の葉巻のたまものである。
それとも、もともとたばこへの依存はほとんどなかったのか?

このまま行けば、私は何の苦しみも味わわずに紙巻きたばこの世界から抜け出すことが出来るのかも知れない。成功したらまたご報告する。