2019
10.13

皆様はご無事だったでしょうか?

らかす日誌

超大型という形容詞が飛び交った台風19号が来て、去った。
皆様は被害に遭われなかったでしょうか? もっとも、被害を受けてしまった方はこの「らかす」を読むゆとりも時間もないはずだから、無意味な問いかけかも知れませんが。

私は、被害を受けたような、受けなかったような、中途半端な所におります。

まず、家族を含めて人畜、家屋の被害は皆無でした。
長女がいる四日市は、今回は台風の通りも力少し外れており、まあ、雨にたたられた程度で済みました。
しかし、次女のいる横浜市、長男一家の川崎市、そして他市と妻女殿が起居する桐生市は、これはもうまさに台風の通り道にあったわけで、恐れ、怯え、緊張しながら台風を待ち受けていたわけであります。
しかし、終わってみれば何事もなし。

横浜では、近くを流れる鶴見川が氾濫する恐れがあるといわれ、次女は

「水が出たら、ひょっとしたら1階部分は浸水するかも知れない。水に浸かりそうな所に何か大事なものある? レコードは2階に上げておかなくていい?」

と電話をよこしました。
私の返事は

「いいよ、疲れるから。水に浸かったときは浸かったとき。運命と諦めよう。それより、家の構造からして、屋内に浸水するとしたら玄関からになる。今から土嚢を積むなんて出来ないけど、ドアの隙間に何か詰め物をして少しでも水が入るのを防ぐ用意だけはしておけ」

幸い、鶴見川は氾濫しませんでした。

長男一家の川崎はあの多摩川のすぐそばのマンションです。まあ、そのマンションの5階が住処であるため、堤防が決壊して水が出ても、とりあえず家族の安全だけは守ることが出来ます。
ということで、当初から心配はしていませんでしたが、多摩川は少し上流の、それも東京都側で氾濫したため、ここも無事であります。

最後に残ったのが桐生の我が家です。
いま住んでいるのはバブル時代に積水ハウス(だったと思う)が開発した住宅団地。山の斜面を切り拓いたため、小高いところにあります。ために、水の心配はありません。木造の家が古いため雨漏りの懸念はありましたが、その程度は仕方ないと諦めました。
家から幅6mほどの道路を隔てたところが斜面になっています。ここで崖崩れが起きても、少なくとも土砂が家に流れ込むことはありません。慌てなければならないのは、この斜面が崩れ、道路も崩れ、家の敷地までが崩壊することです。ために、午後10時頃斜面を見に行きましたが、いつもと変わらぬ姿で、

「まあ、これなら大丈夫だろう」

と素人判断して家に戻り、映画を見続けた私でありました。

というのも、雨、風ともに、桐生はたいしたことがなかったのです。予報だと午後6時からは雨風がどうしようもなく強まるということだったのに、風は吹かず、雨はほとんどふらず、

「風が強まったか?」

と思ったのは午後10時過ぎ。それも、強かったのは30分ほどでしょうか。すぐに穏やかになったのです。

それでも、iPh0neに何度も緊急連絡が入りました。いま住んでいるところは菱町といいますが、時間は忘れたのですが避難勧告(だったと思う)が出たのです。ただ、「町」までの表記で、「丁目」はありません。先に書いたように、私が住むのは山の斜面を切り拓いた住宅団地。ということは、菱町には山の斜面にくっつくように建っている家がたくさんあります。

「たぶん、そんな住宅が避難勧告の対象だろう」

とは思ったものの、「丁目」を省いた不明瞭な勧告なので一抹の不安は残りました。しかし、この家が被害を受けるとはどうしても思えず、何もしませんでした。

やがて午後9時半頃に、菱町の大部分に

「大雨による避難勧告」

が出ました。我が家がある住宅団地は含まれていません。
大雨による避難勧告。そういえば、我が家から坂を下ると桐生川が流れています。ということは桐生川が氾濫しそうなのか。
桐生川が氾濫したところで、我が家が水に浸かることはあり得ません。

「そうか、下の方の人たちは避難を始めているのかな?」

と思いつつ映画鑑賞を続けた私でありました。

以上、被害がなかったことの報告です。
では、被害を受けたのは?

実は11日金曜日、どうしても横浜に行かねばならない用件がありました。夜の用件なので戻りは翌日以降です。台風情報を見ながら、

「土曜日の早くに横浜を出るか、それとも日曜まで待って桐生に戻るか」

と思案しながら11日昼過ぎに、車で横浜に着きました。
雨が降り始めたのは夕方からです。用件を追えて長男と夕食を取り、次女の家(本来は私の家)に戻って12日土曜日、午前6時半頃起床しました。
かなり強い雨です。しかし、台風の速度は少し遅くなったようで、まだ上陸してはいません。

「よし、この程度の雨なら桐生に戻ろう。台風から遠ざかる方向に走るのだから、途中から雨は弱まるはずだ」

と判断し、7時半頃家を出ました。

路上には車がほとんどいません。それはそうでしょう。すでに台風の影響でかなりの雨が降っています。しかも、これから台風が近づき、雨は強まるのです。車で外出するなんて考える人はほとんどいないはずです。
首都高に乗っても、車の数は数えるほど。しかし、雨は強く、ワイパーが高速で雨をはじくのですが、視界は良くありません。このような環境で事故が起きるとすれば、濡れた道路で車がスリップするか、前がよく見えないために分離帯に突っ込むか、しかありません。それはいやです。
車の速度をせいぜい80kmに抑えました。時折90km当たりに上がることもありましたが、すぐに抑えます。とにかく速度を抑えること。事故を避けるにはそれしかありません。

しかし、雨中の運転は神経が疲れます。前の車が上げた水しぶきで一瞬前が見えなくなったり、水たまりで車が滑ったり。雨は激しくなる一方です。

様子が変わったのは首都高を抜けて東北自動車道に入った頃でしょうか。目に見えて雨が小降りになりました。視界もだいぶ良くなりました。それほど多くの車が走っているわけではありませんが、どれも90kmから100kmで走っています。首都高を走った1時間ほどと比べれば、安全度は増しています。

それでも、平均すれば110km程度に速度を抑えました。途中、パトカーが前を走り、追い抜くわけにはいかないのでずっと跡を付いていったのですが、まあ、パトカーは結構飛ばします。速度制限80kmのところを120kmで走るパトカー。まあ、私の車も同じ速度で走ったわけですが。
こうして佐野藤岡インターで50号線に乗り継ぎ、無事に戻ったのであります。

迫る台風から逃げるドライブ。結構神経が疲れました。これが、私が受けた台風被害です。ために、昨日は「日誌」を書く気力が起きず、本日になった次第であります。

ところで。
台風一過で被害状況を見る。中部、東海、関東、東北と河川の氾濫や溢水が多く、大量の雨をもたらした台風だったことが分かる。
が、だ。一覧表を見ていて

「どうして首都圏が少なく、北関東や東北ではたくさんの氾濫、溢水が起きているのか?」

と不思議に思った。
ひょっとして、河川管理に費やされた金額に、地域格差、それも地方を冷遇する格差があったのだろうか?
どなたかに解き明かしていただきたい疑問である。