2019
10.14

これ、本当に日本のチームなのか? ラグビーを見て。

らかす日誌

台風一過。開催中のラグビー・ワールドカップは本当に台風が真上を通り過ぎた横浜国際競技場で、その直後の13日、日本対スコットランド戦が行われた。なんとまあ、日本チームが勝っちゃって決勝トーナメント進出を自力で決めた。
まずは慶賀したい。

が、だ。慶賀したいのだが、どうにも喉に魚の骨が引っかかったような気がして気持ちが悪い。何で日本が全勝するの? 日本のラグビーって弱かったんじゃなかったっけ? そもそも身体のつくりが全く違う外国勢に歯が立たなかったんじゃなかったっけ? だから、五郎丸を擁して強豪南アフリカを倒した4年前の勝利が「奇跡!」といわれたんじゃなかったっけ? それがすいすい勝っちゃうなんて、いつの間に強くなった、日本ラグビー?

という思いが消えないのである。消えないから、先日、数人で昼食を取ったとき、

「日本のラグビー、すごいね。決勝トーナメントに行くんじゃない?」(スコットランド戦前の会話である)

と盛り上がっている親父たちに言ってしまったのだ。

「だって、開催国だから強くしたんでしょ。選手の半分は外国人じゃない。金にものをいわせて、世界中から強いヤツを引っ張ってきたら勝つに決まってるでしょ? でも、あれって本当に日本チームなの?

まあ、憎まれっ子になるのは平気な私である。この程度の会話は常日頃交わしている。そして、目の前にいた親父たちは心なしかシュッとしたようであった。

あとで調べてみた。半分が外国人というのはちと大げさで、数えてみたら23人中9人が日本のものではない名前を持っている。もう一人、中島イシレリさんという人がいるが、さて、この方はどこの方だろう? が、いずれにしても、これほど日本人であることを示す声明を持たない方々が所属するチームが、本当に日本のチームなのか?

これがクラブ対抗のワールドカップなら話は分かる。それぞれのラグビー・クラブは強くなるために世界中から選手を選りすぐる。だから、たまたまそのチームが日本にあり、日本のチームとして覇を競っても何の問題もない。
だが、今のワールドカップは国と国との対抗戦なのである。こんな選手構成で「日本チーム」と本当にいえるのか? とにかく変である。

しかしまあ、このようなことは各所で起きている。先日茨城国体が開かれた。男子も女子も茨城県が優勝した。おそらく、開催県だからというので、全国から強い選手を集めた結果なのだろう。でも、開催県だと何故勝たねばならない?

夏の恒例行事、甲子園だって似たようなものである。強豪校は全国から優秀な選手を集める。才能がある子供たちが切磋琢磨する。強くなるのは、ある意味当たり前だ。地元の、自宅から通学が出来る生徒だけで頑張っているチームがなかなか甲子園に出ることが出来ないのはやむを得ないことである。

それでもいいではないか、という見方もあるのだろう。だが、勝つことが至上命題となったスポーツとは何なのか? 当たり前のことだが、勝つチームがあるためには、負けるチームがなければならない。勝つことが至上命題であれば、負けるチームは存在価値がないということか?

強豪校と言われる高校野球のチームが、とにかく勝つことを至上命題とするのは学校のPRのためだろう。そのために様々な制度を設けて全国から優秀な選手を集める。優勝できる監督を招聘する。スカウトされた選手たちは、甲子園で名を売り、プロ野球への道を切り拓こうと強豪校に集まる。その選手たちが夏空の元でプレーする姿をたくさんの人が楽しむ。
みんながそれぞれの目的を追い求めた結果であり、だれも困らないのだからいいではないか。そうかもしれない。しかし、商業的な価値がすべてになったとき、スポーツっていったい何?

国体。おそらく地元の競技団体で役員を務める人々のメンツがかかっていて開催県が優勝する仕組みが出来上がってている。アウェイではない、ホームゲームだ。ここで勝てなくて日頃役員として偉そうな顔をしている俺たちのメンツが立つか? メンツが潰れたら今の職にとどまっていられるか?

ラグビーも同じ構造に見える。主催国である。勝たねばならない。勝てば日本ラグビー協会のメンツが立つ。メンツが立てば今の職にとどまることが出来る。安いか高いか知らないが、お手当もいただき続けられる。よし、世界中から強いヤツを引っ張ってこようじゃないか。
そんな政治力学が働いて2019ワールドカップでの日本チームの

「奇跡に次ぐ奇跡!」

が起きているように思えて仕方がないのだ。
そんな風に分析してくれるメディアにはお目にかかったことがない。事実関係を調べる手立てが私にはないから、以上は私の憶測に過ぎないことをお断りしておく。
しかし、俺、間違ってるか?

それはそれとして。
ラグビーは、日本ではあまり人気のないスポーツである。プロチームもあるが、あまり観客が集まらず、ために、野球やサッカーに比べればはるかに安いお金で選手たちはプレーしている。
それなのに、いま新聞もテレビもラグビー一色である。まるで全国民がラグビーファンで、こぞって日本チームの快進撃を賞賛しているような報じ方である。
お前ら、ワールドカップを利用して国民を洗脳しようとでもしているのか?

ラグビー場には足を運ばない。日本戦を生中継で見ることもない。見るのはニュースで報じられるときだけ。
そんな日本人が、おそらくかなりたくさんいるとは、あの方々は考えもしないらしい。

私だって、プロ野球やオリンピックに熱中したことはある。サッカーのトヨタカップで、どこのチームだったか忘れたが、選手の美技に感動したこともある。夏の甲子園はいまでも好きである。
だが、スポーツを見ることは、競技場で剣闘士同士が殺し合うにの熱狂することと本質的には同じであると私は思う。楽しむ程度なら健全の範囲内だが、熱中しすぎると世の中の何かが壊れてしまう。メディアはそんな日本にしたいのか?
わざわざ外国まで出かけ、日本チーム、日本の選手を応援する日本人がテレビに映し出されるたびに

「大丈夫か、日本?」

と思ってしまう私であった。