2019
11.09

もう11月も9日になってしまった。

らかす日誌

早いものである。つい先日、11月に入って今年も残り2ヶ月になったと欠いたつもりなのだが、その11月もはや9日。光陰矢のごとしを実感する。

実感するのもやむを得ない日常がある。なにせ、11月に入ってからはフリーの日がほとんどなかった。1日は写真取材に出かけ、2日は打ち合わせ。3日はイベントに顔を出し、4日、5日は出版物の最終工程。これから始める取材の資料にするコピー取りも5日にやった。つまり、私に3連休はなかった。6日から7日にかけては静岡まで出張し、8日は妻女殿を前橋日赤にお連れした後、群馬大学関連ビジネスの幹部会。こう並べると、とにかく毎日が飛び去っていくのがおわかりいただけるはずだ。
そして今日は、取ってあったコピーに目を通した。これから取材、執筆の段取りを考える予定である。

いや、段取りを考えるゆとりがあるのかどうか。
明日はテレビ朝日のロケハンに付き合う。朝日新聞時代の先輩がテレ朝で番組を作っており、その番組で桐生えびす講を取り上げることになった。私が、いわばその水先案内人をする。
かと思えば昨日、

「ご無沙汰しています。二宮です。
大道さんが どうやら桐生にお住まいのようだと 見当はつけていたのですが・・。
連絡を取る方法は・・と考えていたら このサイトに行き着きました。
2009年から茨城牛久に住んでいます。
11月10日桐生市有鄰館でのコンサート
『土取利行・邦楽番外地「添田唖蝉坊・知道を演歌する』に行きます。
もしご都合がよかったら 終わってお会いできませんか?」

というメールが飛び込んできた。差出人は高校、大学時代の先輩(女性)である。
高校時代は一緒に生徒会の役員を務め、彼女が先輩であるにもかかわらず、私は

チビちゃん

と呼び習わした。
大学に入ってから付き合いが深まることはなかったが、京都大学に進んだ我が友(なんと、こいつも大道、といった)が私の下宿を訪れると、2人で彼女の下宿を訪れた。

彼女の下宿は急な階段を上った2階だった。
先に立って部屋に導く彼女に、

「チビちゃん、そんなミニスカートはいていると大事なところがもろに見えるぜ」

と声をかけたのは、私だったか、もう一人の大道だったか。
チビちゃんは

「だって、パンティの上にパンストはいているから見えたっていいじゃない」

と答えたのが記憶に残っている。
この答えに追い打ちをかけたのが、もう一人の大道だった。

「何言ってんだよ。男はシークレットパーツみ密着している布きれを見るのが好きなんだぜ。警戒心緩いなあ」

その彼女は、おそらく71歳。牛久から桐生までコンサートを見に来るところを見ると、まだまだ元気らしい。もう1人の大道は死んじゃったが……。
というわけで、日曜日にテレ朝に付き合った後はチビちゃんと飯を食う予定である。

そして月曜日、群馬大学関連ビシネッスでの私のパートナー役が

「月曜日、桐生に泊まるから打ち合わせしましょ」

いつになったら私は暇になるのか?

このところ、固い本を読み続けている。きっかけは

『読まなくてもいい本』の読書案内」(橘玲著、ちくま文庫)

である。
この著者によると、ある時期、知の体系が変わった。長年積み重ねられた知にパラダイムシフトが起きた。従って、パラダイムシフトが起きる前の本は読む意味がなくなったのだそうだ。そのうえで、たくさんの「読むべき本」が紹介されている。複雑系・進化論・ゲーム理論・脳科学・功利主義に分かれており、いま、その推薦本を読みつつある。
といっても、Amazonに古本として出品され、価格がこなれているものばかり(高いものは敬遠した)ではあるが、それでも10数冊積み上げて読破を試みている。

その中の1冊、

進化しすぎた脳」(池谷裕二著、講談社ブルーバックス)

が素晴らしい。
慶應義塾ニューヨーク学院高等部の生徒8人を相手にした講義を書き起こしたものだで、脳科学の最先端を高校生にお理解できるよう、実にわかりやすく説いている。

人の記憶は正確ではない。なぜなら、写真のように正確に記憶してしまうと、例えばあなたが正面から私を見て、これが大道だと正確に記憶すると、私が横を向いたり上を見上げたりした瞬間に、あなたにとっては別人になってしまうからだ、などの指摘には思わず頷いてしまった。つまり、人の脳は目から入ってくる情報を曖昧に記憶し、いわば抽象化する形で全体像を捉えるらしい。そうしなければ、街角で私を見かけたときに、

「あれは大道ではないか」

と判断できないというのである。
このようなアッと驚く最新の研究成果がてんこ盛り。そんな本が、送料込み380円で手に入る。向学心に溢れたあなたはには是非手に取っていただきたい。

四日市の啓樹、横浜の瑛汰には、高校に入った時点でこの本を買い与える予定である。
でも、あいつら、読むかな?