2019
12.31

2019年、最後の買い物はSONYのモニタリングレシーバーだった。

らかす日誌

2019年12月31日、桐生は濃い霧であけた。午後からは風が強まり、寒い。年末らしい年末である。

年を終えるにあたり、まず皆様に感謝したい。舌っ足らずの雑文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。年が変わっても多分書き続けます。これまでに倍するご愛読をお願いします。

さて、2019年も終わろうという12月29日、私はAmazonで買い物をした。多分、今年最後の買い物である。
買ったのはタイトルにも書いたが、SONYのサウンドモニタリングレシーバー、SMR-10である。数日前にとある雑誌で目にし、Amazonで探したら、1月10日まで8000円キャッシュバックの対象賞品であることを知った。であれば、いま買うしかない。それが昨日届いた。

簡単に言えば簡易補聴器である。周りの音を拾って増幅してくれる。

「おっ、70を過ぎてみ耳が遠くなったんだ!」

と早合点されては困る。
確かに、若い頃に比べれば耳の聞こえは悪くなっているようだ。年々難聴が進んだ右耳はほとんど聞こえず、常に耳鳴りがしている。左耳は健常だが、これもかつてに比べれば性能の劣化は隠せない。
が、まだ聞こえる。日常生活に困ることはない。

「では、どうしてそんなものを買ったの?」

はい、テレビの音声を増幅するためであります。

ご存知のように、私は毎夜、夕食が済めば映画鑑賞に突入する。おおむね午後7時か7時半にテレビの前に座り、少なくとも2本の映画を見る。映画1本の長さを平均2時間とすると、毎夜4時間、映画に浸ることになる。

1本目はいい。終わるのは9時か9時半である。我が妻女殿は夕食の後片付けをし、お好みのテレビをダイニングルームでご鑑賞になり、入浴される。だから、居間でテレビのボリュームを多少上げても文句を言われることはない。
問題は2本目である。入浴を済まされた妻女殿は2階の寝室に引き上げられ、お休みの時間をお迎えになる。この時間が問題なのだ。

妻女殿はよほど良い耳に恵まれていらっしゃるらしい。時折、2階から降りてこられ、宣うのである。

「テレビが五月蠅くて眠れない! もっとボリュームを下げて!!」

洋画ならボリュームを下げることに文句はない。どっちみち、耳から入る情報は解読不可能能なのだ。英語なら時折分かることがあるが、フランス語やイタリア語、ドイツ語、ロシア語などなると、私が利用できる情報は目から入る映像と、目から入る字幕しかない。ボリュームを下げても何の問題もない。

しかし、日本の映画となると話は別である。映像はもちろん目から入ってくるが、話の筋を追うには台詞を理解する必要がある。前にも書いたように、健常な左の耳も経年劣化が進んでいる。台詞を聞き分けるにはある程度ボリュームを上げなければならない。妻女殿が2階で安眠される程度の音量にしてしまうと、聞き取るのが難しくなるのである。

何とかしなければ、と前々から思っていた。そこに登場したのがSMR-10だったのである。Amazonでの価格は2万6240円。

「そんなにするの!」

と思ったが、キャッシュバックが8000円とあった。キャンペーン期間は年明けの10日まで。いまなら、実質負担額は1万8240円である。買うならいましかない、と即断即決した私を誰が責めることができようか。

昨夕届いた。さっそく使ってみた。説明書なんてろくに読まないから、テレビとの接続はとりあえず棚上げし、集音器として使ってみた。
ふむ、よい。レビの音量を絞っても、こいつを肩にかけ、イヤホンを耳に突っ込んでSMR-10を最大音量にすれば充分に聞き取れる。欠点は、周りの音も総て拾って増幅することだ。このゴーッという音は、換気扇の音か、それとも空気清浄機の音? まあ、テレビの音がクリアに聞こえるから我慢するか、てなもんである。
それに、イヤホンを耳に突っ込まなくてはならないのも面倒だ。これ、テレビ音声を増幅するようにすると、イヤホンは使わなくてもいいんだよなあ。

今朝は新たな段階に進んだ。テレビと接続したのである。充電器兼発信器となっている機具を、まず光ケーブルでテレビと接続した。テレビの光ケーブル端子は1つしかないから、テレビの下でテレビ音声を増幅している「シアター」(YAMAHAのYSP-600)という機具 との接続を切る。そしてこの機具に繋ぐ。
テレビをつけた。シアターから音が出てこない。そうか、テレビとシアターはHDMIケーブルでも繋いでいるのに、音声信号は光ケーブルがないとやりとりされないのか。これはいかん。

では、とアナログケーブルでテレビと繋いだ。これはテレビのイヤホンジャックに差し込む。テレビをつける。レシーバーの端末を首にかける。電源を入れ、セレクターを集音からテレビに切り替える。
おお、聞こえた。端末の耳のそばにある小さな穴から、増幅されたテレビ音声が流れ出したではないか。もちろんハイファイというわけにはいかない。甲高い、電話での音声を思わせる音である。しかし、人の話し声を聞くには十分である。

朝食を済ませ、ふと思い立って映画を見始めた。本来の狙いは映画鑑賞の際にこのレシーバーを使うことなのだ。テレビの音が流れてきたから大丈夫だとは思うが、念には念を入れた方が良い。

テレビに繋いだBDレコーダーでディスクの再生を始めた。ん、おかしいな。音が出ないぞ。テレビの下のシアターからは音が出ているが、首にかけたレシーバーからは何の音も流れてこない。テレビの音が出てくるのを確認したのは1時間ほど前だったが、もう壊れたのか? そんな!

テレビやレコーダーの接続を確認した。どこもおかしくない。正常につながっている。シアターを介してテレビに繋いでいるのが悪いのかと疑い、直接テレビに繋いでみた。それでも音がが出ない。困り果てた。これでは高い金を払って買った意味がない。それとも、初期不良で早くも壊れたか?

SONYに問い合わせた。

「というわけで困ってるんだけど」

「申し訳ありません。お手数をかけますが、ブルーレイプレーヤーからの再生ではなくて、テレビ番組にしていただけますか?」

「ちょっと待ってよ。はい、テレビ番組と。あれ、音が出てくるわ!」

「ということは、この機器の問題ではなく、テレビ、あるいはシアターの設定の問題だと思われます」

「ありがとう。やってみるわ」

これで問題の切り分けが進んだ。次はシアターである。
テレビ台を前に引き出して裏に回る。まったく、大晦日に何をやってるんだろう、とは思うが仕方がない。
しかし、裏に回ったところで分からないものは分からない。ネットで取扱説明書を見てみるが、それでも分からない。電話で問い合わせようかと調べると、YAMAHAは年末年始、問い合わせを受け付けていない。さて、どうする? 正月明けを待つか?

ふと思い出した。テレビはパナソニックである。パナソニックの問い合わせ先は0120-878-365。つまり、「パナは365」、パナソニックは365日いつでも問い合わせに応じるということである。これほどありがたいサービスはない。早速電話を掛けた。

「ああ、それはですね、シアターとテレビをHDMIで繋ぐと、テレビはシアターにしか音声信号を送らないようになっています。従って、この問題を解決するには、シアターとテレビは光ケーブルだけで繋いで音声信号だけを送るようにします。それぞれの機器からの映像信号はHDMIでダイレクトにテレビに繋いで下さい。HDMIケーブにを各機器をリンクさせる役割を与えているため、そうしかできないのです」

電話で話ながらやってみた。みごとにモニタリングレシーバーから音が出た。

「ありがとう。助かったよ」

と感謝の意を表したのは言うまでもない。朝からバタバタしたが、結末を見ると、それほど悪い年の瀬でもなかったか。

夜はゆっくりと映画鑑賞をした。なかなか快適である。1つだけ困ることがあるとすると、再生機器をテレビでいちいち選ばなくてはならなくなったことぐらいか。これまでは再生機器で操作をすると、自動的にテレビが入力端子を切り替えてくれたのだが。それがシアターとテレビをHDMIケーブルで結ぶ恩恵らしい。それが失われたのである。

ということで、今年もバタつきながら間もなく新年を迎えようとしております。
皆様も良いお年を迎えて下さい。

では2020年に再会できますように。