2020
08.15

テレビのニュースが面白くない。

らかす日誌

面白くないのは新聞のニュースも同じである。

しばらく前は新型コロナ騒ぎがニュースを一色に染めていた。実社会ではその騒ぎはいまだに継続中で、日々感染者が出て、死亡者が出て、根本対策が遅々として進まないのに、ニュースに占める新型コロナの比重が落ちた。他の、彼等が言う「ニュース」がその空き地を埋めているが、総じて、実に精彩がない。

新型コロナを扱っても、やれ休業で困っただの、里帰りができなくて寂しいだの、外に遊びに出たいのにだの、ウイルスの怖さからすれば外延にある話ばかりが登場しない。怖い、怖いの連呼でオオカミ少年を演じて大騒ぎをしていたのを新型コロナ報道第1期だとすれば、オオカミ少年の演技にも飽きて、あるいは疲れて、ひょっとしたら怖さを伝える表現の仕方が限界に達して、もっぱら外延の話を拾ってくるのだが、数回見ればあとは同工異曲で見る気が失せる。

では、とコロナ以外のニュースも扱い始めたのだが、これも

「おいおい、そんなもんがニュースかよ!」

と突っ込みたくなるどーでもいい話の寄せ集めである。ニュース番組のワイドショー化とでもいえばいいのか。

・新型コロナ報道で疲れ果て、いまは休暇を取っているのか?

・新型コロナウイルスの勢いが衰えないため、取材に出ようにも出られない状態が続いているのか?

・単に、取材能力がないだけなのか?

国内のテレビニュースの体たらくぶりに比べて、NHK BS1でやっている国際ニュースが面白い。私はお昼過ぎのやつしか見ないが、アメリカの確かABCとフランスのどこかのテレビのニュースを同時通訳付きで流す。取り上げる素材の的確さ、報じ方の外連味のなさ、リズム感の良さ、どれを採っても遙かに上を行く。どこのレストランの何とかが美味いなどという気の抜けた話はまったく登場しない。スタジオでニュースを読み上げるキャスターは概ね1人である。
翻って日本の民放のニュースには、なんでちょっと見美人がこんなに沢山登場する? 恐らく、個々の女子アナのフレッシュなエロスで視聴者をつなぎ止めようという品性下劣な狙いなのだろう。その職業意識の浅薄さを反省し、あちらのテレビ局の人々から爪の垢でももらってきてはどうか。

などと書いてしまうのは、コロナ騒ぎの影響もあって自宅にいることが多い鬱屈がもたらすイライラかも知れないなあ。

そいうえば、である。
アメリカの大統領選挙が秒読み段階に入った。現職のトランプはコロナ騒ぎをたてに選挙の先延ばしを主張したこともあったが、大統領権限で大統領選挙を延期することは法制度としてできない、と何かで読んだ。
そりゃあそうだろ。そんなことを許したら、一度大統領に当選したら死ぬまで大統領でいることができる。そんな当たり前のことにも思いが至らず、勝手なことをほざきまくるのがトランプの得意技である。

きっと正確な法知識を誰かに教えてもらったのだろう。トランプは最近、コロナ対策として浮上してきた郵送による投票にいちゃもんをつけている。不正選挙になる危険性が高いので郵便投票はやるべきではない、というのである。つまり、間接的な表現で選挙の先送りを主張してるわけだ。
が、である。世論調査によると、民主党のバイデンが支持率でずっと先を行く。普通、選挙結果を思うがままにしたい、と考えるのは負けそうな候補の方である。普通に選挙をしたら自分の方が勝つと思えば、素直に投票の結果を待てばいいのだ。
つまり、不正選挙をやるとしたら、いまの情勢ではトランプ陣営である。ということは、トランプは

「郵送投票をやるんなら、俺、メチャクチャ金使って、買収しまくって、投票用紙を偽造して、なんとしても再選するからな」

といっていることになる。語るに落ちた大統領である。

最近知人と交わした会話。

「ということで、アメリカは大統領選挙を先延ばしできない。秋にはやるんだよ」

「トランプ、負けるよね」

「うん、いまの情勢からすれば負ける。だけど、トランプが負けたら何が起こると思う?」

「民主党が政権を取るわけだから、また対日姿勢が厳しくなって、でも、いまに比べれば理性的な政権運営が始まって」

「いやいや、それはバイデンがホワイトハウスに入ってからの話。バイデンさん、ホワイトハウスに入れると思う?」

「ま、確かにかなりの高齢だから、選挙戦の疲れがたまってそのまま、なんてこともあるよな」

「その時は副大統領が大統領になるわけだから変わりはないけど、私が心配するのはバイデンがホワイトハウスに入れないことなんだ」

「どういうこと?」

「ねえ、選挙に負けたトランプが素直にホワイトハウスを出て行くと思う? 不正選挙があったとか何とか結果にいちゃもんをつけて居座っちゃうんじゃない? あの男ならやりかねないと思うけど」

「ああ、なるほどね。うん、あるかもしれない」

「そん時はどうするのかなあ。警察、あるいは州兵を動員してトランプ一家をホワイトハウスから追い出すのか? それともどこかのビルを借りて第2ホワイトハウスを作り、バイデン大統領はそちらで仕事をするとか。しかし、各国首脳との直通電話はホワイトハウスにしかないだろうし、映画に出てくる待避壕もホワイトハウスの設備でしょ。どうなるのかね」

トランプの足を引っ張り続ける新型コロナ。アメリカでは新規感染者数、死者数ともに高い水準にあり、これまでに550万人近くが感染、17万1000人強が亡くなった。秋の大統領選挙でトランプの再選はあり得まい。トランプがどんな負けっぷりを見せるのか。いまから楽しみである。