2020
09.30

ひょっとしたらダニかも……

らかす日誌

前回ご案内したとおり、28日月曜日に東京まで車を転がし、飲み会に出てきた。これから事業を立ち上げようという仲間たちの顔合わせの会である。30代から88歳の長老まで実に多彩な顔ぶれが集まって宴を開いた。

飲酒運転は御法度のご時世であれば、終わればホテルに泊まるしかない。そんなことを考えると、アメリカ映画ではいまでもワインなんぞを2人で聞こし召して

「私の方が寄ってないから運転するわ」

なんて会話が出てくるのが、

「これは宇宙の果てにあるという別世界の話か?」

と考えたりするのだが、それはこの際関係ない。要はホテルである。

草加の駅前にあるホテルである。そして、24日に泊まったのと同じホテルである。

ホテルに入る前に、24日に同じものを食べ、同じ酒を飲んだ仲間2人に

「おい、君たちはこんな吹き出物出たか?」

と我が右腕を示した。2人とも揃って

「いや、まるで平気」

と怪訝な顔をした。これで食べ物に起因する蕁麻疹という説はほぼ退けられた。

「金曜日の朝からこれが出てさ。かゆいんで蕁麻疹じゃないかと一人で決めてアレグラを飲んでるんだけど」

と経過説明をすると、

「大道さん、これ蕁麻疹じゃないよ。ダニじゃないか?」

と1人がいった。ダニ? ということは、24日に泊まったホテルのベッドにダニが巣くってる? おいおい、ホテルって人間が宿泊するだけではなく、ダニにも部屋を貸すのか?

という経過があっての、同じホテルので宿泊なのだ。

同じホテルに宿泊する仲間が1人あり、ホテルに戻ると

「大道さん、もう少し飲む?」

と挑戦してきた。この程度の挑戦、受けなければ九州男児ではない。

「いいよ」

と彼に1000円札を渡し、自動販売機でビールの500ml缶を2本買って私の部屋で飲んだ。かつ飲みかつ弁じているうちに時計は午前1時。

「おい、そろそろ寝る時間だ」

と彼を追い出し、歯を磨くと寝る体制に入った。

さて、ダニがいるかもしれないホテルである。24日は下着だけになって眠った記憶がある。ということは下着で守られていたのは下腹部と胴体部分だけである。足や腕はむき出しでダニに晒していたことになる。
と思い起こすと、もしダニ説が正しければ、症状が出た部位が不可思議だ。右腕が酷く、左腕がそれに続く。まあ、これは横になって眠っている時間が長かったと考えれば頷ける。右腹部は、ひょっとしたら寝相が悪くて下着がまくれ上がったのかも知れない。しかし、足にはまったく症状がない。

「ダニって、足は嫌いなのか? それとも、俺の足、臭う?」

つまり、ダニ説も完全に信用するには少し足りないように思う。
では、前回同様下着だけで寝るか。うーん、もしダニ説が正しかったらどうする? せっかくかゆみが治まり、ブツブツも薄くなったのに、新たに吹き出物が出るかも知れないじゃないか。

そこで私は、服を着たまま寝ることにした。下はGパン、上は長袖のシャツである。これほど防備を固めておけばよもやダニがいたとしても食われることはあるまい。
私は安心して眠りについた。すべての勝負事の極意は、まず守りを固めることである。

そのためかどうか、よく29日朝はどこにもかゆいところはなかった。新たなブツブツも見当たらない。専守防衛は期待通りの効果を挙げたようである。

でもなあ、寝ている間に1度、ベッドから転げ落ちた。落ちたショックで目覚めたからはっきり覚えている。寝相が悪かった若い頃ならいざ知らず、そっれなりに寝相が整ってきたここ数十年にはなかったことだ。なぜ、落ちた?

まさか、どうしても我が柔肌に食いつくことができなかったダニどもが力を合わせて押し出したのではないと思うが……。

と、私生活は相変わらずだが、目を政界に転じるとシングな多コロナでの死者数がとうとう100万人を突破し、ヨーロッパでは第3次感染拡大が起きている。どこまで続くぬかるみぞ。

そういえば、トランプが税金をほとんど払ってなかったとニューヨーク・タイムズが報じた。あの男ならやりかねないことである。大統領になってからも、年収2万ドルの納税者が納める程度の税金しか納めていないというから、悪質さはここに極まれりである。おい、アメリカって税金をごまかす野郎をリーダーに担ぐ国なのか?

トランプの支持層はプアホワイトだといわれる。つまり、白人という一番上にいるはずの人種に属しているにもかかわらず、なぜかうだつが上がらぬ貧乏な人々である。その恨み辛みをトランプが吸い上げた。
だけど、担ぎ上げた男が、自分より少ない税金しか納めていないと知ったら、プアホワイトはどんな反応を示すのか? それでもトランプ支持者であり続けるのか。裏切られたと恨み骨髄に達するのか。

トランプは、相変わらずフェイク・ニュースの一言で逃げにかかっている。しかし、逃げ切る自信はさすがになくしたようで、最高裁判事の後継人事で無理を通そう(選挙で負けたとき、訴えて最高裁で勝利を勝ち取るため)とし、コロナ下の選挙でやむなく採用される郵便投票を

「不正の温床」

と決めつける。勝つ方は絶対に不正はしないんだと私がこの「らかす」で書いたにもかかわらず、読解能力がないらしい。
挙げ句の果ては、選挙結果が出たときの政権の平和的移行——負けたトランプが粛々としてホワイトハウスを後にすること——を、いまだに肯定していない。ということは、一度書いたが、選挙で負けても何とかホワイトハウスに居座ろうとの計画を練っているということではないか。
そんな事態になったらどうするんだろうね、アメリカ。新政権が州兵を動かしてトランプ一家を追い出すのか?

アメリカは面白い国である。しばらく目が離せない。