2021
03.25

6CA7PPパワーアンプの製作 4

音らかす

電源回路について

チョークコイルは、交流フィルタにには、抵抗の何倍もの効果がありますので、コストダウンのために抵抗などと取り換えは禁物です。5BC5はLuxの製品ですが、直流抵抗がわずか100Ωなのに、交流に対する抵抗値は2πFLですので、家庭電源が50Hzの地域でも

2×3.14×50×2×5H=3140Ω

西日本では3768Ω、つまり3.7kΩの抵抗を使ったのと同じ位のフィルタ効果があります。

B電源を両波整流にしたのは、少しでもレギュレーションを良くするためで、私自身、倍電圧方式はあまり好きではありませんので……。その変わり、ダイオードには逆耐電圧1500VのDS1Kのように、余裕があるものを使わなければ、安心出来ません。1Aもあれば十分でしょう。従って、ダイオード保護用コンデンサは要りません。

バイアス電圧用フィルタ・コンデンサも、大分余裕を見てありますが、S/Nを良くするためには、当然の事と言わねばならないと思います。C-14はもう少し耐電圧の低いもので良いのですが、50Vも100Vも寸法、値段共にあまり変わりませんのでC-15と同じものにしました。これに使用するダイオードは逆耐180V以上、0.5Aのものなら何でもかまいません。

ヒータ電源は、V1とV4、V2とV3との2つに別けるのが最適でしょう。6CA7には1.5Aもヒータ電流が要りますので、一つの端子に2本繋ぎますと、このトランス底角3Aぎりぎりになる上に、このように分割した方が配線も楽です。

NFBについて

NFBが、本機の設計上一番難しいところだと思います。深い程良いというわけではもちろんありませんし、といって、浅すぎると、ダンピングファクターが落ちるので、その辺の兼ね合いがなかなかつかみにくいものです。調整の項で詳しく述べますが、14.5dBが本機の場合3結、ウルトラリニアとも最適でした。先に述べた友人のところに行ったアンプでも、やはり同じ結果になりましたので、やはり、この値が一番適当だったのだと思います。測定の結果14.5dBのNFBで、ダンピングファクターは11.5になり、10以上の目標に入っています。

本機はこのあたりの最適の値をつかむために、B30kΩ(VR-5)の半固定にしましたが、測定器を使わないで製作される方は、このかわりに16kΩ(±2%)の固定抵抗を入れると良いと思います。この値に固定しますとNFBは14dB位になり、約0.5dB浅くなりますが、それでもダンピングファクターは11得られますので、大差はないと思われます。その上、このあたりのNFB量は少し位浅い方が後で調整の時に詳しく述べますが、アンプの安定性が向上し、補正がしやすくなります。

NFB回路が入って来る初段のカソードは、第3表にも示してありますように、2.2kΩを最適値として、それを1:10に分割して、バイパス・コンデンサを挿入しました。R-3の抵抗値が変わると、NFB量が大きく変わりますので、注意を要します。

使用部品について

ステレオ用に本機を2台製作するのに、抵抗は全部で40数個しか使いませんので、全体の費用から考えると、大差はないので、少し割高につきますが、全部リケノームのR-1/2と、RM-1の精密級(第4帯赤色)を使いました。グリッド・バイアス、DCバランス、NFB量、微積分回路等が、楽に行えますので、労力を考えれば、おかしな部品を使って苦労するよりはるかにましです。ソリッド抵抗はノイズが大きいので間違っても使わないように。部品がお粗末では良いものは出来ません。

参考までに第4表に、その部品の一覧表を載せておきます。特殊な部品は、DCボルトメータだけで、後は部品屋で全部揃うと思いますが、地方の方はRM-1/2及びRM-1だけは部品屋で取り寄せてもらうなり、12月号でお知らせしました、東京(神)田区外神田都千代1-9-8、クラウン無線へ注文すれば入手出来ます。

第4表

サブソニック・フィルタについて

サブソニック・フィルタは、使用スピーカ、リスニングルーム、リスナーの好み等、いろいろなファクターが入ってきますので、一般に決めるわけには行かないようです。といって、入力切換スイッチを付けて、ロールオフ周波数をいろいろ変えられるようにする必要もないし、商品ではありませんので、回路を複雑にするのと、カタログバリューのためには、あれこれ付属回路を付けておいた方が売り易いものですが、自家用に使用する場合、測定器で適当なロールオフ周波数を決めるなり、ヒヤリングテストで余分の低音を切ると良いでしょう。

あらためて、いろいろな楽器から出て来る音の周波数について見てみる事にします。第3図に示した周波数表は、John F. Rider Publishing, Inc.(New York)から出ているHigh Fidelity, Simplified, Harold D. Weiller著で見つけたものでに手を加えたものです。音階と周波数との関係も一応知っておく必要があります。

第3図

もっとも、電気的に30Hz 以下を切ったからといって、スピーカから出て来る音というより、空気を伝ったり、跳ね返ったり、共振しながらリスナーの耳に入ってくる音が30Hz以下で切れているとは限りません。そこにオーディオの難しさがあるのだと思います。従って、自分の家でレコードを聴く時に、そのシステム及びリスニングルームで十分低音が出ていながら、ブーミーになったり、ボンついていたり、あるいは低域でザワメキに似た音が出ないところまで、ギリギリの低周波で切る事が、音をすっきりさせるコツと言えます。

パワーアンプの低域の伸びが足りない場合は、もちろんこんな問題は無いわけですが、OY 36-5のように、ずっと低域まで伸びているトランスを使用したアンプになるとこの辺の調整をうまくやらないと、かえって低音特性を悪くしてしまいます。私の場合も、ダイナキット・マークⅣの時には、こんな問題は割合に簡単となります。

この調整は、文章で書くと割合簡単ですが、実際に、ヒヤリングテストと合わせて行う場合、毎日少しづつ調整して行きながら、一週間位かかって、やっとサブソニック・フィルタの定数を決める必要があると思われます。比較的狭い部屋や、反響の大きな部屋だとなおさらです。

そこで、サブソニックフィルタのC・Rの値の決め方だけを少し説明しておきます。自分も部屋に合わせて計算値を大体出して、カットアンドエラーで最終値を決めます。(この設計法は次号でまとめます)