2021
04.05

6CA7PPパワーアンプの製作 回答編 2

音らかす

シャシ塗装について

今までに、私が作りました何台かのプリアンプは、パワートランスからなどの誘導ハムを防ぐために、アルミニュウム板を使用しなくてはなりません。その上に、鉄板だとシャシパンチ、 リーマー及びハンドニブラー等の加工が大変です。ところが非常に困った事にアルミニュウムは、その表面の物理的性質のためラッカー系の塗料が、専間家でなければ使えないウォッシュプライマーなどを使わないと、すぐにはげてしまいます。

私は、今までかなり高い費用を払い専問家の塗装屋に依頼していたのですが、頼む方も頼まれる方も、まったく割の合わない話で不便を感じていました。といって、アルミニュウムは塗装しておかないと、錆びやすく、特に電気をたえず流しているために、誠に見苦しく腐食してまいります。

幸い私の本職で取り引きをしております大阪エアゾール工業(株)が、無理を聞いてくれまして、手のあいた時に私のためにエナメル系の塗料をエアゾールに詰めてもらいました。使ってみると仕上がりが実にきれいで、しかも、非常に丈夫な塗装が出来ました。

同じ様な点で困っておられる方は、神戸の星電パーツ株式会社に、そんなに多量ではございませんが渡しておきましたので、御相談なさると良いでしょう。色はグレー1色しかありません。何分、オーデイオアンプの製作は、私の趣味で本職ではございませんので、読者の方々に御満足な御協力は出来ないかもしれませんが、同好の方々のお役に立てば幸いだと思います。
(商品名はアルミストといいます。非常に摩耗性の強い合成樹脂をベースにした速乾性塗料で、被膜が非常に強靭で、塗装後ドリルで穴をあけたり、ボルトなどで締め付けても、はがれることがありません)

シールド線について

チャンネル・セパレーション等の理由で、プリアンプの方に若干シールド線を使用しなければなりませんでしたが、良いシールド線が見付からず、止むを得ず2C2Vを使用した事はもうすでに述べました。

この件については、お手紙なり、近くの方は直接に、 2C2Vは非常に使いにくいが、何とかならないものかという事を耳にする度に、世話好きという困った性分の私の事、知り合いに、事ある毎に頼んでいたところ、非常に良いものが見付かりましたので、この際に、 シールド線について、少し述べて見たいと思います。

2C2Vは70pF/mで、容量の点では非常に良いシールド線として使えるのですが、皮むき、 シールドをほぐし及びリード線のハンダ付けがまことにやっかいです。シールドはブレードしたもの(網になったもの)が、スパイラル巻きより容量が小さいものですが、その差は、芯線に使ってある被覆の材料の違いに比べて、はるかに小さいものです。従って、リード線に使ってある被覆にポリエチレン系の樹脂を使ったものである限り、シールドが、ブレードであろうが、スパイラルであろうが、容量の点でははるかに小さいものです。ポリエチレンを含むポリオレフィン系樹脂〔CH2=CH2〕に比べて、塩化ビニール樹脂〔CH2=CHCl〕には、塩素(Cl)などのハロゲン元素が入っている上に、オクチルアルコール〔CH3(CH)5・CH(OH)・CH3〕などの高級アルコール(上等のという意味ではありません)や、 フタル酸〔C6H4(COOH)2〕のようにカルボン基を含んだ物質が、被覆に使われるとそれがコンデンサを作る時と同じ要領になり、センチメートル当り何ピコかの容量を持つ事になるわけです。この事は、オイルチュープラーコンデンサを見ればおわかりの事と思います。

屁理屈を言ってもシールド線は見付かりません。要は探す事なのです。非常に良いシールド線が見付かりました。 一寸、第11図を見て下さい。一番左(A)の2本がそれです(90pF/m)。 芯線の被覆が半透明に見えてますが、ポリエテレンです。理想的には右から二番目(D)にある2C2Vです(約70pF/m)。ポリエチレンを使っている上に、シールドがあみになっているので、容量の点では申し分ありませんが、前述のように非常に使いにくい欠点があります。左から3番目(C)はもっとも入手しやすいシ―ルド線ですが、シールドが網でむきにくい上に、塩化ビニール樹脂ですので、メーター当り350pF以上もありますので、全然使いものになりません。(B)はスパイラルで使い易さの点では良いのですが400pF以上と、不合格。右の端(E)は、測定器用で65pF/mと、容量の点では最高なのですがシールドが網である上に、芯線がきわめて細く(0.08m/mφ 7芯)ちょっとひっぱると切れますのでアンプ自作用には向きません。

その意味から、(A)の線は非常に良いものだと思います。残念ながら、パーツ屋には全然出まわっていませんので、私が東で買い込んだ分を、分けて差し上げても良いと思います。外径が2.4m/mで芯線が0.16m/mφ×7本、白、黒、赤、青、緑の5色あります。メーター当り¥30(〒10メートルまで¥60)なお、郵便切手で頼まれると、そこら中、切手だらけになりますので、現金書留で私宛送って下されば、必要メートル数送って上げます。(宛名、P.0.Box31、KOBE桝谷英哉(Tel.078-221-1633))大勢の方に頼まれた場合、私の行きつけの星電パーツに代行してもらうかも知れません。

註)プリアンプおよびパワーーアンプは、星電パーツ株式会社(神戸市生田区三宮町1-319)にて発売しています。お問い合わせ下さい。

(現在は取り扱ってはいないと思います=大道注)