2021
04.13

オーディオリスナーのための高性能プリメインアンプ プリアンプ部組立編 2

音らかす

半固定抵抗(基板用)

本機に使用したものは、少々不満でしたが、ラックスのMQ-60に使用してある2本足(の)ものには、本機に必要な数値のものがありませんでした。仕方がないので、 3本足のものを一本切って使いました。第13図のように取り付けますが、隣りの部品とショートしないように注意が必要です。読者の中に入手方法を御存じの方がありましたら、お便り下さい。全国の方々に取り継いで上げたいと思いますので。金属皮膜半固定抵抗が最高です。ミツミのものは、EEカメラなどに使用するもので小さ過ぎてうまくありません。

入カレベルセット用半固定抵抗

TUNER、TAPE及びAUX.の入力レベルアッテネータは、一度セットしたらチューナなどを取り換えるまでさわらないものですので、今回は比較的安価な、コスモスのPR-3型の25mmシャフトのものを使いました。組立てればわかるように、シャシの裏側の穴のところヘスレスレになり、お誹え向きです。

トランジスタ

私も、始めの内は石に不馴れなためコレクタ、エミッタ、ベース等の見別けに少々手間取りましたので、第14図に、本機のプリアンプ部に使用した石の見わけ方を示しておきました。お役に立つ事と思います。

第14図

他にプリント基板に付ける部品は、トーンコントロール用のスライドボリュームです。配線を楽にするために、(よっぽど私は不精なのかも知れません)プリント基板に直接付けます。それも箔面の方から取り付けますので、箔面の方からハトメを入れます。アルプスのスライドボリュームの足は幅が2.5mmですので、2.6~2.7mmφのハトメを探したのですが、入手出来なかったので、 3mmにしました。ただし、後で述べるようにここではトーンコントロール部(基板010)だけは、まだ何もハンダ付けは行いません。

プリント基板に取り付けたハトメだけをあらかじめ基板の箔にハンダ付けしておきます。ハトメ締付け機で取り付けても、電気的につながっているとは限りませんし、後日導通不良のもとになります。

 

切り換えスイッチ

ファンクション、モニタ、 トーンコントロールバイアス、電源スイッチは東光の小型プッシュボタンスイッチを使用しました。実体図だけではわかりにくいかも知れませんので、第15図にその立体回路図と写真を載せておきます。もちろん、各スイッチはシャシに付ける前に配線しておきます。0.65mmの単芯ビニール線とヨリ線をうまく使い分けるのが、奇麗に仕上げるコツです。ただし、基板同志(同士)を継ぐアース線は全部55芯のヨリ線を使います。ファンクションスイッチの内部配線は、裸線を一方からピンの穴を順番に差し込んでお(い)てから、各ピンのところでハンダ付けして、それから両端を切り取ります。

第15図

ボリュームバランス

共にアルプスの60mmストロークのものです。デザインを良くするのに役立ちました。

入出カピン

サトーのものの中に2種類ありますが、ピンの短い方は、出来上がって使用する時に、ジャックの接触不良の原因を作りますので、御注意下さい。見分け方は、裏から見て角になってなくて、丸くとめてある方が良いものです。配線もこの方がはるかに楽です。

以上で部品の説明は終りましたので、いよいよ製作にかかります。

製作について

まず、プリント基板に部品を取り付けるわけですが、先に述べましたトーンコントロールのスライドボリームを先に基板に取り付けますと、後でシャシのスリット穴に合わない事もありますので、シャシのフロントパネルに、仮止めしてから基板の方を当てがって、ハングで止めます。それからボリュームのビスを外しますと、ボリュームがプリント基板に付いて来ますので、正確につきます。箔の方から取りつけますので、ケースがシヨートします。荷造り用の布で出来たガムテープを切り抜いて、第16図のように箔面にはりつけて、絶縁をはかります。

私はこの時、スライドボリュームを取り付けてから、ナイフを使ってガムテープの縁を切り取りましたので、その時に銅箔の一部を切ってしまって、断線しているのに気が付かず、片チャンネルのトラブルが効かなくなって、原因を見つけるのに2日かかりました。つまらない失敗ですが、有り勝ちな事だと思います。

順序はどちらでも良いのですが、配線の終ったスイッチ類のシャシ取り付けは、シャシのフロントパネル部を外して行うと、仕事が楽です。

第15図の立体回路図を参照しながら配線すると、一見複雑に見える回路も比較的簡単です。右、左をよく考えながら、作業を進め、その都度テスタで導通を当りながらハンダ作業を行うのが、誤配線を防ぎ、かえって早く上がるものです。

スイッチ類をつなぎ合わせる時に、ステレオですので、右と左とをあらかじめ決めておかないとややこしくなるものです。私は、実体図でおわかりのように

  • ポリュームはフロントパネル側から見て、左が左チャンネル、右が右チャンネルとしました
  • プリント基板001、100は後ろ側を右、手前を左にしました。
  • 010は上が左、下が右としました。
  • 入出カピンは上が左、下が右。

と言った具合に統一しました。勘違いを防ぎます

出力部(基板100)を間仕切りに、スペーサーとボルトナットで止めてシャシに付けます。この部分の配線が終るまでにイコライザ段(基板001)を付けると仕事がやりにくいので念のため。

イコライザを取り付ける時には、 シャシの左側の側板を外しておいた方がうまく行くと思います。

電源部とトランスは一番後で行って下さぃ。トランスが重いので。

電源部

説明が前後しましたが、アースラインは特に気を付けないとハムを出す事になります。

まず、PHONO入力はシールド線を使いますが、入カピンからファンクションスイツチまでと、それから基板の入口までに別れますが、2本のシールド線のシールド同志(同士)を継いで、基板に継ぎ、そこからアース線を出して、すぐそばに一点アースします。(第17図参照)

第17図

その他の入力も入カピンのところでアースしないで、 レベルセット用半固定抵抗を経てボリュームのアースに継ぎます。(実体図参照)

実体配線図

001と100をアースラインで継ぎ、その中点に010のアース、ボリューム、パランスのアースラインを持って行きます。トーンコントロールをパスした時に、ハムがゼロになるようにするためです。

B電源は、電源部より基板100の電源入口ラグに左右に別けて継ぎ、その反対側から001、010の電源入力ラグに結線します。理由は長くなりますので省略しますが、左チャンネルと右チャンネルを交差しないで、右チャンネルは右側電線、左は左とした方が特性を良くする事につながります。

これで配線は終りました。私の経験では、ハンダ作業だけだと一日2時間づつ、三、四日で終ります。

以上で、製作のポイントについてお話いたしました。次国では、プリアンプ部の調整について述べるわけですが、プリアンプですので、調整などは全く不用です。プリアンプで重要なイコライザ・カープなどは、指定の部品を使っているかぎり、 ドンピシャリ合うようになっています。

だから、調整といっても、誤配線がないかどうかということを点検しておいて下さい。できれば、前回の回路図(4月号60ページ)を参照して、規定どうりの電圧値になっているか調べておいて下さい。この場合、まず、AC100Vをチェックして、家庭用商業電圧の変動を調べておき、回路図の値より10%以内でしたら、まず問題ないと思います。その他の注意点については次号でお知らせします。

(次号予告)

次号では、調整と測定決果、それにケースの仕上げ、さらに本機内蔵のパワーアンプ(純コンプリメンタリー全段直結差動OCLァンプ)について述べましょう。

〔訂正〕4月号回路図中(60ページ)C-207のイ直は、0.033μFと訂正、 またC-207・0.33μFの部品番号をC-208にして下さい。

C―-204の価10μF 25V を10μ50Vと訂正い(し)ます。

64ページ文中820kΩ(R-110)を820Ω(R-110)と訂正。

以上、訂正しお詑び申しあげます。