2021
04.16

オーディオリスナーのための高性能プリメインアンプ プリアンプ部調整編 2

音らかす

仕上げ

テストが終ったところで、仕上げ工程に入ります。フロントパネルもキャビネットも音には関係ないので、不用に思われる向きには、これから述べる工程は不用ですが、やはり毎日使用するアンプです。ちよつとはお化粧も必要です。

【フロントパネル】
1.5mmのヘヤーライン仕上げアルミニウムから作ります。自作には、アマチュアの場合、写真彫刻などの道具が大変ですので、シャシを特註したところに、詳しい図面(第19図)を渡して作ってもらいました。

シャシのフロントパネルから10mm位浮かせないと、つまみなどが飛び出して不格好になりますので、第20図のような取り付け方をします。接着面は、アラルダイト、セメダインスーパーなどのエポキシ系のものが良いと思います。この接着剤は15°C以下ではなかなか固まりませんので、20°C以上の室内で行います。

20図

要領としては、金具類をシャシに取り付け、ナットでよく締めつけた後で、接着面をベンジン、 シンナー等で良く拭いて、油性の爽雑物を完全に取り除き、マッチの軸などでエポキシの混合物を塗りつけます。パネルの方にはつけない方が良いと思います。説明が前後しますが、フロントパネルの上下のエッジには8mmのアルミサッシュをはめ込むわけですので、取り付け金具に取り付ける前にサッシュをパネルに接着剤で、取り付けておきます。(第21図参照)

21図

このサッシュは、ガラスの縁にはめ込むものですので、その内側の溝は幅が3.5mm、深さが7mmあります。フロントパネルの厚みは1.5mmですので、 7mm幅に切った2mm厚のアルミニウムのストリップを後ろ側にはめ込んで、パネルの上下に接着しておきます。

そして、このサッシュが固定してから、キャビネットの上下カバーをはめ込んだところにのせると、このサッシュがガイドレールになって、上下にずれるのを防ぎます。

なお、両側の本枠も取り付けておけば、パネルが左右にずれないでしょう。この時に、スライドボリュームのつまみはつけておかないのはもちろんです。4つ共金具に接着剤をつけ終ったら、ヘヤードライヤーなどで、それぞれ5分間位づつ緩めてやると、エポキシが柔らかくなって楽になります。

つけ終ったら、シャシの前面を上にして、一昼夜位そのままに置いてかまわない台の上にパネル面が水平になるように置き、その上から、シャフトなどを、パネルの穴に正確に通して、パネルをそっと乗せます。他の接着剤と違って、エポキシ系のものは、あまり圧力はかけなくても良く付きます。不用意に動かないように、 ところどころセロテープで止める位で良いでしょう。一昼夜で完全に硬化します。この前にスライドボリュームなどがスムーズに動く事を確かめておかないと、かたまってからではどうにもなりません。パネルを外す必要がある時は、シャシの内部のナットを外すと、金具ごと外れます。

【キャビネット】
何時でもキャビネットには苦労します。組立て式のキャビネットの場合、材料がベニアでないと、組立てる時に、材料に反りが来てうまくありません。と言って、メーカー製やキットの場合のように、つき抜張りは素人には無理。

そこで、本機の場合は、家具屋に相談して、楢のむくの材料を第22図の寸法に仕上げてもらいました。かなり良い材料なので、反りが来る事はまずないと言う事です。

22図

シャシヘの取り付け用4mmの頭のないボルトを図のように、あらかじめ開けておいた穴に叩き込みます。水性ボンドを少量つけてやると、中で錆びついて取れなくなります。プロの人々は、醤油を一滴垂らすのだそうです。

ボルトが付いたら、オイルステインで好みの色に仕上げます。オイルステインは、ラッカー用シンナーで薄められますので、半分位に薄めて、4回位重ねて塗るとむらが出ません。オイルステインの中には、アルコールで薄めるものもあるようですので、それぞれの説明書に従って下さい。

オイルスティンが良く乾いたら、その上をチークオイルのようなもので磨き上げると、ビックリする程奇麗に仕上がります。チークォイルが入手出来ない場合は、液体ポマード、カーワックスなどで代用します。

これ等の工程でおわかりのように、 木枠が左右だけになり、後面と上面はむき出しになりますので、シャシにはどうしても塗装しなければなりません。

先にも書きましたように、アルミニウムの塗装はなかなか面倒なもので、セルローズラッカー系のカラースプレーでは、すぐにはがれてしまい役に立ちません。

手前味嗜になってあまりうまくないのですが、私が開発したエポキシ系のエアゾールエナメル(アルミスト)がアマチュアにも手頃に塗れます。使用説明つきで星電パーツから発売されていますが(最近地方のパーツ屋さんにも卸しているようです)、その塗装のコツは、出来るだけ薄く塗る事です。沢山吹きつけると、塗れている時は奇麗に見えるのですが、その時の空気の乾燥工合で、かえって汚なくなります。

アルミニウムによっては、その表面にビニール保護膜が張ってあるのがありますが、これをめくった後をベンジン、シンナー等で良くふいておかないと、接着剤が残っていて、後でアルミストがはがれる事があります。そうでない面は、耐水ペーパーと石鹸を使って、アルミニウムの面を細く荒らすと同時に、脂肪分を完全に取り去る事が出来ますので、塗装が楽になり、仕上がりが引き立ちます。

着色はグレーで行われるのですが、上面と後面は外部から見えますので、黒色の方がパネル及び両側面の本枠にマッチすると思われます。

これで、 4月号の表紙写真に見られるように、メーカー製のアンプ位の仕上がりになりました。音の方はメーカー製より、はるかに高級。ちと自己宣伝オーバーかな?

良いのが出来たら、お便りを下さい。楽しみに待っています。

次号は、本機内蔵のパワーアンプの回路について述べます。(つづく)

(おことわり)前回でメインアンプ部の回路を説明すると予告しましたが、都合により次号にいたします。

(訂正)5月号98ページ上から6行日のトラブルをトレブル、第14図2SC1000の足の記号SをEに訂正。(係)