2021
05.16

ワクチン狂想曲が展開されております。

らかす日誌

我が日本政府のコロナウイルス対応が劣悪だったことが、ワクチンが登場してあからさまになった。
いち早くワクチン接種を始めたイギリスは、イギリス型の変異株を産み出したにもかかわらず、劇的に新規感染者が減っている。トランプがメチャクチャにしたアメリカも積極的にわくいちん接種を進め、同じ結果を得ている。フランス、イタリアだって同じだ。
ところが我が日本、遅い。いまだに医療従事者にもワクチンが行き渡っていないというのだから、何をかいわんである。

まず、技術大国と誇りながら、ワクチンの開発で後手に回った。恐らく、世界中でよーいドンで始まったはずなのに、いまだに国産ワクチンが姿を見せない。
日本が感染症に晒されることが少なかったため、その分野が手薄だったという説明がある。たしか、PCR検査で後れをとったときも同じ説明を聞いた。
感染症に晒されなかった? それは結構なことである。しかし、結果論で言うなら、それはたまたまの暁光に過ぎなかった。
そもそも、治にいて乱を忘れず。非常時に備えるのは政治のイロハのイではないか? 日本政府は治に安住して乱を忘れっぱなしである。何故こんなつまらぬ政府を我々は持ってしまったのか?
乱を忘れぬ。日本で感染症が蔓延しなくとも、感染症が発生して苦しむ地域のために率先してワクチンの研究・開発を進めるぐらいの良識は持てなかったのか? 何かと胡散臭いことが多い政府開発援助などに金を注ぎ込むより、乱を忘れずにワクチン開発の基礎研究に金を注ぎ込む方が世界のために役立つと思うのだが。

「そうなんです。ワクチン開発に対する国の支援がどんどん減らされておりまして」

という医薬品メーカーの言葉も何かで読んだ(聞いたのかも知れない)。新薬開発には膨大な資金がかかると訊く。研究といえ開発といえ、千に三つの幸運を求めて地道な作業を繰り返すことであるかぎり、メーカーの資金力だけでは及ばないところもあろう。
しかし、である。海外に目を転じれば、ベンチャー企業が開発したワクチンもあるじゃないか。すぐれた基礎研究があり、目下の一大事に役立つ可能性があり、翻って大もうけ出来るかもしれないとなれば、世界有ののファンドが、それこそ一攫千金を狙って大金を注ぎ込む時代である。そんな金が日本のメーカーにれてこなかったというのは、日本勢の研究・開発能力が評価されなかったからではないか?
日本の製薬メーカーで、海外の製薬企業、ベンチャー企業の買収を手がけてきたところがいくつかある。自力での新薬開発に行き詰まり、海外勢の力を借りようということだろうが、そもそも、すぐれた日本人研究者が日本に居着かず、海外に活躍の場を求めて故国を去る現状を見ると、日本の研究・開発システムに何処かおかしなところがあるのだろう。日本にいては好きな研究が出来ない。海を越えれば、いくらでもチャレンジ出来る。そんな社会であるかぎり、日本はやがて技術大国の座から追い落とされる
日本は衰退の道を歩み始めたのか?

国産のワクチンがない。仕方なく政府は海外メーカーからのワクチン買い付けに走った。だが、いったいどんな契約をしたのだろう? すでに5月も半ばを過ぎたのに、必要量が入って来ない。そのため、各地でワクチン狂想曲が展開中だ。

「ワクチンを我が社の会長に優先的に回していただきたい」

と、社内の能吏が市に働きかけ、担当部局が拒み続けたのに副市長がOKしてしまったのは当事者たちにひとかけらの良識もない論外のハプニングであるとしても、

「市の幹部が優先的に接種している!」

と涙ながらに訴えるお年寄りも出る始末。突然接種のキャンセルが出て、そのままだとワクチンが無駄になるために、すぐに接種出来る市長などが接種して無駄になるのを防いだ、という説明を聞けば、新たに接種対象者を市内中から捜し回るのは不可能な以上、やむを得ない対処だったと思えるのだが、とにかく、いま75歳以上のお年寄りは、大げさに言えばパニック状態だから、なかなか正論を聴く耳を持たない。それをメディアが煽る。

「電話が繋がらないので」

と役所や病院に列を作る75歳以上の姿は、なんだか滑稽である。それほどの思いまでして、人混みの中に遊びに行く自由が欲しいのか? そもそも、因果関係は不明とされているものの、ワクチン接種後になくなった方が5月2日現在で28人いらっしゃることを、列を作る75歳以上はご存知か?

「どんな副反応が出るか見極めるために、申し訳ないが、先に接種していただく方々はモルモットになっていただいて」

ぐらいの余裕と我慢は持ち合わせがないのだろうか。

この混乱は、ワクチンの入手計画、搬送計画、接種計画をきちんと立てなかった政府が招いたものである。こんなトンチンカンな政府にしてしまったのか、

「政治主導」

を唱えて霞が関の俊秀たちを政府へのごますり官僚にしてしまった歴代内閣、それを煽ったマスメディア、いわゆる「知識人」と呼ばれる方画のの責任だと思うが、今日の話からずれるのでこのあたりにしておく。

その政府の目標は1日100万回接種、なのだそうだ。しかし、お医者さん1人で、1日に何人の患者に注射出来るのだろう? 1分に1人の流れ作業をするとして、昼飯も食べずに朝8時価午後6時まで作業を続けて

60人×10時間=600人

とすると、

1000000÷600≒1700人

お医者さんは暇じゃない。その上、いまはコロナ患者も診なければならないから疲労困憊の極にある。そんなお医者さんたちがまるまる1日、ワクチン注射だけに専従することが可能なのかな? しかも、打った後の副反応を監視して、以上が出たらすぐに手を尽くさねばならないことを考えれば、こんな人数で足るはずがない。1日100万回? 出来るのか?

無理な計画は必ずひずみをもたらす。そのひずみがあからさまになったとき、ガースー内閣は崩壊するのだろうなあ。

「菅」といえば、我々はこれまで2人も首相をいただいてきた。1人目の「菅」は福島原発が危険状態になったとき、首相でありながら自らパニックに陥り、様々な悪手を連発して、東京までが放射能に汚染される寸前にまで私達を連れて行った。そして今度の「菅」内閣は、コロナ騒ぎを抑えきれず、それにもかかわらず東京オリンピックを何としても開催するなどとほざいて国内の混乱に拍車をかけているように見える。

「菅」。「かん」と読もうと「すが」と読もうと、そんな名字を持つ人物がトップの座に立つのは、どうにも我々国民にとっては鬼門であるようだ。