2021
06.07

そろそろワクチンの予約に動こうかと思い始めました。

らかす日誌

日本政府が台湾に向けて、新型コロナウイルスのワクチンを無料で差し上げた。3000万回分を約束したというから台湾全人口の約6割、1500万人が接種出来る。

当初は感染者数が少なく、世界でも希有な

コロナ封じ込め

に成功した国と賞賛された台湾だが、コロナの拡散戦略の方が人の知恵より上回っていたらしい。とうとう台湾という城の門をこじ開けた。
失敗は成功のもと、成功は失敗の元、というが、初動でコロナを押さえ込めたと信じていた台湾は、安心しきっていたわけではないだろうが、その後の打つ手が遅れた。なかでもワクチンが必要だとは思いつかなかった台湾は、世界中がワクチン確保に動くなかで感染拡大に見舞われ、すっかり出遅れてしまった。
このあたり、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)の感染が軽微だった日本が、コロナ感染の拡大初期、PCR検査態勢が皆無に等しく、いたずらに感染者を増やしたことや、ワクチン開発に後れをとったことと似通っている。世の中、禍福はあざなえる縄のごとし、である。

その台湾に、ワクチン確保にかなり遅れは取ったものの、量だけは十分過ぎるほど契約した日本が、日本国内では余ってしまうだろうワクチンを無償でプレゼントする。次はベトナムへの無償譲渡も視野に入っているらしい。
珍しく、心がホカホカするような日本外交である。

背景にあるのは、Mainland China、中国だろう。
何しろ中国という国は、恥知らずというか、無茶苦茶というか、悪辣というか、とんでもない国である。いや、中国の大衆を敵に回すつもりはないので、言い換えよう。中国の習近平政権は、恥知らずというか、無茶苦茶というか、悪辣というか、とんでもない連中である。

習近平政権はいま、アジア、世界の火薬庫である。南シナ海に人工島や軍事施設を建設して実効支配の範囲を急速に広げている。

「そこはうちの庭じゃないか。なんで勝手に犬小屋を建てるんだ!」

と抗議する近隣諸国を力でねじ伏せる。中国政府の船がベトナムの漁船に体当たりして沈めたり、それまで自由に操業していたフィリピンの漁船を追い払ったり。

「いやなら表へ出ろ!」

といわんばかりの軍事力を背景としたやりようは、まるでジャイアンである。

そのならず者政権が、台湾の併合を虎視眈々と狙っている。本来なら、北風と太陽の例にならえば、台湾に住む大多数が、

「こんな中国なら一緒になりたい!」

と願ってはじめて実現することだろう。それなら、世界中が拍手で迎えるはずだ。
しかし、習近平政権は、どういうわけか焦りまくる。とうとう武力侵攻も辞さず、という強硬姿勢を見せるにいたって、

「これから数年後に武力侵攻がありうる」

と分析する専門家が増えてきた。武力を背景に領土を増やす。習近平政権は21世紀を戦国時代に戻そうとしているかのようだ。そういえば、五胡十六国時代といい、三国志の時代といい、中国の歴史に戦乱は付き物だ。国共内戦という、これまでの歴史では最後になる戦乱に敗北した連中が台湾に押し入って建てたのが今の台湾である。
台湾は小国である。人口でも面積でも軍事力でも、中国にはるかに劣る。その台湾を、中国が虎視眈々と狙う。いま台湾は、蛇ににらまれたカエルの立場に立たされている。

それでも台湾の人達は、中国からの独立を貫くという蔡英文氏を総統に選んだ。中国との経済関係は年々深めながら、それでも習近平の中国と一緒になるのは嫌だ、というのが台湾の総意である。選挙はなく、自由は抑圧され、腕力だけが世の中を決めるのよ、といわんばかりの独裁政権の元では生きるのは嫌だ、と多くの人が思っている。香港の今を見て、その思いはさらに強まっているだろう。

イヤヨイヤヨも好きのうち、というのは微妙な女心を言い現そうとした言葉だろうが、男女の仲でも嫌なものは嫌だというのが多くの場合、真実である。ましてや、国と国の関係(台湾は国ではない、ともいいますが……)では、「嫌」が「好き」の反語表現になることは絶対にない。
習近平政権は、その真実を腕力でねじ伏せようとしているとしか思えない。

その習近平政権が、新型コロナ感染者が急増した台湾に

「中国製のワクチンを分けてあげるよ」

と声をかけたのは確か5月半ばだったと記憶する。

「あんたねえ、一方であれほど脅しておきながら、今度はあめ玉を振る舞うってか!」

台湾は当然のことながら拒否した。こんな単純な飴と鞭政策に乗る阿呆は希有である。度重なる脅しがなければ喜んで受け入れていただろうが、台湾の習近平政権への不信はそれほど強い。

それでもワクチンは必要だ。窮状に陥った台湾に、日本政府がワクチンの提供を申し出た。全人口分に達せず、提供するのがわずかだが血栓ができる恐れがあるアストラゼネカ製というのは画竜点睛を欠く嫌いがなきにしもあらずだが、まあ、火急の時である。台湾は喜んで受け入れてくれたようだ。ねえ、アストラゼネカ製っていったって、Made in Chinaより良さそうな感じがするもんな。

というわけで、コロ騒ぎは継続中だが、そろそろ私もワクチンを接種しようかという気になってきた。次女がやいのやいのとせっついてくることもある。いまのところ、目立った副反応の報告がないこともある。私の年代の接種を7月末までに終えると政府がいっていることもある。
それに、だ。日本人が集団免疫を身につけるには、少なくとも人口の7割がワクチンを接種する必要があるとどこかで読んだ。であれば、自分の為だけでなく、大げさに言えば世のため人のため、嫌いな注射をしなきゃいけないのかな、という気になったのである。

政府が7月中にというのなら、7月末までに2回接種すればいい。混み合うのは嫌だから、まず予約の混み具合を聞いて、それから予約を入れることにしようと思う。
さて、接種はいつになるか? 私は副反応を乗り越えることが出来るか?

乞うご期待(私が副反応に倒れることを含めて?)である。