2021
11.27

来週の金曜日は東京で酒を飲みます。

らかす日誌

私は、「部下」という言葉に抵抗感がある。人間を上と下に分ける思考法が、なんとも肌に合わないのである。
だから、彼のことを「昔の同僚」と呼びたい。私が朝日ホール総支配人の時、ホールのディレクターとして私を支え、私がやりたいと思ったことを実現してくれたW君である。

そのW君から突然メールをもらったのは今月10日過ぎだった。仕事の合間に、私が「らかす」を書き続けていることを話したのだろう。それを何故か覚えていて、「らかす」を検索したら出て来た。それで懐かしくなってメールをくれたらしい。突然私のことを思い出した理由は不明である。

なんでも2年ほど前に朝日新聞を早期退職し、起業を目指しているのだそうだ。そして、私と話をしたいと書いてあった。

ん? 彼と会わなくなってもう15年ほどたつ。そんな長い時間を隔てて、私と話がしたい? なんだか嬉しい便りである。これは東京まで出かけねばなるまい。幸い、東京のコロナもおとなしくなっているから、飲み会は実現可能である。

とは彼のメールを一読して直ぐに決めたことだ。彼の起業についても話を聞いてみたい。直ぐにメールを返した。

同時に、私が上京できる日を探り始めた。東京で酒を飲むとなれば、横浜の我が家、いまは次女一家が住む家に泊まることになる。どうせ泊まるのなら、お兄ちゃんの瑛汰に続いて中学受験を目指している璃子の算数も見てやりたい。璃子にボスと算数を勉強したいという思いがあるのなら、飲み会は金曜日で土日は璃子との時間、ということになる。次女一家にも予定があるだろうから、最終的な日程調整は次女に任せた。璃子の算数に私が必要ないのなら、平日でも良い。必要があれば、ほかに予定がない週末を選んでくれ。
その結果、12月3日に横浜へ行き、その日W 君と会うことになったわけである。

そんな準備をしながら、ふと思い出したことがある。そういえば、W君と働いたホールの日々を、確か私は「らかす」で書いていた。うん、会うまでにあれを読んでおいてもらおうか。

しかし、もう随分前の原稿である。何を書いたか、しかとは記憶にない。もし、一部にでもW君の気を悪くするような記述をしていたら、彼を怒らせることになりはしないか? これは、

「読んでおいて」

とメールする前に、一度読み返した方がいい。

というわけで、いつかいたかも忘れた原稿を「らかす」で探した。「総支配人 その1」のタイトルが付いた原稿は2019年1月に見付かった。2月にかけてなんと24回も続いている。早速目を通し始めた。
いくつか日本語の間違いをみつけて修正したが、幸いW君に失礼な箇所はなかった。それはそうである。彼には感謝こそすれ、悪い感情なんか一度も持ったことがないのだから、彼を悪く書くことなど出来るはずがないではないか。
そこまで確認してW君にメールを出した。

あなたからのメールで懐かしくなり、2019年1月に「らかす」で書いた原稿を読み直しました。タイトルは「総支配人」。そうです。あなたと一緒に仕事をした朝日ホール時代の想い出を、何と23回(あとがきを入れれば24回)も書きつないだものです。
朝日新聞を離れた身となって書いたもので、だから歯に衣を着せず、当時考えていたこと、感じたことを書いています。あなたも沢山登場します。軽蔑に値する人間はそのように書いているので、登場人物はすべてイニシャルで出て来ます。あなたはW君です。

彼からはこんな返事が来た。

総支配人編、とりあえず速読してみました。
なんと楽しく懐かしい。
一番楽しかった頃の記憶が蘇ってきますね。
もったいないので、また時間をかけてじっくり読みたいと思います。
そして感想もお伝えしますね。
(中略)
このネタだけでも2日間くらい語れそうです!

この「総支配人」、書いた私がいうのはちょっと変だが、読み返してみるとなかなか面白い。まだお読みでない方は、「総支配人 その1」にリンクをはったので、覗いてみていただきたい。24回は結構読み応えがありますが。

さて、どういう飲み会になるのか。今から楽しみである。