2022
02.05

ものみな壊れるこのごろです。次は……。

らかす日誌

我が家の冷蔵庫が壊れ、買い換えたのは昨年6月のことだった。あれからわずか半年。今度は洗濯機がいけなくなった。

最初の異変が現れたのは、かれこれ1ヶ月ほど前だったろうか。ある日、洗濯を終えた洗濯機の周りに水たまりが出来ていた。どこかから水が漏れたらしい。
とりあえず床の水を拭き取った。しかし、同じことが再び起きては困る。さて、何処から水が漏れたのか。それが分からねば手の打ちようがない。
点検すべきは洗濯機内の水の通り道である。まず給水ホース。これは水道の蛇口につながったものと、風呂桶から水を吸い上げるものの2本がある。水道につながった方は手で触れても濡れていない。風呂桶から残り湯を吸い上げる方も、異常は認められない。
であれば、洗濯槽につながる排水ホースが疑いの対象になる。洗濯機を引きだし、斜めにして洗濯機の下をのぞき込む。手で触る。ここにも水が漏れ出した形跡はない。
この家に設置されている配水管が詰まって洗濯機からの排水が逆流したのかとも考えた。配水管に水を流してみる。何事もなかったかのように水が流れた。ここにも不具合はない。
では、どこから?

疑いは1つだけである。風呂桶から吸い上げるホースには洗濯が終わっても、洗濯槽に行きつかなかった水が残っている。だから、このホースをしまう時は、湯船に浸かっていた端の方を洗濯槽より高く持ち上げ、ホース内に残った水を洗濯槽に落とさなければならない。それを忘れると、水が洗濯機周りの床に落ちることになる。
いつもは私がこの給水ホースを、ホース内の水を逃がしながらしまうのだが、この日は妻女殿か先に片付けていた。

「そのために違いない」

と私は推測した。ホース内の水を処理せぬままホースを片付けたので床が水浸しになったのではないか?

が、はっきりしないことをもって人を批難するのは私の取る道ではない。

「調べてみたが、何処にも水漏れの兆候はない。とりあえずこのまま使ってみなさい。それで水が漏れるようなら、もう一度点検し、それでも分からなかったら考えよう」

翌日、洗濯が済んでも周りに水たまりはない。ああ、やっぱり。私の中ではこれで一件落着していた。

様子が変わったのは3日木曜日朝である。洗濯機の周りに、前回ほどではないが水たまりが出来ていたのだ。今回は、湯船から水を引くホースはまだ収納していない。ということは、前回の推測は誤っていたらしい。

再び点検を始めた。手順は前回と同じである。そして洗濯機を斜めにし、下に通っている配水管を触ると、かすかだが濡れていた。あれまあ、やっぱり本体からの水漏れか。

「おい、これはいかんわ。本体から水漏れしているようだ」

妻女殿に声をかけながら、対処法を考えた。修理するか、買い換えるかである。そして、即座に決めた。買い換えよう
いまの洗濯機は使い始めて確か10年以上になる日立製である。我が妻女殿は割と物持ちが良く、長持ちする家電が多いのだが、それでも常時水と付き合うのが洗濯機の役回りである。所々にサビが浮いていた。であれば、足が悪くなり、ほぼ1年中自宅内で過ごすようになった妻女殿の気分を少しでも明るくするのは、新しい洗濯機ではないか? と思ったのである。それに、修理するとなると、修理屋さんが来るのは数日先のことになる。それまで洗濯できない(漏れた水を毎回拭き取れば別だが)というのも具合が悪い。

「買い換えよう」

そう伝えた私は、ネットで洗濯機を選び始めた。お勧め20選、などというサイトが結構ある。もちろん、この手のサイトがメーカーの紐付きである恐れはある。が、まあ、こちらがそういう意識を持って見れば、参考にならないこともない。

あれこれ見てみた。おおむねの印象を記すと、洗浄力は日立。でも、ベルトドライブであるためうるさい。パナソニック、東芝、シャープはダイレクトドライブのため音は静かだが、洗浄力は日立に並びかけているというところか。
まあ、これらのサイトを執筆された方々が、どのようにしてこうした結論を導き出されたのかは不明である。お勧め20選なら、20台の洗濯機を購入して試験をされたのか? 1台平均10万円としても、洗濯機の購入費だけで200万円かかる計算だ。加えて、その20台で洗濯を繰り返す手間を考えれば、これらのサイトをまともに信じる方がアホである。と思いながら、やっぱり参考にしてしまうのは、他に頼るものがないからである。ああ、「暮しの手帖」の商品テストが懐かしい!

とあれこれ考えながら、まずシャープを落とした。価格が高いのである。次に東芝を外した。デザインには惹かれたが、昨年まで使っていた東芝製冷蔵庫の印象があまりにひどかった。東芝の家電に信頼が置けなくなっていたからである。
さて、では日立にするか、パナソニックに替えるか。迷った末、静粛性を取った。我が妻女殿の朝一の仕事が洗濯機を回すことである。洗濯機が唸り出すのがまだ私が寝ている間であることも多く、

「やっぱ、静かな方が助かるわ」

と決断した。その結果決めたのがNA-FA80H9-Wである。まあ、Amazonでの評価もそこそこだし、これでいいんじゃない? てなものである。

さて、これと決めたからには購入手続きに入らねばならない。
まず、ネットでの価格を調べた。Amazonでは7万3000円台の価格がついていた。価格コムでの最安値は6万9000円弱である。
だが、この手の家電は通販で買うのをやや躊躇する。現存機を引き取ってもらわねばならないし、搬入、設置も結構な力業だ。近くの量販店で勝った方が楽である。

ケーズデンキに電話をした。

「洗濯機が欲しい。パナソニックのNA-FA80H9-Wなんだけど、在庫ある?」

あるという返事である。

「じゃあ、価格を出して。Amazonでは7万3000円強、価格コムの最安値は6万9000円弱。この間だったら即決するから、いくらにしてくれる?」

何度同じことを言っても、電話に出た担当者は電話で価格を出すのを拒んだ。

「だって、去年冷蔵庫を買った時は、電話で価格を出してもらったから即決したんだけど、なんで値段が出せない?」

と追究した結果、

「お客様、お電話番号をいただけますか? こちらからお電話しますので」

という返答をしてきたところを見ると、他の量販店からのスパイ活動と疑われていたのかも知れない。

しばらくすると、電話が来た。

「はい、現在の洗濯機を引き取らせていただくと、その費用として4000円強かかります。それを含めて7万5000円でいかがでしょうか?」

ケーズデンキで家電を買うと5年間の補償が付く。まあ、洗濯機だから5年間で故障するとは思えないが、5年補償は魅力である。

「うん、それでいいわ。で、いつ持ってきてくれる? いまの洗濯機が水漏れし始めたんで買い換えるんだ。できるだけ速い方がありがたいんだが」

こういう交渉の結果、本日午後4時前、無事に新しい洗濯機が我が家に運び込まれた。近くの量販店を電話通販ショップとして使う。これも生活の知恵だろう。

妻女殿は当初、

「お風呂に入ったあとで洗濯機を使ってみる!」

と張り切っておられたが、しばらくすると

「明日の朝にする」

と前言を撤回された。心変わりの原因は不明だが、まあ、私にしてみればどちらでもかまわない。

それよりも、である。妻女殿はこうも申された。

「冷蔵庫が壊れ、洗濯機も壊れた。次に壊れるのは何? 私かなあ

私にも意見はある。見解も持っている。しかし、この疑問文に、私の意見、私の見解を表明していいものかどうか。
とりあえず、無言を通した私であった。