2022
02.11

皆様の町も雪ですか?

らかす日誌

予報通り、桐生は朝から雪である。

どうしたわけか、今朝は目覚めが遅かった。それほど夜更かしをした記憶はないのだが、目を覚ますと時計の針は8時を大きく回っていた。今日は朝から取材が1件入っていたのだが、2日前

「ちょっと仕事がたて込んできて」

という連絡をもらい、16日に変更していたから、寝過ごしても困ることはない。
それよりも、雪が気になった。本当に、予報通り降っているのか? 布団を出るとすぐに障子を開けた。おお、降っている、降っている。こんな雪は何年ぶりだろう?

降雪を心待ちにする。まるで子どものようだが、あるいはこの瞬間、気持ちは子どもに戻っているのかも知れない。だが、実は別の理由もある。スタッドレスタイヤを試したいのである。

4個のアルミホールを中古で買い、スタッドレスタイヤを用意したのは、記憶によると2年と少しばかり前のことだ。当時手伝っていた仕事があり、

「これは、冬場に沼田市まで出かけることになりそうだな」

と思いついたのが切っ掛けだった。沼田は赤城山の北側、雪の多い所である。そこに行く仕事が生まれると考えたのである。冬場に降雪地帯に出かける必要がなかったそれまでは、

「雪の日は出かけない。どうしても出かけなければならない時はタクシーを使う」

と決め、スタッドレスタイヤは持たなかった。それで十分だったのだ。しかし、冬場に沼田まで出かけることになればスタッドレスタイヤは必需品である。

ところが、スタッドレスタイヤを手に入れて間もなく、私はその仕事から外された。私の何かが気にくわなくなったらしいが、そのあたりはよく分からない。立派に役にたっていると思っていた私からすれば心外なことだが、所詮は向こうが決めることである。黙ってそのグループ外れるしかない。

あれまあ、と思ったのはスタッドレスタイヤである。仕事に必要だと思ったから大枚16万なんぼをはたいたのに、出番がなくなってしまったのである。金返せ! とまではいわないが……。

しかし、あるものは使わねばならない。だから毎冬、雪のシーズンだけはスタッドレスタイヤに履き替える。ところが、降らないのだ、雪が。折角スタッドレスタイヤを装着しているBMWを走らせているというのに、このところの桐生は雪に見放されてきた。そして今シーズンも、昨年12月半ばにスタッドレスタイヤにした。

やっと役に立つ! と喜んだのは年明け早々である。

「大道さん、沼田に行く必要があるんだわ。付き合ってよ」

と言ってきたのは仕事仲間である。何、沼田? 雪だよな!
喜んで沼田まで車を走らせたのは言うまでもない。雪、雪、雪道をスタッドレスタイヤで走るぞ! 思い返せば、札幌に勤務した1987年以来ではないか。35年ぶりの雪道走行! それに札幌で乗っていいたゴルフはFF車である。いまのBMWはFR。雪道での走り方にはかなりの違いが出るはずだ。何事も、初物は楽しい。
なのに、沼田には、道の脇に雪はあったが、道路は綺麗に除雪されていた。ああ、余分なことを! これならノーマルタイヤで十分ではないか!!
スタッドれるタイヤを履いても、雪道は滑る。ブレーキをかけてもなかなか止まらない。だから、安全な交通のためには除雪は大いに役立つのだが、しかし、この日は、私の楽しみを減らしてしまう野暮な作業であった。

あれから1ヶ月。だから、再びスタッドレスでの走行ができる! 今日の雪を楽しみにしていた。やっとスタッドレスが役に立つ!

それなのに、今日は何処にも出かけなかった。一日、家に籠もりっぱなしだった。今日10日は定期購読している文藝春秋とビッグコミックの発売日である。毎月10日は書店に出向いてこの2冊を買い求めるのだが、今日、私は出かけなかった。

お昼頃、雪は、目分量で3㎝ほど積もっていた。屋根なし駐車場に止めている車は雪で覆われていた。
ところが、道路の雪は消えていたのである。我が家の前の路は黒々としていたし、家の北側の路には雪は残っていたものの、スタッドレスが必要なほどではない。住宅団地の中でさえその程度だから、下界に降りて車の行き来が多い道路は、多分濡れているだけである。

「これじゃあ、スタッドレスの楽しみはないじゃないか。それに、こんな路を走れば泥跳ねで車が汚れてしまう!」

車に降り積んだ雪を下ろしながら、私はそう心を決めたのである。喜びがなく、面倒な後始末だけがあるのなら、本を買いに行くのは明日に回してしまえ!

降雪があった地方にお住まいの方々、貴方は今日の雪を楽しまれましたか? それとも迷惑千万と思いながら仕事にいそしまれましたか?
以上、群馬県桐生市からの雪のレポートでありました。