2022
07.11

参議院選挙も終わりました。自民大勝……

らかす日誌

それにしても、立憲民主党はだらしない。昨日の参議院選挙で6つも議席を減らした。かろうじて野党第1党の地位は守ったが、うかうかしていると維新に追い抜かれそうだ。

何といっても、存在感が薄い。HPを覗くと「政策集202」というのがあったのでダウンロードしてみた。何と、235ページもある力作である。力作だが、こんな分厚い文書を誰が読むというのか? 党員でも読んでない人が多いのでは?

政策集は分厚いが、中身となると切実感が薄い。有権者の関心が最も高いであろ「経済政策」には

・地域分散/分権(内需主導)型経済の実現
・ベーシックサービスの充実により、将来不安を解消
・可処分所得を増やし、消費を喚起

などが並ぶ。可処分所得が増えるのは私だって嬉しい。だが、どうやって増やすのか。

コロナ禍や物価高騰により、国民生活や国内産業に甚大な痛みが生じていることを踏まえ、税率5%への時限的な消費税減税を実施します。これにより生じる地方自治体の減収については国が補填します。
時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。

これだけである。要は消費税率の引き下げと、いつになるか分からない最低賃金の引き上げ。おいおい、消費税率を引き下げたら、福祉や教育の予算にしわ寄せがいくんじゃないか? それとも、不足する財源は国債で賄うわけ? 最低賃金の引き上げって、空約束に終わらないか?

思わず、そんなことをつぶやきたくなる。政策としての整合性、具体性に決定的に欠けており、

「できたらいいね!」

という程度の夢物語としてしか読めない、と私は思う。大方、参議院選挙を前に

「作んなきゃ」

と作業し、あれも入れたい、これも入れなきゃ、と衆知を集めた結果なのだろう。235ページ? 分厚い方が、何かやってる感が出ない? というところか。これで有権者に明るい未来を見せることが出来るだろうか?

与党・自民党との対立軸づくりにも失敗した。いや、対立軸を作るのが難しい時代であることが立憲民主党に不利に働いたともいえる。

インフレは与野党ともに止めたいと思っている。ウクライナへのロシアの侵攻、覇権主義を隠そうともしない中国、ならず者国家北朝鮮、という現実を前に、日本国民をどう守るのか。国防予算を増やそうという自民党の動きには反対しづらい現実がある。「非武装中立」を錦の御旗に出来た時代が懐かしいほどだ。それに、朝日新聞の調査でも、いまや56%の国民が憲法改正の必要があると答える時代である。

こんな時代、野党は何を与党との対立軸に出来るのだろう? 反戦・平和を唱え、護憲を訴え、福祉政策の向上を主張していれば野党として立っていけた時代は終わってしまった。細田衆議院議長のセクハラ問題でも、週刊誌の報道で自民党を攻め続けた立憲民主党。かつて野党第1党だった社会党には楢崎弥之助という議員がおり、独自の調査で自民党を攻め上げた。毎日新聞の記者から情報をもらい、沖縄密約事件を国会で追及したのは社会党の横路孝弘議員だった。
自らの力で情報を集めることが出来ない。選りすぐりの情報を持ち込んでくれるシンパもいない。そん他人のふんどし頼りしか出来ない有様で、いつまで野党第1党の座を守り続けることが出来るのだろう。

負けることの唯一の利点は、反省できることである。反省は改革を招き、明日の勝利の元になる。立憲民主党は本当に反省できるのか? 根源から体質を変えることにつながる反省を突き詰める力が立憲民主党にあるのか?

うかうかしていれば、かつての社会党、いまの社民党になってしまう。さて、その時日本の政治はどんな姿になっているのだろう?

相変わらずメディアは、安倍元首相の狙撃事件を、暴力による言論封殺、という定型パターンでとらえているようである。私が

「それは違うだろう!」

と書いたところで、彼らの目に止まるはずもないが。

まだ新聞記者としてヒヨコ時代、先輩方からは

「常套句は使うな!」

と耳にたこができるほど教え諭された。多くの先輩が実例として挙げたのは

「逮捕された〇〇は、差し入れられた天丼をペロリと平らげた」

という表現だった。収監された容疑者が差し入れの天丼を食べる姿は、記者の目にとまったはずはない。それなのに、容疑者は「ペロリと」平らげることになってしまう原稿が多すぎる、というのである。
悪に染まりきり、逮捕されても悪びれる様子もない容疑者のふてぶてしさを表現するのに、誰かが使ったフレーズなのだろう。その表現を考え出した記者さんは確かに筆が立ったと思う。巧みな表現である。だが、どんな容疑者も同じフレーズで書き表してしまうのは知的退廃にすぎない。

暴力による言論封殺。これ、ひょっとして「天丼をペロリと平らげた」になっていないか?
記者さんたちにご一考をお願いしたいものである。