2022
08.26

新型コロナの治療現場は混乱しているようですね。

らかす日誌

私の身近に発生した新型コロナウイルス感染者の話は24日に第1報をお届けした。今回は第2報である。

彼は当初、喉の痛みに耐えきれず、入院の手続きをとった。そして25日、保健所から指示されてお隣の市、伊勢崎市の市民病院の門をくぐった。もちろん、入院するつもりでの行動である。

ところがその日、彼は入院を断り、自宅に戻った。何でも、一度入院すると10日間隔離されることになり、それでは月末の事務処理ができない、というのが表向きの理由であったらしい。

「表向き」と書いたのには理由がある。彼が昨日よこしたメールには

「保健所のその場しのぎで平気で嘘をいう対応には呆れました」

とあったからである。ひょとしたら、保健所の役人のお役所仕事に呆れ果て、頭にきて病院を飛び出したのではないか。
まあ、医療逼迫が山のように報道される。患者数の激増と医療従事者の感染者の増加。あるいは医療従事者が濃厚接触者になったこと、で医療現場の人数がっているのが原因だといわれる。そのため、患者数の全数把握はしなくてよい、つまり病院は患者に関する情報を役所に知らせる義務がなくなる方向で世の中は進んでいる。役所に届ける書類に必要事項を記入する時間も惜しい。
医療現場がそうなのだから、保健所だって猫の手も借りたいほどであることは想像がつく。

しかし、猫の手も借りたいほど忙しいからといって、患者に嘘をつくことが正当化されるはずはない。恐らく、自分の仕事の賦課が上がらないよう、適当に相槌を打ち、確認もせずに患者が行くべき病院を指示し、質問に対して書類を調べもせずに思いつきのいい加減な返事をする、という症状が保健所に蔓延しているのだろう。
蔓延と書いた、。蔓延していなければ、たった1人か2人で仕事に手抜きをすることができないのが組織である、という判断に基づく。。

さて、そのような次第で帰宅した彼は、しかし、症状は相変わらずであった。

「熱は少し下がったような気がします。解熱剤を止めてみないと完全にはわかりませんが」

というのが、昨日の彼の自己診断である。

その彼が、今日入院することになった。詳しくはわからないが、

「昨夜20時頃、保健所から電話があり、保健所と伊勢崎市民病院の粗末な点を指摘したせいか、今日は〇〇(病院名)に行けるかと聞かれました」

と今朝メールがあり、彼は入院を決めたようである。今月いっぱい、入院—隔離が続くらしい。
彼は奥さんを亡くし、ただいま花の(かどうかはわからないが)独身である。入院先に素敵な看護婦さん(最近は看護師というらしいが、ここは所製であることを示すために古い職名を使った)がいればいいが、さて……。

それにしても、である。日本は医療保険制度が行き渡り、保健所を含む医療関係者は高い倫理観で患者の生命を救う仕事を遂行していると信じたいが、どうやらそうでもないらしい。高熱に苦しむ患者に不信感を抱かせる病院、

「てめえら、真面目に働けよ!」

と怒鳴りつけたくなる保健所。まっとうに苦情を伝えると

「ごめん、これで勘弁して」

といわんばかりに猫なで声の対応に切り換える職員。
コロナが日本の医療現場にいまある問題点をあぶり出したのか?

そういえば、世界で最高の職業倫理を誇ったはずの日本で、起きてはならない原発事故が起きた。建築設計事務所のデータ府営事件が世間を騒がしたかと思うと、大企業でデーのごまかしが相次いで発覚した。
資源に乏しい日本は、マジメに働いて外貨を稼がなければ、国の存続がおぼつかない。それなのに、日本の医療も製品も、いまや世界の信頼を失いかけているように見える。

大丈夫か、日本!?