2022
09.28

岸田首相は視野狭窄ではないかと思いますが、どうでしょう?

らかす日誌

安倍元首相の国葬が昨日あった。たいして関心もない葬儀を民放のニュースが延々とやるのには閉口した。そんなもの、見たくもない。
逆に驚いたのが、見たくない葬儀を見ないようにしようとチャンネルを切り換えたNHKである。民放がこぞって中継していた午後6時からの時間帯、なんと一般ニュースを放送しているではないか!

「ん? あんたは中継していない? 大丈夫か!」

政権べったりのはずのNHKが放送せず、政権からは一定の距離をとっていると思われる民放が電波に乗せる。この逆転現象はどう考えればいいのだろう?

その程度の関心しか持てなかったのは、国葬に踏み切った岸田首相の思惑が手に取るように読み取れた(勘違いかも知れないが)からである。
国葬を決めた岸田首相は、自民党の中での岸田政権の安定しか見えなかったのではないか。

安倍派は自民党最大派閥である。その頭が殺されては派閥が揺らぐ。後継者らしい後継者が見えないのである。頭とは、選挙とか金とか、色々面倒を見てくれるから頭である。力のある頭がいなくてはその派閥にいる意味はなく、一人去り、二人去りして派閥はやがて四分五裂するしかない。

それが安倍元首相が殺されたあとの自民党の姿である。これから安倍派の国会議員は何処に行くのか? いくつかに分裂するのか? 他の派閥に個々に吸収されるのか? そのような舞台背景を見て取って

「私は安倍さんに最大の敬意を払う者である」

と岸田首相が誇示しようとしたのが国葬だった、というのが私の読みである。いわば、安倍亡き後の安倍派議員の取り込みを図ったのではないか。最大派閥が自分に付けば政権は安定する。

いや、元の頭を、吉田茂以来の国葬にしてくれたからといって、安倍派の議員たちが直ちに岸田派に鞍替えするとは限らない。しかし、岸田派には行かないとしても、このような手を打たれては岸田内閣に異は唱えにくくなるはずである。だから、何かと不安定だといわれる岸田内閣が安定する。それが岸田首相の思惑だった、と見るのがいちばん自然だと思う。

そんな決断を支えたのは野党第1党の立憲民主党ではなかったか。彼らは国葬に反対し、参列を拒否した。なーに、そんなことはどうでもいい。何しろ立憲民主党とは口先だけの烏合の衆にすぎないではないか。確かに、国会では政府を追求することに余念がない。だが数もたいしたことないし、論理も重みがない。安定多数を持つ自民党政権にとっては痛くもかゆくもない。

私が改めて立憲民主党に唖然としたのは旧統一教会問題である。彼らは岸田内閣が安倍元首相と旧統一教会の関係を調べようもしないのが怪しからんという。確かに、私もおかしな話だと思う。安倍元首相がテロの対象になったのは旧統一教会との深い関係が疑われたからではなかったか。であるなら、旧統一教会と自民党との関係は、安倍元首相を抜きにしては語れない。全員からアンケートを採るなどは枝葉末節のことである。その肝心要な部分に手を触れようとしない岸田内閣は、旧統一教会問題を真摯に受け止めていない。

怪しからん!

とは、私の立場なら口にして当然のことである。

しかし、立憲民主党は政党である。国会議員は私以上に権力を持つ。岸田政権が安倍元首相関連を調べないというのなら、なぜ自力で調べて国会で追及しないのか。国会議員のような権限を持ち合わせない週刊誌も、取材人員が限られているテレビも、それなりに安倍元首相と旧統一教会の深い関係を探り出して報道している。天下の政党に、口では政権奪取を唱える立憲民主党には週刊誌のトップ屋やテレビの取材記者程度の情報収集能力はないのか? 何とかいうおちびさんは、元NHKの記者だったというのに。情報収集能力が劣っていたから国会議員になったのか?
議員さんや職員にその能力がないのなら、情報収集力のある人材を雇用すればよい。その程度のアイデア、工夫も立憲民主党からは出て来ないのか?

新聞やテレビ、週刊誌が報じたことを

「〇〇はこう書いている(報じている)が、それは本当か?」

などと切り抜きを振りかざしながら国会で政府を追及する姿はを見れば

「あ、高い金を税金からふんだくりながら、楽な仕事をしてるなあ」

と毒づきたくなるのは私だけではないだろう。
そして、そんな政党が野党第1党であるかぎり、岸田総理が自民党内の力関係にだけ気を配っていれば長期政権を築けると思ったとしても責められない。

だが、岸田総理の視線が自民党内にしか向いていない、視野狭窄に陥っているのが私は気になる。立憲民主党を無視するのは仕方がない。しかし、旧統一教会に関しては様々な形での被害者がいる。安倍首相狙撃犯もその1人だし、その影には10倍、100倍の被害者がいる。
その恨みを込めて放たれた弾丸に倒れた元首相を国葬で送るこことが被害者を傷つけはしないのか?

旧統一教会は日本を敵視する団体である。日本は韓国の下に従うべき国であり、旧統一教会と韓国に奉仕しなければならない国である。活動資金のほとんどは日本からの献金が支えてきたらしい。そんな団体とよしみを通じた議員を数多く抱える自民党は、日本を率いる資格があるのか(他にないから仕方がない、ともいえるが……)? その自民党の代表として旧統一教会と深く関わった安倍元首相を国葬の礼で顕彰するとは、岸田さん、あなたは日本の裏切り者を顕彰してしまったのではないか

国葬に対する国民感情は完全に二分された。そして、国葬許すまじという国民感情はしばらく収まりそうにない。同じ感情は旧統一教会と自民党との深い絆にも向く。

自民党の中さえ見ていれば、という首相の視野狭窄は、政治の舞台でも様々な余波をこれから呼ぶはずである。そして、時を追ってきな臭さを増す時代に生きざるを得ない以上、視野狭窄のリーダーを持つ事への危惧も国民の中から沸き上がりかねない。

最善手を打ったはずなのに、その一手で局面が完全に変わることが間々ある。岸田首相が選んだ国葬という一手は、そんな一手になりかねない、と私は思うのだが、皆様はいかが?