11.30
2006年11月30日 クラプトンのコンサート
昨夜、職場の仲間4人で武道館に出かけた。待ちに待った Eric Clapton のコンサートである。
悪いことに、来年度の予算案提出の締め切り日と重なった。朝から大車輪で予算案に取り組み、午後3時には作業がほぼ終了に近付いたが、肝心の見積もりがいくつか出てこない。数字の入らない予算案なんてあり得ない。何度も請求の電話を入れ、
「4時半までにはファックスします!」
と心強い返事が返ってきたが、4時半を回っても事務所のファックスは惰眠をむさぼっている。この機械、壊れたか?
4時45分、電話を入れる。
「あと5分待ってください!」
5時15分、電話を入れる。
「担当者はただいま打ち合わせ中でして」
5時半、来ない。切れた。
本日の最優先行事はコンサートである。仕事など二の次のテーマに過ぎない。予算案の完成が1日遅れようと、地球は回り続ける。これは世界の常識である。
「あのさあ、どうしても出てこない見積もりがあるのよ。向こうの手違いで明日になるみたい。とりあえず、仮置きの数字を入れて明日の午前中に差し替えるからよろしくね」
予算担当に電話を入れた。
5時40分、事務所を飛び出した。
就業規則では、終業時間は午後6時までである。
席はアリーナ。それも舞台に一番近い最前列である。私とクラプトンの間には誰もいない。仕事で知り合った知人に頼んだら、こんな極上の席を手に入れてくれた。1999年からクラプトンのコンサートの通っている私も、こんないい席で聞いたことはない。恐らく、これからもないだろう。
仕事を二の次にした最大の理由である。
7時10分、クラプトンはまだ舞台に登場しないのに、ギターの音が響き始めた。ん? と思っていると、すぐに姿が見えた。舞台袖からギターを弾きながら登場したのである。なんと、クラプトンのギターにはコードが着いていない! どうやら、ギターの音は無線でアンプに送り込むらしい。新兵器である。
そして、私から見てやや右手、ほんの4~5mのところに立って、クラプトンが歌い始めた……。
なじみの薄いブルースナンバーが多かった。
新たに迎えた若いギタリスト、ドイル・ブラムホール、デレク・トラックスのプレイがクラプトンの音楽とマッチしているか。
最前列で聞いているというのに、この音は……。PA が悪いのか? 武道館が悪いのか?
いくつかの?はあった。だが、クラプトンなのである。
最後の2曲、Cocaine、Cross Road は、仲間4人全員が立ち上がり、音楽に合わせて縦乗りでフィーバー。日頃の運動不足解消に全員が努めた。熱狂の1時間50分。
でも、間近で見ると、クラプトンもあごから首にかけて年齢が出てきたなあ。俺もいつかはあんなになるのかなあ……。
終演後、帰宅を急いだ1人を除き、3人で有楽町の大衆中華料理店で余韻を楽しんだ。1人は酒がほとんど飲めない女性なのに、注文した酒は生ビールが4杯に紹興酒が6合。まだ耳の奥に残るクラプトンのギターと、安い酒の組み合わせが何とも心地よかった。
ちなみに、ほとんど酒を飲まなかった女性から今朝メールが来た。
タイトルは、Wonderful Tonight
本文は、
「なんて素敵な日! 生きていればイイコトもあるのね!」
なかなか洒落た女性である。
今朝、予算案を大急ぎで仕上げたことはいうまでもない。