2009
06.12

2009年6月12日 300

らかす日誌

昨日、「らかす」へのアクセスが久しぶりに300<スリーハンドレッド>を超えた。
あの映画は全くの駄作で、我が「シネマらかす」に登場することはあり得ないが、アクセスの300超えは気持ちがいい。頻繁な更新。やはり、効果がある。

というわけで今日も書こうと思っているのだが、平凡な1日で、特に話題もない。そこで、数日前の出来事を書く。あなたの暮らしにも役に立つかもしれない生活情報である。

都会を離れるのは、車に過酷な生活を強いることなのだろうか?
桐生に来て、私の愛車、BMW320iツーリングが、切られの与三郎になりかけている。

左後ろのタイやハウスに塗料のはげを見つけたのは、2週間ほど前のことだ。

「あれっ?」

と思いながら近づくと、はげているのは2カ所。うち1カ所は凹みまでできている。

「あちゃー」

部分的に塗料がはげると、そこだけ色を塗り直すというわけにはいかない。走り始めて3年もたつと、塗料は3年間の経年変化で微妙に色合いが変わる。

 「だから、パネル全体を塗り替えないといけないのよ」

とは、娘が左の後ろドアをこすったときのディーラーの話である。

「これは飛び石かなあ。だけど、凹みまでできちゃったら金かかるなあ。定年過ぎちゃって収入はがた減りなのになあ。修理、する?」

修理の金を用意でいるか? 考え込みながら、念のために車全体を点検した。
点検する前からわかっている傷もある。左の前後ろのドアから後部のタイヤハウスまで伸びるひっかき傷である。発見したのは3月末の引っ越しの最中。カーブしている線なので、運転していて何かにこすった傷ではない。コンパウンドで磨いてみたが消えない深さまで達しており、5月に車検に出した際、ディーラーに

「何とかならない?」

と問い合わせて、

「何ともならない。それほど目立たないし、修理するとかなり金かいっちゃうから、このまま乗った方がいいよ」

と説得された傷である。

「ほかにはないだろうな?」

が点検の目的だ。車の周りをぐるりと回った。

「あれっ!」

あった。今度はボンネットである。小さなポッチがある。こすっても消えない。これも傷らしい。タイやハウスと一緒で飛び石だろう。2ヶ月で2箇所。1年いれば12の傷ができることになる。

「おいおい、桐生にいる間に、我が愛車は満身創痍になるのかよ」

憂鬱な思いで運転席に乗り込んだ。これから仕事に出かけるのである。その時、ふとひらめいた。

 「そういえば、車両保険を使って修理をしても、保険の等級が下がらない事故、ってあったような気がするな。確かめなくっちゃ」

仕事を済ませて自宅に戻り、保険のガイドブックを引っ張り出した。ある、ある。老眼の私では読むのがつらくなるような小さな小さな文字でそれらしいことが書いてある。

等級すえおき事故

しょぼつく目を鼓舞しながら、小さな小さな文字を追いかける。金がかかっているのだ。多少目がしょぼついたところで、追求する問題の大きさに比べたら微々たることである。

「車両事故のうち、火災・爆発・窓ガラス破損、盗難、騒じょう、労働争議、台風、たつ巻、こう水、高潮、落雷、いたずら、飛来中または落下中の他物との衝突おおびその他偶然な事故」

つたない日本語だが、私の車の傷には、何となく該当しそうだ。が、これだけでは確信が持てない。翌日、保険会社に電話をした。

 「という傷ができてるんだけど、この<等級すえおき事故 >には該当しないのかな?」

翌週、調査員が来た。車の傷を点検し、写真に撮った。

「この飛び石らしい傷も、いたずらと見られる傷も、たぶん、<等級すえおき事故 >でいけると思います」

数日して、保険会社から等級すえおきでできる、との電話が来た。我が努力は報われたのである。

 「ラッキー!」

の気分だ。我が愛車は、コストゼロで再び新車の輝きを、部分的に取り戻す。夏休みにディーラーに修理に出す予定だ。

で、思う。
記憶は力である。あのとき、保険会社のパンフレットで目にした一節を思い出さなかったら、修理するか否か、未だに思い悩んでいたはずである。いや、乏しい我が家の蓄えの数字を前に、修理を断念していたに違いない。我が愛車は、桐生在住中に切られの与三郎になりきっていたに違いない。
それがノーコストで傷のない与三郎になる。お富さんも驚くに違いない。
って書いて、理解できる読者がどれだけいらっしゃるのやら……。

車をお持ちの皆さん。なかでも車両保険に加入していらっしゃる皆さん。もう一度保険契約の中身を読んでみましょう。役に立ちそうなことは記憶にしっかり刻み込みましょう。

あなたの記憶力があなたを助けることもあるのです。

その後、保険会社から2度に渡って

「自動車保険保障内容に関するご案内」

という大型の冊子が届いた。どちらも同じ物なのはご愛敬だが、この冊子には<等級すえおき事故 >についての記述が見つからない。

<等級すえおき事故 >、できれば目立たないようにしたい、と保険会社が考えるのも分からなくはない。でも、それってフェア?

知は力なり。皆さん、自己防衛を徹底しましょう!