07.01
2009年7月1日 ジャズ
先週末、横浜に戻った。まあ、大枚をはたいてリフォームした家を、次女一家だけに楽しませることはない。たまには自分でも暮らしてみなければもったいない。
とけちくさいことを考えたわけでは、もちろんない。月に1回ぐらいは本来の自分の家に戻ってみたいというのは、一種の帰巣本能のようなものであろうか。
というわけで土曜日朝に桐生をたち、途中でデジキャスで一緒だったH氏、「小菊」のお母さんに、当地で発見した美味、星野物産の半生うどんを届け、午後1時過ぎに我が家にたどり着いた。
その日は、妻、次女、瑛汰とともに、最近マンションを買った長男夫妻の家を訪問。たばこを2本吸って辞去した。だから、これはどうでもいい。
翌日は次女、瑛汰の専属運転手として川崎に出かけた。目的地はさいか屋とラゾーナ。さいか屋は
「コロッケ、食べたい!」
という瑛汰のリクエストである。瑛汰はさいか屋地下で売っているジャガイモコロッケが大好物なのだ。105円で瑛汰が至福の時を過ごすのなら、私に異存はない。
ラゾーナは次女のお供である。なんでもバーゲン中で、まとまった買い物がしたかったらしい。
出かけるついでにのぞいてみたかったところがあった。レコード屋さんである。
最近、ブルーノートが1100円のジャズシリーズを出した。新聞広告で目にして関心を持ったが、悲しいことに桐生にはレコード屋がない。「都会」に出たついでに実物を目で見たかったのだ。
「ということで、瑛汰は連れて行ってくれ。俺はCDを見てくるから」
次女に声をかけた。当然瑛汰の耳にも入ったはずである。ところが、瑛汰は私から離れない。
「瑛汰も、ボスとCD見る!」
と宣言するやいなや、母親であるはずの次女の声を無視してレコード屋さんに突入した。3歳児の行動は有無をいわせない。こうなれば、後は野となれ山となれ、である。瑛汰と2人、ブルーノートのジャズCDを見た。
なにせ、1100円である。欲しいものがあったら全部買ってやろうとの意気込みで店に入った。が、まあ、それほど欲しくなるものがあるはずもない。
John Coltrane:Blue Train
Kennu Burrell:Midnight Blue
Herbie Hancock:Maiden Voyage
Herbie Hancock:Speak Like A Child
私が手に取ったのはこの4枚である。
「ボス、これが欲しい」
そばでチョロチョロしていた瑛汰が、1枚のCDを差し出した。
Paul Chambers:Bass on Top
「いや、これはいらないよ」
と私は棚に戻した。
「いるの!」
と瑛汰が再び棚から取り出した。えーい、ままよ。どうせ1100円だ。1枚増えたからといって、私の財布が空になるわけではない。
というわけで、5枚のジャズCDを抱えて桐生に戻ってきた。日曜日夕方のことである。何故か、次女と瑛汰が付録としてくっついてきた。
昨日、瑛汰のもう一人の制作責任者である次女の旦那が迎えに来て、3人で横浜に戻った。私に、買ってきたのCDを聞くゆとりがやっと生まれた。
同時に、日誌を書く時間もできた。
日誌? CD? だとすれば、瑛汰の趣味嗜好を確かめねば書けないのではないか?
というわけで今、Bass on Top をかけながらこの原稿を書いている。やや軽めの、心地よくスイングするジャズである。瑛汰は、サザンオールスターズとエリック・クラプトン、ビートルズだけかと思っていたが、こんな音楽も好んでいたか。なかなか渋い趣味ではないか。ま、本人が聞いて、聞き続けるかどうかは別だが。
そういえば瑛汰は今、映画「アニー」に夢中である。主題歌の「Tomorrow」が大好きで、今日は30分も続けて映画を見たそうだ。
まもなく3歳になる幼児が、ミュージカルとはいえ全編英語の映画を30分も見続ける。先が楽しみである。
以下は余分な話である。まあ、この日誌全体が余分といえば余分だが。
月曜日、火曜日と続けて、次女、瑛汰を連れてある八百屋に買い物に行った。妻は自宅で留守番をしていた。
ここの気のいいご亭主が、我らを家族と誤認した。つまり、次女を私の妻と判断した。
「違いますよ。父ですよ」
次女の抗弁に、ご亭主は、
「えっ、ふーん、そういえば似てるかなあ」
おそらく次女にとっては、2重のショックであったに違いない。60男である私の妻に間違われたこと、私に似てるといわれたこと。
次女は家に戻って妻に、
「今時、若い奥さんを持ってる人もいるからね」
といっていたが。
これで私は、長女に続き、次女の旦那にも間違われた。名誉なことである。こうなればやっぱり、万難を排して若い妻を持つべきであろうか?
読者諸氏のご判断を、できれば伺ってみたいものである。