04.22
2010年4月22日 しかし、なあ……
と慨嘆したのは私だけだったろうか?
今日の朝刊によると、民主党は昨日、高速道路の新しい料金体系の見直しを決めた。新しい料金体系、っていったって、まだ施行もされていない。 担当である前原国土交通大臣が
「6月からこうします」
と、発表しっちゃったものを、政府と党の首脳会議でひっくり返してしまった。
何でも、民主党は衆議院選挙に向けたマニフェストで、高速道路の無料化を国民に約束した 。それなのに、いまに比べて、高速道路の使い方によっては値上げになってしまう新しい料金体系はマニフェスト、国民への約束に反する、という理由らしい。
理屈は通っている。でも、どこかおかしい。
この件を書くにあたって、私には前提がある。
私は高速道路の無料化には反対である。実に下らない政策で、この点に関しては日曜祝日などの上限料金1000円を実行した自民党政権と大同小異だ。選挙をにらんだ人気取りのばらまきと断じるしかない。
そもそも、高速道路を無料化したら、これまでは一般道路を走っていた車まで高速道路に流れ込んで低速道路と化す。それでは高速道路を造った意味がない。
さらに困るのは、高速道路の補修など、維持管理の費用を税金でまかなうしかなくなることだ。いまでも税収不足で国債残高が増え続けているのに、そんなことして大丈夫か?
高速道路の維持にかかっているコストを見直し、それに伴って高速道路料金を引き下げる。それがあるべき政策の姿である。
以上は前提である。
という私の考えとは別のところで、高速無料化をマニフェストにした民主党が政権を取った。国民が選択したのだ。その是非を私が言い立てても仕方がない。ほー、高速道路、本当にただになるのかい。そう思っていた。
政権を取った民主党は、というか、その民主党で高速道路を主管する国土交通省を任された前原さんは、少しずつ路線修正をはかってきた。今年度は、無料化路線を、ほとんど車が通らない地方の一部の路線に限定した。次に打ち出したのが、今回の新料金体系である。ただにしたら高速道路は維持できませんよ。まあ、マニフェスト違反かもしれないが、それが大人の判断であろう。
私はそう思っていた。
なのに、今回のどんでん返しだ。おいおい、民主党っていったいどうなってるの?
と嘆くのは、私の考えが否定されたからではない。
民主党首脳はこう考えたのではないか。
前原国土交通大臣はけしからん。 国土交通省の官僚どもに操られている。おいおい、君は民主党で当選しておきながら、民主党が国民と交わした約束を破棄するのか? 参議院選挙は目前だぞ? それは反党的行動だと思わないか?
間違いを改めるのにはばかってはならない。前原? たかが国土交通大臣でしょう。俺たちの方が偉いもんね。俺たちがダメ、っていったら、たとえ公表済みの政策でもひっくり返せるもんね。ひっくり返しちゃえ!
決定権を持ち、民主党という組織に責任を持つ者の論理としてはまったく正しい。
だけど……、正しいのかなあ?
高速道路無料化という無茶な、人気取りとしか思えない政策がいまだに命脈を保っていることは横に置いてもいい。
でも、結果としては、鳩山政権の閣僚である前原さんが公表したことをひっくり返したのは、民主党が政権党というより、組織の体をなしてないことをあからさまにしてしまっただけではないのか? 内閣の不統一、民主党のバラバラ加減を国民に印象づけただけではないか?
そういえば、沖縄米軍基地の移転についての鳩山さんは、どう見ても頭がいいとは思えないもんな。自民党だって、できれば沖縄の負担を減らしたかったはず。でも、長年かけてもできなかった。そんな大事が、政権を取って数ヶ月の民主党にできるはずがない。それなのに、職を賭して5月末までの決着を言い続ける。それも、何のあてもないまま、
「そうしなければならない」
という思いを抱き続けているだけとしか見えない鳩山さんは、グアム島民がどう受け止めるかを無視して、とにかく日本から追い出せばいいと言い続けた福島お姉さんのアホさ加減と大同小異である。
なんかなあ。民主党を核とした連立政権のいい加減さばかりが目立つ昨今である。