07.10
2010年7月10日 この間
桐生市の重鎮が遊びに来た。
「明日夜、行っていいかな?」
と電話がかかってきたのは7日、水曜日の夜である。
「いいけど。どうしたの?」
「いや、大道さんの自慢のオーディオで、私の好きなレコードを聴きたいと思って」
この人、私の「らかす」の愛読者でもある。
「でも、レコードプレーヤー、ないよ」
「あっ、そうなんだ。じゃあ聴けないかな」
「いや、プレーヤー、持ってきてもらえれば大丈夫だけど」
「あっ、そう。じゃあ、持っていくよ」
「でも、女房いないから、お構いできないよ」
「いや、奥さんがいたらご迷惑かけちゃうから、いまの方がいいよ」
この人、うちの女房の顔を見たくないのか? まあ、いい。私は、見たくても見たくなくても、戻ってくれば毎日見ざるを得なくなる。
という次第で、この重鎮、8日木曜日の午後9時過ぎ、我が家にやってきた。仕事が遅くなったとかで、夕食、酒をお持ちになった。
「あれ、プレーヤーは?」
「いや、持ってくるとすると一度家に戻らなくっちゃいけないじゃない。だから、今回はやめにした」
「何、レコード聴くっていうから、プリアンプを取り替えて待っていたのに」
私の常用のプリアンプは、クリスキットMark 8-Dである。レコードを聴くには、これをイコライザーのついたMark 8に取り替えなければならない。
「あ、そうなの。ごめん、ごめん」
2人で、彼が持参したPPM(ピーター、ボール&マリー。古い!)のCDや、我が家のLeft Alone、山本剛のMisty、憂歌団生録59分、Eric ClaptonのBest ofなどを聴きながら酒を飲んだ。
次回はレコードプレーヤーを持って遊びに来るはずである。
帰りに、冷蔵庫に入っていた黒川ハムのベーコンを分厚く切っておすそ分けをした。酒の友にレタスと一緒に出してあげたら、美味い美味いと食べてくれ、残ったベーコンを早く食べろとせっつくと、
「うちの奥さんにも食べさせたいので、お土産にもらってく」
と、まあ愛妻家の鏡というか、男として情けないというか、そういう反応を示された。分厚く切ってお持ち帰りいただくしかないではないか?
翌9日金曜日、妻が帰還した。出産を控えた横浜の次女宅の囚われ人になったのが6月4日だから、丁度5週間ぶりの帰還である。次女の旦那が車で送り届けてきた。
以来、炊事、洗濯、掃除をしなくてよくなった。
私に、時間のゆとりが生まれた。ひとり暮らしの気楽さは幾分失われたかも知れないが。
にしても、である。
この5週間、孤軍奮闘する私に、励ましの言葉があまりかからなかったのは寂しい限りだ。ほぼ毎日、朝、夜と食事を作り、洗濯をし、時には家の中の掃除をしてきたというのに。
おい、息子。
「お父さん、大変だね。飯作りに行こうか?」
という思い遣りはないのか?
啓樹は、時折電話をくれた。瑛汰は、しばしば電話をくれたのに、お前からは電話の一本もないぞ!
戻ってきた妻は、トイレが汚い、風呂場にカビが生えていると不満たらたらである。
いいじゃない、それで。そんなことで死ぬヤツなんていないぜ。もっと汚くなったら、もっとカビが生えたら、いくら俺だって掃除ぐらいするわ。
ま、基準の問題だね。という論理が通じないのが困った点だが。
妻と一緒に、聞きたくもない小言も帰ってきたのである。ああ。
そして、今日だ。
次女の2人目の子供の名前が決まった。
璃子
りこ、と読む。前々回ご報告した「ねね」はあちこちで不評だったらしい。
夜、電話をした。
「おい、りこ、って、あのパープリンの東尾の娘と同じ名前だぞ」
「いいじゃない、そんなこと。字も違うし」
一蹴された。まあ、親がそれで良ければ、私はどうでもいい。
美しい宝石。そんな女の子になって欲しいのだとか。
親の願いを実現していくれる子供って、そうそういないのだが。
豊富な時間ができた私は本日、2時間ほど庭の草取りをした。真夏の日差しに照らされて、汗が流れ落ち、眼鏡に汗の膜を作った。
それでも、取れたのはまだ5分の1程度。明日以降も、空模様をにらみながら草取りに精を出すしかない。
と思っていたら、夕食時に電話があった。何でも、明日朝6時から町内総出で、どこかの草むしりをするのだという。
6時?! お年寄りが多いこの地区では、法外な時間でもないらしい。6時から草むしりね……。行かずばなるまいが、行ったところでじっちゃん、ばっちゃんがうようよいるだけだもんねえ。色気なんて、小指の先ほどもないんだもんねえ。楽しみ、ないなあ。
今日は遅くまで本でも読んでいようかな? 目が覚めたら8時だった、ということにしたいものだが。
そうそう、明日は参議院選挙である。
あなた、投票所に足を運ぶ気になります?
どうしようかなあ……。