2010
12.29

2010年12月29日 不良品

らかす日誌

メーカーとは、商品が消費者の元に届いたあと、どの程度の期間製品に責任持つべきなのだろうか?
私はメーカーの一員となった経験はない。従って、コストと消費者の信頼を天秤にかけながらどのあたりで手を打つのが最適か、という問題を突き詰めたことはない。

だが、消費者として様々なメーカーの製品をとっかえひっかえ使ってきた経験なら、生きてきたのと同じ時間だけある。その経験に照らして、

「こいつら、いったい何を考えているだろう?」

と不愉快な気分になった。
こいつらとは、私がこよなく愛するiMacを販売しているアップルジャパンである。

パソコンを変えたことは、半年ほど前にご報告した。
新しくやってきた27インチのiMacには、もちろんキーボードとマウスが同梱されていた。この2つがないとパソコンの操作はできないから、当然のことである。
新しいiMacにくっついてきたのは、ブルートゥースを 使った、コードレスのマウスとキーボードであった。

これは、いい。それでなくても、デスクの上には沢山のコードが這い回っている。プリンタとの接続コード、外付けのハードディスク、DVDドライブに繋がるコード、デジカメとの接続コード、iPhone、iPodのコード……。現在のデジタル時代に対応しようとすれば、少なくともこれだけのコードが机の上で我が物顔をする。

だから、キーボード、マウスのコードが消えてくれれば、机の上が多少はすっきりする。現実に、新しいiMacがやってきてからの私の机はずいぶんすっきりした。
それでも作業スペースがなかなか見いだせないのは、ひとえに私の整理下手の故である。

ところが、だ。

最初におかしくなったのはマウスだった。もう、2、3ヶ月前のことである。
使っていると、突然ポインタがディスプレーから消える。

「おいおい、どこに行った?」

と探していると、

「接続が切れました」

と画面に表示される。

マウスと本体の接続が切れてしまっては作業ができない。

困って、マウスの電源をon-offしてみた。何も変わらない。
電池が減ったのか? 新しい電池を入れた。何も変わらない。
なのに、突然

「接続されています」

とディスプレーに表示が現れ、ポインタが復活する。
とにかく、動作が不安定なのである。

「ブルートゥース接続とはことの程度のものか」

と認識はしたものの、しかし、これではパソコンが使えない。やむなく、古い有線のマウスを引っ張り出し、接続した。
こうして、私のパソコン作業環境は、無線のキーボードと有線のマウスという変則的なものになった。が、そうしなければ使えないのである。ほかに選択肢はない。

いまになって考えれば、同じブルートゥースで接続された機器のうち、一方の動作は安定して、他方の動作が不安定になる、とは不思議である。だが、とにかくそれで「らかす」の更新を含めて、順調に作業ができていたのだ。私には不思議さへの認識がなかった。

だが、不思議な現象というものは長続きするはずはない。異常な現象は、やがて正常に戻る。
私のパソコンが不思議でも異常でもなくなり正常に戻ったのは1週間前後前のことだ。
キーボードも

「接続されていません」

という状態が頻発するようになったのである。日誌を書いていて、突然キーボードの接続が切れる。そうなれば文字の入力も変換も行換えもできない。お手上げである。
そしてこいつもまた、何をやっても復活しないかと思うと、突然

「接続されています」

と表示を出して復活する。
作業能率が低下した。だけでなく、作業に取りかかるのがおっくうになった。これは、私の暮らしの質にかかわる問題である。

で、アップルジャパンが登場する。
困り果てて、サポートに電話をしたのである。月曜日、27日のことだ。

「という状態で困っているんですが」

「はい、大道様、ご登録が確認できました。いつもアップル製品をご利用いただき、ありがとうございます」

まあ、そりゃあそうだ。初めてアップルのコンピューターを買ったのは、記憶によると1994年。以来、ウインドウズなどという、美しさへの感性が欠けた連中が作ったに違いないパソコンには見向きもせず、ひたすらMacを使ってきた。いまのiMacで、確か8台目である。そうそう、iPadはまだだが、iPodは2台目で、携帯電話はiPhoneだ。
根っからのアップルファンなのだ。

「はい、お困りのご様子、承りました。ところで、アップルではお買い上げから90日間の無償サポートをいたしておりますが、大道様の場合はすでにこの期間を過ぎておりますので、こちらでできるのは有償サポートの電話をご案内することだけになって参ります」

????

「ちょっと待ってくれ。何か私が正常ではない使い方をしてこのような現象が出たのなら、有償というのも分かる。でも、普通に使っていただけだし、最初はマウス、次いでキーボードと同じ現象が出た。しかも、まだ1年間の保証期間中だぜ。それでも有償なの?」

「はい、お買い上げいただいた価格に含まれておりますのは90日間のサポートの分だけでございまして、その後は有償ということになっております」

冗談ではない。保証期間中の不具合なのに、金を払わねば対処法を教えないというメーカーが、ほかにあるか?

「だったらさ、保証期間って、どんな意味があるの?」

当然の疑問である。

「はい、まず有償サポートを受けていただいて、その結果、不具合の原因が機器にあることが判明すれば無償で修理するということになっております。はい、その際は、先にお払いいただいた有償サポートの料金はお返しいたします」

絶句した。例えば、車は3年間の保証が普通である。その間の不具合は、持ち主が引き起こしたものでない限り、無償で修理する。
具合が悪くなった保証期間中の愛車をディーラーに持ち込んだら、

「そういうご相談を無償で受けるのは90日までです。そのあとは有償でご相談を受けております。まず、有償サポートの料金をお支払いください。その結果、車に原因があることが判明すれば無料で修理しますし、サポート料金もお返しします」

そんな対応をする店が1つでもあるか?

しかも、である。アップルジャパンのいう有償サポートとは、本来アップルジャパンが行うべき作業をユーザーに転嫁しているものである。
パソコンに不具合がでた。まず、相談料を取る。その上で、電話で指示を出しながら、不具合の原因をユーザーに突き詰めさせる。ユーザーは、とにかく不具合がなくならなければ次の作業ができないわけだから、電話での指示に必死に従い、パソコンを再起動したり、指示された作業を繰り返したり、と必死で働く。だけど、本来なら、そんな作業は不具合が起きる製品を販売した方がやるべきものではないか?

 「そのシステムは変である。ユーザーとして納得できない」

当然の疑問を何度も繰り返した。何度も同じ答えが返ってきた。

「はい、そのような貴重なご意見があったことはレポートにして関係部署にあげます。本当にありがとうございます」

こいつ、クレーマー対象のマニュアルを棒読みしてる!
不愉快さが募る。しかし、私にできることは何もない。

「どういたしましょう? 有料サポートの電話をご案内いたしましょうか?」

私はとうとう切れた。

 「いらん! そんなおかしなシステムのお世話になる気はない!!」

電話を切った。

ねえ、アップルジャパンって変だと思いません?
電話を切った私は、すぐにネットでアップル製品のブルートゥース接続切れを検索した。いるいる、同じ症状で困っている人が沢山いる!
中には、修理に出したが直らなかったという人までいる。OSの不具合ではないか、という人もいた。

そんなものか。

でれば、対処法は1つしかない。
私は昨日、anazonでアップルの有線キーボードを発注した。今朝届いた。いまは、新しいキーボードでこれを書いている。もちろん、接続が切れることはない。

にしてもアップル、なかなかうまい商売をするものだ。接続が切れやすいブルートゥースを搭載し、ブルートゥースでしか繋がらないキーボードとマウスを同梱する。不具合が起き、サポートに電話をし、私のようにまっとうに切れてしまう。切れてしまうと、選択肢は1つしかない。
本来買う必要がなかった、有線のキーボードとマウスを新たに購入するのである。ユーザーにとっては、本来無駄な出費である。アップルジャパンにしてみれば濡れ手で粟の商売だ。

あくどい

ウインドウズ大嫌いなのにアップルのあくどさに怒る私のような人間はどこへ行けばいいのか?

アップルジャパンを矯正する方法、ご存じの方はいらっしゃいませんか?