2013
12.19

2013年12月19日 アマチュア政治家

らかす日誌

どういう訳か、私には予知能力までが備わったらしい。
昨日の日誌で、

都知事辞職を取引カードに、検察と

「逮捕だけは御免してちょうだい」

って取引するのかな。それぐらいしかやりようないモンね。

と書いたら、今日、辞めちゃった。
私が昨日の日誌を書き連ねていたころには、恐らく、辞める決意を固めていたのだろう。何という一致! 我ながらおそろしくなる。

ふむ、予知能力までが備わった私は、これからさらに、書き記すことに関して注意を払わねばならないなあ。

だけど、猪瀬のオッちゃんよ、あんた、検察とちゃんと取引したのか? 逮捕を免れる方策を講じたのか? そんな時間があったの?

私? どっちかというと、囚人服を着た猪瀬を見てみたい気もするが……。


今日の夕刊は、猪瀬辞任で派手派手しかった。
朝日、毎日、読売、日経と一通り目を通したが、

「うーん、記者の能力が落ちてる!」

と歯がみした。

ほぼ一問一答形式で辞任会見の模様を報じた読売(うん、読売は本日の朝刊で、猪瀬辞任へ、を書いていなかった。朝日、毎日にはあったのに。こういうのを業界筋では「特オチ」という。特オチして担当記者が焦った分、手厚い夕刊になったことは疑いない)によると、猪瀬はこんなことを口走っている。

——そもそも5000万円について賄賂性を疑われてもおかしくないということを、借りるときに思ったか。

「借りるべきではなかった。アマチュアの政治家だったなと思っている」

猪瀬、読売新聞によると、「アマチュア」という言葉を、会見の中で3度使っている。いずれも同じで、アマチュアだったから金を受け取ったという言い訳である。

おいおい、猪瀬のオッサンよ。あんた、かつては物書きだろ。だったら、言葉をもう少し正確に使ったらどうだ?

我々の正解では、何だか臭いのする金を受け取らないことを政治のアマチュアという。
臭いのする金でも、状況によっては受け取るのが政治のプロである。

だから、多選を重ねて腐臭を放ち始めた政治家を引きずり下ろし、清新な政治家を国会に送ろうというのが政治改革のスローガンになったのではなかったか。

ねえ、猪瀬のオヤジよ、10歳のガキでも、

「このプレゼント、欲しいけど、もらったら何かやばそう」

って考えること、あるぜ。
それがアマチュアの正常な判断力というものだ。

という突っ込みを入れようという記者はいなかったのか?
政治にアマチュアであるあんたたちが馬鹿にされたとは受け止めなかったのか?
政治のアマチュアがほとんどである読者の怒りを、成り代わってぶつけようとは思わなかったのか?
詰まらぬ言葉狩りに血道を上げるより、本質的に言葉にこだわらねばならない。

記者会見は、もう少し緊迫して欲しいものである。


本日、予定通り、ギターの先生Nさんが、ネットワークオーディオを試聴するため、我が家にやってきた。いや、正確に書くと、私がお迎えにあがり、終えてお送りした。

「いやあ、本当に楽器が一つ一つ聞き分けられますね」

「ライブ演奏が特にすごい。すぐそばで聞いているみたいだ」

以上がプラス評価である。

「だけど、音がきつすぎません?」

「ロックにはいいけど、クラシックやジャズでは、もう少し低音が豊かに出てくれないと、と思うんですけど」

が、マイナス評価。

それに対する私の答弁。

「音がきついというのは、私も感じます。チャンネルデバイダーがあるので、そのうち調整してみようとは思っていますが、だけど、論理的に考えると、主犯はパイオニアのデジタル/アナログ(D/A)コンバーターではないかと思います。つまり、パイオニアの音づくりかと」

デジタルの世界では、0と1で信号がやりとりされる。ところが、我々の耳は0と1では音楽として受け取ることが出来ない。初期のパソコンは、カセットテープにデータを保存した。パソコンのデータだから、0か1かで記録したはずである。
その、カセットテープに保存したデータをパソコンに読み込むとき、

ガーッ、ピー、ガガガガ、

などという騒音が出た。いま思えば、あれが0、1信号を再生したときの音である。
だから、音楽として再生しようと思えば、最終的にはアナログ信号に変換しなければならない。その役目を果たすのがD/Aコンバーターである。
音楽がデジタルで保存されるようになって、D/Aコンバーターは欠かせないものになった。その中で、世界で最も素晴らしいD/AコンバーターはSony製である、と桝谷さんは見抜いた。収録された音楽を、最も正確に復元するD/Aコンバーターは、最新のSony製であると、桝谷さんは唱え続けた。

で、ネットワークプレーヤーというのは、いってみれば巨大なD/Aコンバーターである。NASから受け取った0と1による音楽信号を、人の耳に音楽として聞こえるアナログ信号に変換してアンプに送り出す。
ここに、メーカーの癖が入る。メーカー好みの音というのがあるのだろう。

「いわれてみれば、これは元気バリバリのパイオニアの音ですよね」

私の説明に、先生はそうおっしゃった。

私は、パイオニア以外のネットワークプレーヤーの音も聞いてみたい。が、何しろ高い。Sonyが最近出した製品は20万円強。最も優れていると、本当なのか嘘なのか分からないが、いわれているLinnの製品だと80万円もする。おいそれと手を出せる価格ではない。
さて、どうしたら良かろう?

クラシック、ジャズについては、録音年代の問題ではないか、と個人的には考えたが、口には出さなかった。
オーディオとは、ディスクに記録された音楽信号を、できるだけ正確に再現するための機器である。何も足さず、何も引かない。クリスキットほど、その役割に徹したアンプはない。
ネットワークオーディオとは、CDに記録された0、1信号を、そのまま正確にD/Aコンバーターに渡すことで正確な音を聞恋うという試みである。
この2点から判断する限り、低域が豊かでないのは、そもそもCDに豊かな低音が入っていなかったからである、という結論になる。
無論、世の中には、そもそもディスクに記録されていない低音を出すことを使命だと考えるアンプやスピーカーが散在する。クリスキット・リスナーは、そのような間違った世界とは一線を画している集団なのである。

それは、それとして。 
さて、ギターの先生、ネットオーディオを始めるかな?