11.17
2014年11月17日 歩け!
にしても、だ。
田舎暮らしで最も体に悪いのは、歩かないことである。とにかく歩かない。
新しいiPhoneには「ヘルスケア」というアプリが最初から入っていて、頼みもしないのに万歩計の役割を果たしてくれる。それによると、本日の歩数は、たったの607歩。今週の平均は1日1309歩である。
もちろん、iPhoneを持っている間だけの歩数で、自宅にいてiPhoneを置きっぱなしにして動いている間の歩数はカウントされない。しかし、それでも恐らく1日2000歩には達しない。
その故か。最近、足が弱ってきた自覚がある。
趣味がギターであり、高校1年の数学であり、読書であり、映画であり、音楽鑑賞であり、つまりは
「歩かない」
趣味ばかりであることは重々承知である。だから、1日1万歩などという遠い目標を掲げるつもりはない。にしても、である。たったこれだけの歩数で日常生活が送れていることは驚くべきである。
とにかく、歩いて行けるところがない。移動はすべて車である。歩くのは駐車場の車までと、目的地の駐車場から目的地までである。駐車場は、できるだけ目的地に近いところに止めるから、まあ、この程度の歩数になるのも仕方ない。
東京で仕事をしていたころは違った。通勤は徒歩とバスと電車と、そして徒歩である。職場の椅子にたどり着くまでに優に3000歩は歩き、戻りも同じただとそれだけで6000歩。何やかやとやっていれば、歩数は無理をせずとも1万歩に近づく。
ということを考える限り、いまや健康にいいのは都会暮らしである。田舎暮らしは足を弱らせる。
散歩をすればいいではないか?
とは私も考えることである。
だが、そうもいかぬ。腰の不具合はちょいと横に置いておこう。それでも、そうもいかぬ。
考えてもみなされ。65歳のオヤジが1人でせっせと歩いている姿は美しいか? 我が美意識に照らせば、あれは惨めったらしい。
しかも、である。愛犬リンが生きていたころは、私も毎朝リンと散歩をしていた。そこで見かけた散歩愛好者は、すべてジジイとババアばかりである。美しくない。その中に混じって1人歩いてみても、楽しいはずがない。
「おっ、向こうから来る姉ちゃん、いいジャン!」
と感動し、
「仲良くなりたいな」
と欲望を沸き立たせ、
「どうやって仲良くなろう?」
と知恵を巡らせ、
「最初にかける一言が重要だよな」
と戦略をたてようとし、結局考えあぐねて
「お早うございます」
と月並みな声のかけ方をして終日後悔する。
というようなことがなければ生きる楽しみがない。ジジイとババアばかりでは、そんな後悔をすることは絶対にないのである。
だから、惨めったらしくなく散歩できるように、
「犬を飼おう」
と妻女殿に提案申し上げたこともある。が、にべもなく
「いや」
と拒絶された。
では、どうしたら良かろう? 思案中の私である。
朝日新聞の販売店を通じて
「ロックの神々」(朝日新聞出版)
を購入した。
新聞広告で知って、市内の書店を回ったのだが何処にも置いてなかった。人口が少ない都市の書店とはこのようなものである。とにかく、確実に売れる本しか置かないのだ。最近は、我が愛読書「ビッグ・コミック」ですら、発売日の午後にいくとない。
都会の書店は不特定多数の客を相手にする。桐生の書店は特定少数の客しか相手にしない。
「売れ残ったら返本すれば良かろうに」
と思うのだが、返本の手数を厭うのか。
ま、という次第で販売店経由になったのだが、いまさら何故にこんな本を買ったのか。
ロックの名盤を聴くため
である。
我が音楽史をひもとくと、大きな固まりがいくつかある。
ひとつはもちろんビートルズだ。わが青春はビートルズと共にあった。
並行して聞いたのが岡林信康である。私の子供たちは、ビートルズと岡橋信康を聞かされて育った。
3つめはクラプトン。Change the Worldに打ちのめされ、Unpluggedで痺れた。今我が家にはクラプトンのCDが109枚ある。
4つ目は頭脳警察か。CD数49枚。
あとは三三五五である。
ネットワークオーディオを導入した。これだと、CDの置き場を気にせずに音楽を増やせる。しかも、TSUTAYAと借り放題の契約をすれば、1枚100円弱で音楽を取り込める。毎月送られてくる20数枚のCDを次々とパソコン経由で取り込んで音楽資産を増やし続けてきた。
当初は良かった。ビートルズ関連でも、クラプトンでも、頭脳警察でも我がコレクションに欠けているのがあった。それを注文した。
が、それもやがて注文し尽くすまでになった。さて、次の手は?
「ひょっとしたら、これまで聞くことがなかったロックにも、聞いておいた方がいいものがあるのではないか?」
と思いついた。しかし、好みの範囲が狭かったため、アーチストもバンドも、あまり知らない。であるから、何かの参考書がいる、と思って買ったのがこの本なのだ。
狙い通り
「本誌が独断と偏見で選ぶロック・アルバム100選」
という記事があった。100枚には、すでに手元にあるものもあったが、
「そういえば、そんなバンド、あったな」
というものから
「こんなアーチスト、いたの?」
まで、手元にないものを片っ端からTSUTAYAのリストに載せた。そして、TSUTAYAにないものは、Amazonで探し、中古を含めてできるだけ安いものを発注した。
さて、新たにリストアップしたアルバム、
「おっ、これはいい!」
というものが何枚あるか。いいものがあれば、そのアーティスト、バンドのアルバムは、TSUTAYAにある限り発注して我が音楽資産を豊かにしようと考えている私である。
ネットワークオーディオと、ネット経由のCDレンタルが開く世界。
音楽がお好きなあなた、そろそろお考えになったらいかがですか?
と書きつつ、明日はできるだけ歩かねば、と固く決心する私であった。